来日早々に会談実現 ゼレンスキー大統領とインド首相 双方の思惑は(2023年5月20日)

来日早々に会談実現 ゼレンスキー大統領とインド首相 双方の思惑は(2023年5月20日)

来日早々に会談実現 ゼレンスキー大統領とインド首相 双方の思惑は(2023年5月20日)

G7サミット参加のため電撃来日したゼレンスキー大統領。来日早々、会談したのがインドのモディ首相です。比較的ロシアに近いとされるモディ首相との直接対話。ウクライナ情勢の大きな転換点となるのでしょうか。

現在も激しい攻防が続いているウクライナ東部のバフムト。首都キーウにも18日、ロシアによる大規模なミサイル攻撃があったばかりです。

こうした状況の中で、G7広島サミットに参加するため、電撃来日したゼレンスキー大統領。5月に入ってからは、ウクライナを離れることが特に多くなり、G7のうちの4カ国を含むヨーロッパ各国の首脳と会談。19日、中東サウジアラビアを訪れ、20日、日本に入りました。ウクライナの大規模な反転攻勢まで“秒読み”とされる中で、どんな思惑があったのでしょうか?

(慶応義塾大学 廣瀬陽子 教授)
『長く続くであろうこの戦争を乗り切るためには、早く戦闘機を確保したい。ちょうど(反転攻勢の)前にG7サミットがあるというのは、やはり非常に重要なチャンスであって、ラストチャンスとも言えると思います』

さらに、カギ握るのがインドだと言います。

(慶応義塾大学 廣瀬陽子 教授)
『現状インドの存在がロシアの継戦能力をかなり高めてしまっている状況がある。ロシアはダイヤモンドの輸出大国だが、実は研磨をインドでやることによって、“インド産”という形でヨーロッパが随分、ロシア産ダイヤモンドを買ってしまっている実情がある』

ゼレンスキー大統領は20日、早速、インドのモディ首相と会談。ロシアによるウクライナ侵攻以降、対面で会うのは初めてとなります。サタデーステーションはインドの国営放送のキャスターに話を聞くことができました。

(インド国営放送「DD」キャスター アミリット・パール・シン氏)
Qゼレンスキー大統領の電撃来日の受け止めは?
『ロシアは当然、腹を立てるでしょうが、仕方がないことです。武力衝突に勝者はいません。勝利は対話からしか生まれないのです』

南半球の途上国や新興国を中心とする「グローバルサウス」のリーダー格として、存在感を強めているインド。

(インド国営放送「DD」キャスター アミリット・パール・シン氏)
『ウクライナ侵攻でインドが果たすべき役割は一つで、“理性的な声”を上げることです。外交と対話によって解決策を模索することが、ロシア国民とウクライナ国民にとっての利益となるでしょう』

インドは西側諸国ともロシアとも一定の距離を保っています。去年9月、プーチン大統領との会談では、モディ首相が、「今は戦争をする時ではない」と、プーチン大統領に直接、苦言を呈しました。さらに、インド政府は20日、被爆地・広島に平和と非暴力の象徴であるガンジーの胸像を寄贈。核兵器に対し、反対の立場を示す形となりました。

(インド国営放送「DD」キャスター アミリット・パール・シン氏)
『インドは核保有国です。しかし、インドは全世界の核兵器廃絶を望んでいます』

しかしインドは、ウクライナに侵攻したロシアを非難する国連決議をたびたび棄権。さらに、去年はロシアから前年比10倍の量の原油を購入。西側諸国から「ロシアの制裁逃れになっている」と批判されています。インドの思惑について専門家は…

(慶応義塾大学 廣瀬陽子 教授)
『このチャンスにより、多くの富を獲得したいという気持ちがあり、そこはやはり国益重視となると、ウクライナの状況よりも、いかに自国が潤うかというところに目がいってしまうのも、やむを得ない状況』

ロシアは今後、どのような動きを見せるのでしょうか?

(慶応義塾大学 廣瀬陽子 教授)
『ゼレンスキー大統領の訪日が報じられてから、ロシアの首相が中国を訪問するということが発表されている。中国との関係強化を確認しに行ったと考えている』

サタデーステーション 5月20日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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