「全く能力を活かせない…」“発達障害バー”で語り合う仕事の悩み 人材未活用で経済損失は「年間2.3兆円」とも【news23】|TBS NEWS DIG

「全く能力を活かせない…」“発達障害バー”で語り合う仕事の悩み 人材未活用で経済損失は「年間2.3兆円」とも【news23】|TBS NEWS DIG

「全く能力を活かせない…」“発達障害バー”で語り合う仕事の悩み 人材未活用で経済損失は「年間2.3兆円」とも【news23】|TBS NEWS DIG

東京・神田に、“同じような境遇や悩み”を抱えた人たちが集まるバーがあります。その名も“発達障害バー”。
店主も客もほとんどが発達障害だといいます。バーでの会話に耳を傾けると、多くは「仕事」に関する話が。
発達障害の人たちは今、仕事に関してどのような悩みを抱えているのでしょうか。

■“同じような境遇や悩み”を抱えた人たちが集まるバー

この日は平日にも関わらずバーは満席の様子。“酒を飲みながら談笑する”という一見普通の光景ですが、客にはある共通点が・・・

40代男性:「不注意とか、不注意優勢型のADHDです。財布や鍵とか無くす頻度がすごく多いです」
40代女性:「予定を忘れてしまうので、もう覚えられない前提でやるようにしています」

実はこのバー、客のほとんどが発達障害のある人たちで、当事者同士が悩みを語り合う場になっています。

20代女性:「同じような方々と繋がってみたいなと思って来ました」

中でも多く話題に上がったのは「仕事」に関する話。

20代男性:「うまく企業側に自分のPRが出来なかったりとか、面接でも、うまく受け答えができないことが続きました」

この男性、就職活動の際に数十社受けたものの、一般雇用では内定は出ませんでした。
そこで障害者雇用の枠も視野に入れてみましたが・・・

20代男性:「ハローワークの求人などを見ても、障害者雇用は、まだまだ単純作業が求められるだけの職場も多くて」

大学で専門的に学んだとしても、本来の能力を生かして働くことができないのだと言います。

一方、一般雇用で就職した人の中には、自身の障害を職場に公表していないという人も。

20代男性:「(障害を)オープンにすることによって、受けるであろうデメリット。お金の面もそうですし、将来的なキャリアとか、そういったところを考えたところで、(障害を)オープンにするという選択肢は、生まれてこなかったというのが正直なところです」

■発達障害の人の仕事に関するの悩み 「キャリア」と「配慮」はトレードオフ

現在、多くの企業では「キャリア・給与」と「障害への配慮」が“トレードオフ”の関係になっていると言います。一般雇用で採用されると健常者と同等のキャリアや給与が得られるものの、障害への配慮は得られにくくなります。
つまり障害者にとっては、どちらか一方を諦めざるを得ないという現状があるのです。

バーの店主・光武克さんも発達障害の当事者です。

光武克さん:
「朝9時始業の会社はしんどいけど、10時始業の会社だったら遅刻しなくて健常者で働けるじゃないですか。『ADHDは遅刻しやすいよね、だから配慮しなきゃいけないよね』ではなくて、環境の中で、そもそも最初からフレックスで勤務できる会社を選べば、障害者にならなかったりするんですよね。これが伝わらないんですよね」

男性客:
「当事者側も言語化するの難しいんですよね」

光武さん:
「障害者は、とりあえず能力が低そうだから単純な作業させとけばいいんじゃないってなっちゃうんですよね。これは本当にね社会的な損失が大きいですよね」

実は、光武さん自身もかつて就職活動で苦労した経験がありました。

光武さん:
「30社くらいはアプライしたのかなとは思います。選考が進んでいかないので、すごく焦ったなという記憶はありますね」
「タイムスケジュールとかマネジメントがすごく苦手だったので、なかなか必要な書類を提出しなければいけない締め切りに間に合わせられなかったり」

結局希望していた一般企業には就職せず、フリーランスの塾講師として働くことになりました。

光武さん:
「やっぱり困りごととして大きいのは賃金の問題。賃金がすごく安くて生活が困ってしまうことと、障害自体を隠さないと働けないという社会環境かなと思います」

発達障害人材の未活用による経済損失は世界的に見ても大きく、日本国内でも年間 2.3 兆円に上ると言われています。
今後も労働人口が減少しつつある日本において、発達障害人材の活用は急務となっています。

光武さんは現在、バーの店主に加え、障害者の就職支援を行う会社で働いています。
この会社では自身の経験を活かし、障害者の就職を支援するサービス「障害者翻訳」を開発中です。

光武さん:
「障害情報を入力することで、障害にあったお仕事とか障害特性を生かした仕事の仕方を提案できる」

このサービスは企業側に対し、就職を希望する人がどのような業務ならできるのか、どんな配慮が必要なのかなどを事前に可視化し、伝える事ができるのだと言います。

光武さん:
「例えば営業職は今まで考えたこともなかったけど、この配慮事項があれば営業職だっていけるんだねってことがわかれば、挑戦することができる」

このサービスを利用し、実際に採用につながったという企業も。

三菱総合研究所 吉池由美子人事部長:
「障害にどんな特徴があるのかというのを、個別に翻訳をいただくことで、我々すごく理解が進みますし、ご本人もこういうところが得意です、難しいですというのをいただくことによって、マッチング率は上がる…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230429-6082172)

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