北朝鮮の“ミサイル”が海上で消失 異例の“失敗”発表の背景とは【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

北朝鮮の“ミサイル”が海上で消失 異例の“失敗”発表の背景とは【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

北朝鮮の“ミサイル”が海上で消失 異例の“失敗”発表の背景とは【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

北朝鮮は31日、弾道ミサイルの可能性があるものを発射したものの、その後、打ち上げの失敗を認める“異例”の発表をしました。「早期に2回目の発射を断行する」としていますが、一体、何が起きているのか。専門家と一緒に解説します。

■Jアラート発出から30分程度の避難呼びかけ“解除”

南波雅俊キャスター:
5月31日の朝、不安になられた方も多くいらっしゃったかもしれません。Jアラートが発出されました。北朝鮮のミサイル発射の件についてです。

今回の北朝鮮の“衛星”打ち上げは、失敗が発表されました。そもそも北朝鮮は、5月31日から6月11日まで、すでに発射することを通告しており、黄海、東シナ海、そしてフィリピンの東の海上という3か所が「衛星ロケット」の危険区域として設定されました。

5月31日はどういう流れだったのか、改めて振り返っていきます。まず午前6時28分ごろ、北朝鮮の西岸・東倉里(トンチャンリ)付近から、弾道ミサイルとみられるものを1発、発射した。

そして午前6時半には、政府が沖縄県を対象にJアラートを発出しましたが、午前7時4分、日本には飛来しないとみられるとして避難呼びかけが解除されました。

松野官房長官も「宇宙空間への物体の投入はされていないものとみられる」とコメントしています。

韓国軍は、韓国のオチョン島の西側約200kmの海上に落下したと発表。残骸の一部、白い円筒状のものが回収されています。

■発射を事前通告、失敗したらすぐ発表…北朝鮮は世界基準に倣っている?

今回“異例”だとされているのが、北朝鮮の国営メディアが、すぐにこの失敗を発表した点です。

ロケットというのは打ち上げの際、機体を切り離して身軽になっていかなくてはいけません。

しかし朝鮮中央通信によると、今回は1段目の分離後に、2段目のエンジンの点火が不正常な状態となり推進力を失ったことで黄海に墜落。

宇宙開発局報道官は「今回の発射で『重大な欠陥』が現れた。それを調査・克服し、能な限り早期に2回目の発射を断行する」と発表しています。

防衛省 防衛研究所 浅見明咲氏:
北朝鮮は2012年の衛星打ち上げのときにも失敗をしており、その際もすぐに「失敗した」と報道しています。

今回もそれに倣った報道だったのではないかと思いますし、発射することも、事前にIMO(国際海事機関)を通して通告していました。

自分たちもそういった世界基準に倣い、国際的な慣例にのっとった行動をしているということで、すぐさま失敗を認めたのではないかとみています。

ホラン千秋キャスター:
発射だけではなく、その失敗までも「北朝鮮は勝手に好き放題やってるのではなく、国際的な秩序にのっとってますよ」というアピールの一つだと?

防衛研究所 浅見氏:
そうですね。宇宙の平和利用という目的、そして宇宙は誰かのものではなくみんなで共有するものだという理解のもとであれば、「自分たちだけが衛星を打ち上げてはいけないということではない」というのが北朝鮮の言い分になります。

■北朝鮮はサイバー攻撃などで資金を得て独自研究を進めている可能性も

井上貴博キャスター:
ミサイルの技術について、北朝鮮はこれまでずっとロシアなどから技術供与を受けていると言われていました。今はウクライナ侵攻中ですが、それでも北朝鮮は技術供与を受けているのか?

それとも北朝鮮はもう、他国の援助なしに独自に開発できるのか?あとは金銭面もすごくはないはずなのに、なぜここまでできるのか?そのあたり、浅見さんはどう分析されてますか。

防衛研究所 浅見氏:
技術面に関しては、どこをどれだけ支援を得ているのか、ちょっと不透明なところではあります。しかし自分たちで開発をして、発射実験を行っているという点では、北朝鮮の中でもかなり開発・研究を進めていると思われます。

資金面に関しては、昨今のサイバー攻撃などで資金を得ている可能性があります。そういったものが核開発やミサイル開発に使われている可能性も、充分に考えられます。

ホランキャスター:
今回の発射について、萩谷さんはいかがでしょうか。

萩谷麻衣子弁護士:
“軍事偵察衛星”を打ち上げると予告して、失敗するとすぐにそれを認め公表し、さらに可及的速やかに2発目を打ち上げると公表。私はこのような一連の経緯から、技術が向上したことによる北朝鮮の余裕みたいなものすら感じます。

今回は失敗しましたが、“軍事偵察衛星”が仮に成功したら、北朝鮮からの軍事的な監督・監視は非常に強まる。そこはまた、さらなる脅威だと感じます。

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