【報ステ】「思い出いっぱい」不明乗客のスマホ“復元”知床観光船沈没まもなく1年(2023年4月20日)

【報ステ】「思い出いっぱい」不明乗客のスマホ“復元”知床観光船沈没まもなく1年(2023年4月20日)

【報ステ】「思い出いっぱい」不明乗客のスマホ“復元”知床観光船沈没まもなく1年(2023年4月20日)

知床沖で観光船『KAZU1』が沈没した事故から、まもなく1年。

乗っていた26人のうち、20人が死亡。いまだ6人の行方がわかっていません。第一管区海上保安本部は、運航会社の桂田精一社長(59)を立件する方針ですが、動きの見えないまま、もう1年。調査報告書は、沈没の原因を、ハッチからの浸水だった可能性が高いとしています。

小柳宝大さん(35)は、いまも行方がわからない、6人のうちの1人です。小柳さんの父親(64)は、今週末、再び、知床に向かいます。
小柳宝大さんの父親:「息子が見た景色を見たいと思って、準備しています。(写真は)ちょうど1年前の日に、息子が食事に行ったところ。同じメニューを注文しようと思って」

宝大さんは、リンガーハットでのバイトから社員となって、6年前、カンボジアに赴任。久しぶりの帰国で、北海道旅行を楽しんでいました。水深120メートルの海底から引き揚げられたカメラには、宝大さんの撮った沈没した日の写真が残っていました。カシュニの滝から離れるKAZU1からの1枚。これが最後でした。

実は、海保から返却された宝大さんの荷物は、カメラだけではありません。スマートフォンもありました。私たちは、このスマホの修復を託されました。

六本木ヒルズに本社を置き、あらゆるデータトラブルに応じるデジタルデータソリューション。数百件もの警察の捜査に協力してきた実績があり、失われていたデータをも復元します。

スマホを預け、約4カ月。内部は腐食が進んでいましたが、データの復元に成功しました。
小柳宝大さんの父親:「カンボジアに仕事で駐在していたので、カンボジアの写真ばかり入っている。仕事を、こんなに好きになる人間っていない。息子は本当に仕事が好きで」

写真は、4年以上前に撮られたものばかり。もしかしたら、このほかに別のスマホを持っていたのかもしれません。
小柳宝大さんの父親:「本当にうれしい。息子は帰ってこないけど、息子の思い出がいっぱい見られて、うれしい」

小柳さんは、この1年、海上保安庁には事故への対応について、説明を求めてきました。何度も話し合いを重ねてきました。
小柳宝大さんの父親(先月24日):「現場到着が3時間以上もかかる。最初からわかっていながら、なぜ、自衛隊に災害派遣要請しなかったのか。おたくたちはプロでしょう。海上保安庁は、何しているんですか」

海保が自衛隊に、災害派遣要請をしたのは、通報から6時間以上、経ってからでした。小柳さんが納得する答えは得られていません。

知床の一件のあと、海保は、海難事故が起きた際、自衛隊への災害派遣要請を早めるよう、全国の管区に指示しています。

小柳さんの家のカレンダーは、事故の日からめくられず、時計の針も、KAZU1との連絡が途絶えた時刻で止められていました。
小柳宝大さんの父親:「いつまでもこんなふうで、宙ぶらりにしてもいけないし、本人が帰って来ていれば、葬儀を出すけど。本人が帰ってきてないから、お別れの会をしようと。息子も多分『もういいじゃないか』『この辺で前向いて歩いて行ってよ』という性格だったから。動かさないことには」

※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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