【報ステ】「課題は中国への不信感」戦争終結に向けた対話の可能性は?(2023年5月19日)
岸田総理はグローバルサウスとの連携強化を掲げていますが、簡単ではなさそうです。
大越キャスター:G7は、支援の規模や中身に違いはあっても、ウクライナに全面的に寄り添うという点では完全に一致しています。しかし、G7が一致しているからといっても、世界が、必ずその方向に動くとは限りません。グローバルサウスの代表格であるインドのジャーナリストの話には深く考えさせられるところがありました。彼は「ロシアによるウクライナ侵攻には誰も賛成していないし、G7がインドを味方につけたいのはわかる。しかし、インドは、エネルギーや食料などの国益が第一で、どちらにも偏らない」と話していました。こうした国々と、ウクライナでの戦争終結に向けて、どう協力関係を築いていくか、そこには難しさがあるなと実感しました。
◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。
(Q.ウクライナにとって、グローバルサウスの国々は、どのような重要性を持つのでしょうか)
ウクライナからすると、ウクライナ支援・ロシアへの制裁は、欧米・G7だけでは十分ではないと思っていると思います。何とかして、グローバルサウスを取り込みながら、国際社会の輪を広げていきたいという願いがあるのではないかと思います。また、欧米諸国は民主国家が多いので、今後、選挙や政権交代があると、中長期的なウクライナ支援が、どこまで維持されるのかという懸念もあるのではないかと思います。
ただ、グローバルサウスの代表格であるインドを取り込むのは、簡単ではなさそうです。20日にクアッドの会合が行われます。他方で、中国とロシアの枠組みであるBRICS、ここにもインドは入っています。インドは、したたかな外交を展開しています。モディ首相とゼレンスキー大統領の首脳会談が予定されていますが、ゼレンスキー大統領が、インドの立ち位置を引き寄せられるのかが注目されると思います。
(Q.欧米各国がウクライナに軍事支援を強め、プーチン政権を追い詰めるのは必然の流れだとしても、やはり外交の力も大きいと思います。その際、G7とは一線を画す中国の動きがポイントになると思います。ウクライナに平和をもたらすうえで、どのようなポイントが大事になっていくと思いますか)
最近、中国は、ウクライナ問題に関して、和平仲介の動きを強めています。ただ、欧米諸国からすると、中国に対する不信感があります。さらに、ポドリャク統領府顧問が対中不信感について言及しています。実際に、中国は影でロシアを支えているところもあり、制裁の抜け穴になっていたりするなど、戦争を継続するプーチン政権を支えようとしているところがあります。戦闘が続く段階においては、ウクライナ自身が中国の和平案を受け入れるのは難しいのではないかと思います。ただ、戦後の復興・復旧となれば、そもそもウクライナと中国の経済的な関係は密ですので、経済力の大きい中国の支援を受け入れるのではないかと思います。
大越キャスター:広島でゼレンスキー大統領が、どのような日程で動いてくのか、まだ明らかになってはいませんが、G7首脳との合同会議に加え、日本やアメリカとの1対1の会談が行われる日程が浮上しています。
そして、グローバルサウスの代表格・インドのモディ首相との1対1の会談も行われるとインドメディアは伝えています。世界経済、環境問題など、グローバルな問題の議論に加えて、ゼレンスキー大統領の動向がこのサミットの焦点となっています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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