世界遺産・平城宮跡を横切る近鉄奈良線の移設計画 工事を一部中止 電車の“平城宮跡横断”存続へ
奈良市の平城宮跡を横切る近鉄線の移設計画について、5月に就任した山下真知事が工事の一部を中止する方針を固めました。
古瀬朱理記者「世界遺産の真ん中を電車が走る光景は、今後も残ることになりそうです」
奈良の世界遺産、平城宮跡を走る近鉄電車。地元の人によりますと、こんな車内放送が流れることもあるそうです。
「まもなくこの電車は平城宮跡を通過します。右側には朱雀門、左側には大極殿がご覧いただけます」
観光資源として、すっかり定着している区間ですが、奈良県は一昨年、大和西大寺駅と近鉄奈良駅の間でルート変更や高架化などを行い、その際、平城宮跡を避けることで近鉄側と合意していました。ところが…。
山下真知事「ハード事業については執行しないものが多い」
そこに「待った」をかけたのは、先月、就任した山下知事です。
山下知事「前の知事の思いつきで行われていた事業が非常に多い」
経費削減などの観点から、荒井正吾・前知事が進めてきた計画を抜本的に見直す方針を示したのです。
「(平城宮跡で)イベントがあると車内から見えたりするので空間の中に一緒に溶け込んでいる感じ。違和感はない」
「昔のままの平城宮跡に戻した方がいいと思ったが、時間やお金がかかるので現実的ではなかったのかな」
一方、近鉄の主要路線が多く乗り入れる大和西大寺駅周辺では「開かずの踏切」が渋滞を引き起こし、問題となっています。関係者によりますと、山下知事は、駅周辺を高架化する計画は予定通り進める方針だということです。
計画は来週月曜日(12日)に正式発表される見通しです。歴史的遺産の継承と生活環境の向上という古都ならではの課題を、ともに解決することはできるのでしょうか。
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