海中から“たたく音”「タイタニック号」観光の潜水艇か 残りの酸素24時間(2023年6月21日)
「タイタニック号」の観光ツアーで、消息を絶った潜水艇。アメリカCNNが「捜索中にたたく音を感知した」とトップニュースで報じました。どうしたら救出できるのか、専門家に聞きました。
■海中から“たたく音” 不明の潜水艇か
これで一気に救出活動は進むのでしょうか。
米CNNキャスター:「最初のニュースは、タイタンの捜索についてです。たたく音やその他の音が聞こえたと報告されました」
潜水艦が消息を絶ち70時間が過ぎた21日、「捜索隊のソナーが何かをたたく音を拾った」とアメリカメディアが伝えました。音は30分ごとに鳴ったそうです。沿岸警備隊もその情報を肯定しています。
米沿岸警備隊ツイッター:「カナダの航空機が捜索区域で水中ノイズを検出した。そのデータは、アメリカ海軍と専門家と共有され、今後の計画に反映されるよう、さらなる分析が行われている」
米CNNキャスター:「5人がまだ生きていて、場所が特定できるか期待が高まっています」
■迫るタイムリミット 酸素“残り24時間”
タイムリミットは刻一刻と迫っています。
人々の祝福を受け、アメリカを目指した“希望の船”は“悲劇の船”として1世紀経った今も語り継がれることとなります。1500人以上が犠牲となったタイタニック号。その船を見に行くツアーでの出来事でした。
米沿岸警備隊:「現在までのところ、捜索活動は何の成果も得られていません。酸素はあと40時間ほど残されています」
タイタニックを見に行くツアーで消息を絶った潜水艇、残る酸素は現時点でほぼ一日分。懸命の捜索が続いています。ただ、タイタニック号が眠るのは大西洋の底3800メートルほど。捜索は難航しています。
潜水艇設計技師・フージ氏:「タイタニック号の残骸に潜水艇が絡まり、身動きが取れなくなっている可能性もある。見つけることは、わらの山から針を見つけるようなもの」
潜水艇に乗っていたとされるフランス人の冒険家・ナジョレ氏。「MR.タイタニック」と言われ“悲劇の船”を追い続ける一人です。
乗船していたとみられるフランス人冒険家・ナジョレ氏:「船の建造にも、乗客の大富豪にも、ドラマを感じる人もいます。一度、タイタニックに首を突っ込んだら、なかなか抜け出せません」
■潜水艇「タイタン」 内部の様子は
映像は、映画でも知られることとなった船首を映し出します。この映像を撮ったのが今回消息を絶った潜水艇「タイタン」です。その内部がどんな状況なのか、徐々に分かってきました。全長は6.7メートルほど、船全体が沈み、海中で潜水艇が切り離される構造です。
船内を写した写真です。操縦士と客、合わせて5人が乗っていました。海外メディアによると、広さは車のミニバンほど。窓は1つ。立つことも寝ることもできません。通常のツアーなら8時間ほど船内にいることが想定され、船首部分にはカーテンがあり、簡易トイレもあります。
今回のツアー料金は8日間で3500万円ほどです。操縦はゲームのコントローラーのようなもので行うそうです。乗船経験のある人は不安を感じた経験を話しました。
乗船経験のある記者:「XBOX(ゲーム機)のコントローラーで操船するとは知らなかった。現地で見て動揺し、心配になりました」
■元従業員“安全性を危惧” 救出は
5年前、安全性を巡る裁判も起きていました。裁判資料によると、水深4000メートルまで乗客を運ぶ潜水艇。のぞき窓が1300メートルの圧力までしか耐えられない設計で、「耐久テストを行うよう助言した従業員が解雇された」と訴えました。潜水艇に乗る前、乗客はこう諭されたそうです。
乗船経験のある記者:「『比較的』安全としか言えない。もし『完全な』安全を望むなら、この潜水艇には乗るべきではない。こう言われました」
今回、潜水艇に乗っていたとされる開発した会社の創設者。5年前、安全性のテストについて「十分に行っている」と話しています。
オーシャンゲート創業者CEO、ストックトン・ラッシュ氏:「私たちが最も重要視しているのは、水圧に対応できるかです。最も重要な要素なので、安全で海底4000メートルでも、何度も人を乗せたまま操縦可能であることを確認しています」
その捜索現場で聞こえた“何かをたたく音”。仮に3800メートルの所にいたなら、聞こえるものなのでしょうか。
水難学会・斎藤秀俊会長:「例えば、3800メートルの海底にいたとして、そこから音をガンガンとたたいて出すと、空気中だと10秒以上かかるが、水中だと2秒くらいで届く。たぶん潜水艇の中からたたいたり、音楽とか、色んな手段を使って音を出している。それが今回、聞こえているんじゃないか」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く