ロシアでの“活動等禁止”へ 北方領土元島民が怒り…“バリ島渡航”急増 徴兵回避か(2023年4月24日)
21日、ロシア当局が北方領土の元島民らでつくる日本の団体に対し、ロシア国内での活動などを禁止する方針を打ち出した。元島民から怒りの声が上がっている。一方で、南の島にロシア人が押し寄せていて問題となっている。
■ロシア検察当局「好ましくない組織」…連盟は“抗議”
ロシア検察当局:「ロシアの領土の一部を奪おうとしている」「ロシアについて否定的な意見を形成し、反ロシア感情を高めている」
ロシア検察当局は21日、北方領土の返還を目指し、元島民などでつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」を非難。さらに、「好ましくない組織」に指定したと発表し、ロシア国内での活動などを禁じる方針を打ち出した。
新型コロナの影響で2020年から中断している北方領土への墓参りの再開も困難になるとみられ、元島民から次々と怒りの声が上がった。
元島民・大塚誠之助さん:「我々はずっと友好的だったんです。今回のような扱いをされる覚えはないですね」
元島民・岩崎忠明さん:「気持ちだけはくじけない、そういう気持ちです」
連盟の脇紀美夫理事長はコメントを発表し、「きわめて一方的な対応であり断じて受け入れることはできない」と抗議した。
■“招集令状電子化”テスト開始 プーチン氏が法案署名
今回、ロシア側が発表した意図についてロシア情勢に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は、次のように話す。
廣瀬教授:「北方領土問題で、まさにロシア側が全く譲歩する気がないということを改めて示したことになると思います。国後島と択捉島の間の国後水道(海峡)という所が唯一、潜水艦が通れる所なんですね。やはり、軍事戦略的な意味合いからも北方領土は非常に重要となっています」
一方、14日にプーチン大統領が招集令状を電子化する法案に署名したばかりだが、インタファクス通信によると20日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの軍事委員会幹部が徴兵などの招集令状を電子化するテストが始まったことを明らかにしたという。
■ロシア人の“バリ島渡航”急増 要因は?
プーチン政権が去年9月、部分的動員令を発令してから、ロシアから海外に渡る人が増えていると報じられているが、ある南の島に渡っているという。
多くのロシア人が行く先は、インドネシアのバリ島だ。インドネシアメディアによると、去年9月の部分的動員令の発令後にバリ島への渡航が急増し、今年1月だけで2万2500人が渡ったそうだ。
要因として考えられるのが、簡単なビザの取得サービスだ。去年5月、インドネシア政府はロシアを「到着ビザ」の給付対象国に加えた。
これによって事前手続きなしでも、到着時に空港などで30日間の観光目的ビザを取得できるようになった。
さらに、ビザ発給にかかる手数料もおよそ4500円と比較的安く、延長も可能だということだ。
■強制送還“ロシア人は最多” 徴兵回避のためか
そして、ロシア人によるトラブルも増えているようだ。現地メディアによると、3月上旬の1週間、交通違反で摘発された外国人の数は171人、うち3分の1の56人がロシア人だったようだ。
またCNNによると、今年1月1日から4月2日までの間に、バリ島で法律に違反し、強制送還された外国人は40人で、そのうちロシア人は最多の14人だったという。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、強制送還されたロシア人の中には、ロシアでの徴兵を回避するために、ビザで許可された在留期間を超えて滞在していた人もいると伝えている。
■“楽観的態度”示すジョコ大統領「問題ではない」
一方、ロシア人のトラブルを巡っては、インドネシアの自治体と政府で温度差があるようだ。
ロイター通信によると、バリの州知事が「到着ビザ」の発給対象国からロシアを外すよう、インドネシア政府当局に要請したということだ。
一方、インドネシアのジョコ大統領は「(トラブルを起こすロシア人に対し)彼らは逃亡しているのではなく、観光できているのだから問題ではない」といった楽観的な態度を示したと、現地メディアは伝えている。
ロシア情勢に詳しい慶應義塾大学の廣瀬教授によると、「インドネシアはロシアから石油や兵器などを多く購入していて、安定的な国家運営において、ロシアとの関係維持は極めて重要」とし、そのためインドネシア政府は、プーチン政権を刺激し、外交問題に発展するのは避けたいのが本音ではと分析している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年4月24日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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