【報ステ解説】「ルール守ってるアピールか」狙いは?北朝鮮“衛星ロケット”発射通告(2023年5月29日)

【報ステ解説】「ルール守ってるアピールか」狙いは?北朝鮮“衛星ロケット”発射通告(2023年5月29日)

【報ステ解説】「ルール守ってるアピールか」狙いは?北朝鮮“衛星ロケット”発射通告(2023年5月29日)

北朝鮮は29日朝、今月31日以降に『衛星ロケット』を発射すると通告しました。

先日、金正恩総書記が視察した、衛星の発射に伴う実務を取り仕切る部署。ここで、金総書記が、今後の行動計画を承認したといいます。29日の北朝鮮の動きは、その計画に沿ったものだと思われます。

松野官房長官:「本日、北朝鮮より5月31日~6月11日の間に“衛星”と称する弾道ミサイルを発射すること、通報があったと承知しています。“衛星”と称したとしても、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した、いかなる発射も禁止している、関連する国連安保理の決議に違反するもの」

北朝鮮が通告してきたのは、ロケットから切り離されるエンジンなどの落下予想海域です。朝鮮半島の西側に2カ所と、フィリピンの東側に1カ所。日本の領海上空を飛び越える軌道と思われます。

不測の事態が起きる可能性もゼロではありません。日本領域へのロケット落下に備えた破壊措置命令が出され、自衛隊は迎撃態勢をとっています。

北朝鮮が周辺国に発射通告をしたのは、直近だと7年前になります。日米韓に加え、中国も発射を止めるよう働き掛けましたが、耳を貸すことはありませんでした。

かつて“人工衛星”と称して、弾道ミサイルの開発を行ってきた北朝鮮。アメリカを射程におさめるICBM『火星17』が完成している今、“衛星”だと偽ってミサイルを撃つ可能性は低い、というのが大方の見立てです。

自衛隊関係者:「いつも撃ってるミサイルを撃つのなら、事前通告しないでしょう。いつも突然、撃ってくるんだから」

逆に、いまだ手に入れていないもの。それが“軍事衛星”です。

日米などの分析では、北朝鮮は2012年に「地球の衛星軌道上への投入」に初めて成功しています。ただ、その投入された物体は“金一族を称える歌”を宇宙から流すものだったそうで“衛星”と呼べるような代物ではありませんでした。

あれから11年。今回の軍事衛星打ち上げには、並々ならぬ気合いを見せてきた北朝鮮。初号機と共に、こんなスローガンが掲げられていました。

「朝鮮の気概で宇宙を征服しよう」

■なぜ“人工衛星”“予告”の狙いは?
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ロケット打ち上げを通告する北朝鮮の狙いはどこにあるのか。そして、どう警戒すればいいのか。東アジアの安全保障問題に詳しい、東京大学先端科学技術研究センター・山口亮特任助教に聞きます。

(Q.防衛省は「弾道ミサイルの可能性もある」としていますが、今回は、北朝鮮の主張通り、人工衛星と受け取っていいですか)

山口特任助教:「私は人工衛星の可能性が高いとみています。北朝鮮は2021年1月から『国防5カ年計画』を進めていて、今がちょうど折り返し地点です。各種ミサイルや、無人機は大方そろっています。しかし、ミサイル攻撃や軍事作戦が完成するには、軍事衛星の開発が不可欠です。金正恩総書記は、今年の春までに発射準備を指示しているので、軍事偵察衛生の打ち上げの可能性が高いとみています」

(Q.これまでは、通告なしでミサイル実験を繰り返してきましたが、今回はなぜ、事前に通達してきたのでしょうか)

山口特任助教:「人工衛星の場合、国際的に決められた手順やプロセスがあり、どの国も衛星を打ち上げる際には、安全上、事前に通告するルールがあります。北朝鮮は今まで、国際ルールを無視して、ミサイル発射実験や訓練などを行ってきましたが、人工衛星の打ち上げにおいては『ちゃんと国際社会のルールにのっとってやっている。責任を果たしている』とアピールして、正当化しているのではないかとみています」

(Q.北朝鮮は、軍事偵察衛星を手に入れて、何に使用しようとしているのでしょうか)

山口特任助教:「北朝鮮は色んなミサイルを手にしましたが、実戦で使う場合、朝鮮半島有事で展開されるとみられる、日米韓の軍事防衛アセットをリアルタイムで探知・捕捉・追跡する必要があるので、そのための能力だとみています」

(Q.宇宙からの“目”を手に入れると、北朝鮮の軍事開発は一気に脅威が増しますか)

山口特任助教:「そうとも言い切れません。北朝鮮には、軍事偵察用の衛星を打ち上げる技術はありますが、衛星で撮った映像をスムーズに司令部に伝達できるか、司令部や部隊が、その情報をうまく処理して活用できるかについては、運用経験がなく、不明な点が多いです。その他にも、ロジスティクスやメンテナンスといった問題も抱えていて、軍事衛星で一気に軍事力が強化されるとは考えていません。北朝鮮は、各種兵器や研究開発、性能テストおよび、訓練などを進めていますので、今後も各種兵器の実験や訓練など行うとみられます」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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