「兵器開発でない」強調のため? 北朝鮮“軍事衛星”打ち上げ瞬間公開(2023年6月1日)

「兵器開発でない」強調のため? 北朝鮮“軍事衛星”打ち上げ瞬間公開(2023年6月1日)

「兵器開発でない」強調のため? 北朝鮮“軍事衛星”打ち上げ瞬間公開(2023年6月1日)

 北朝鮮メディアが軍事偵察衛星打ち上げの瞬間とみられる写真を公開しました。また、金正恩総書記の妹・与正(ヨジョン)氏は談話で、近く再び打ち上げを行う意思を強調しました。北朝鮮が相次いで見せたこれら2つの動きは、どう読み解けばいいのでしょうか。

 白い煙を噴き上げる飛翔(ひしょう)体。先月31日、北朝鮮が失敗を認めた軍事偵察衛星の打ち上げの様子だとみられます。

 そして、画像とともに発表されたのが金正恩総書記の妹・与正氏の談話です。

 金与正氏の談話(朝鮮中央通信から):「朝鮮の軍事偵察衛星は遠からず宇宙軌道に正確に進入して、任務遂行に着手することになるだろう」

 近く、再び打ち上げを行う意思を強調したのです。北朝鮮は先月31日、失敗直後に「原因を調査し、できるだけ早く2回目の打ち上げを断行する」としていました。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「早いうちに発射をするときのうのうちに断言したということは、もしかしたら軽微な修正でできると今の段階で北朝鮮が結論付けている可能性もあるが、何とも言えない」

 北朝鮮は「先月31日から6月11日までの間に打ち上げを行う」と通告していました。11日までに2回目の打ち上げはあるのでしょうか。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「不具合の性質による。例えばコンピュータープログラムのミスならプログラムを直せば済むだけの話。例えば細かな配管からの燃料漏れなら、そんなに難しくはない」

 韓国の情報機関「国家情報院」は「再打ち上げには数週間以上かかるとみられるが、欠陥が軽微な場合は早期に行う可能性もある」との分析結果を示しています。

 また、専門家は公開された画像について、こう指摘します。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「第一印象では衛星が大きい。てっぺんに膨らんでいる。フェアリングといって、積んでいる物を覆うカバー。フェアリングがロケットよりかなり膨らんでいるので、衛星がかなりの大きさであることが言える」

 打ち上げが失敗したにもかかわらず画像の公開に踏み切ったのは、兵器開発ではないことを強調する狙いがあるとみられます。

 韓国メディアによりますと、打ち上げ失敗を認めたのは国外向けの朝鮮中央通信で、北朝鮮の人々が目にできる新聞やテレビなどでは報じていないそうです。

 打ち上げの前日となる先月30日、朝鮮労働党幹部の「6月に打ち上げる」との発言を報じたのも朝鮮中央通信です。実際には先月31日に打ち上げられました。

 一方、アメリカ政府の高官は失敗しても懸念を示しています。

 米国家安全保障会議・カービー戦略広報調整官:「失敗であれ成功であれ、その度に金正恩や科学者、技術者は学び、改善し、適応し、軍事力を向上し続けている」

 しかし、妹の与正氏はアメリカに対して猛反発です。

 金与正氏の談話(朝鮮中央通信):「米国という国は仮に我々が衛星をゴム風船につり下げて、宇宙軌道に乗せても『不法であり、脅威である』と喧伝(けんでん)する強盗集団である」

 “アメリカは強盗集団”だというのです。

 専門家は与正氏の厳しい言葉は兄・金正恩総書記を代弁しているのではないかと指摘します。

 コリア・レポート、辺真一編集長:「金与正氏は金正恩総書記の口となって、金総書記が言いたいことをスポークスマンであるかのように、金総書記の意向をくんでの談話発表ではないか。悔しさがにじみ出ているという感じ」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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