卒業生5人の命が絶たれた高校 事故後に生まれた放送部員たちが証言を集め記憶つなぐ(2023年4月25日)
乗客106人が死亡したJR福知山線の脱線事故から2023年4月25日で18年です。18年前の事故の記憶を記録に残し、未来へつなげる人たちがいます。
兵庫県立北摂三田高校の放送部。毎年、ドキュメント作品を制作してきましたが、去年からJR福知山線脱線事故をテーマにしています。
(北摂三田高校 杉村明沙美さん)
「亡くなる数年前までは自分と同じように日常として高校生活を送っていたんだなと思うと、すごく身近に思えるので、その方たちが亡くなったということを考えるとつらい。それを伝える使命は絶対にあると思うので」
事故で北摂三田高校は、5人もの卒業生が一度に命を絶たれました。いずれも大学生活を送っていた中での志半ばでの悲劇でした。しかし、事故から18年がたち、学校内でも風化が進んでいるのが否めない中で、放送部はドキュメント作品を通じて記憶を未来につないでいこうとしています。
今年3月、放送部の姿はグラウンドにありました。部員たちが話をうかがったのは、山中康彰さん(37)。脱線事故でラグビー部の先輩だった木下和哉さん(当時22)が犠牲になったほか、同期生3人を失いました。
(山中康彰さん)
「『だれだれが見つからへんらしい』『だれだれとは連絡とれへんらしい』『でもあいつとは連絡が取れた』。深夜、翌日も含めてやったんですけど、メールが鳴りやまない。あの日はつらかったというか…いまでも思い出そうと思ったらなんぼでも出てくるというか、記憶は一生消えないんだろうなと思っています」
事故を起こしたJR西日本への複雑な思いも吐露しました。
(山中康彰さん)
「『次、絶対にするなよ』というそういう思い、信じざるを得ないというか。次絶対に起こさないように何かしてくれているのかなというのは、いまはずっと疑いの目で見ています」
事故の後に生まれた後輩たちが記録を紡いでいることに、山中さんはうれしさを感じたといいます。
(山中康彰さん)
「これだけ時がたつと、周りとの会話でも脱線事故の話は出てこないので、こうやって高校生が考えてくれているのは非常にありがたいなと思います」
亡くなった卒業生の1人で、在校中はサッカー部に所属していた小前宏一さん(当時19)。チームメイトだった神谷輝さん(37)は、小前さんとは共に教師を目指した親友でした。
(質問する杉村明沙美さん)
「事故のことを、赴任した学校で教えていたことがあったそうですが、実際に教壇に立って生徒にそのことを伝えるときに思っていたことをお願いします」
(質問に答える神谷輝さん)
「ニュースの見方というか、そういうのがすごく変わって、亡くなった人が1人という数が、それまではそんなに多くないと思っていたんですけど、その『1』ということで、どれだけたくさんの人が、何十倍、何百倍という人が実は悲しんで、実は人生変わっているんだと。だから『1』の重みというか、1人の命の重みを伝える」
(北摂三田高校 杉村明沙美さん)
「命の大切さとか、習ってはいても、やっぱり重みが違うなと思って。こんなに思いを持っている方がいるんだったら、それをしっかり伝えきれる、誰が見ても伝わる番組にしたいなと思いました」
放送部の作品は夏のコンテストで披露される予定で、事故後に生まれた世代が記憶のバトンをつないでいきます。
▼MBS NEWS HP
https://ift.tt/pZXjQui
▼最新ニュースや特集を毎日配信 チャンネル登録お願いします!
https://www.youtube.com/c/MBSnewsCH?sub_confirmation=1
#JR福知山線 #脱線事故 #北摂三田高校 #放送部 #ドキュメント作品 #MBSニュース #毎日放送
コメントを書く