新電力側「一番力あるところがルール無視で残念」不正閲覧問題で関電に業務改善命令へ(2023年4月14日)

新電力側「一番力あるところがルール無視で残念」不正閲覧問題で関電に業務改善命令へ(2023年4月14日)

新電力側「一番力あるところがルール無視で残念」不正閲覧問題で関電に業務改善命令へ(2023年4月14日)

関西電力の社員らが新電力の顧客情報を不正に閲覧していた問題。経済産業省は関西電力や九州電力などに業務改善命令を出す方針です。電力小売の公平な競争を揺るがす不正行為に、極めて厳しい処分が下されます。

 業界を揺るがす、大手電力会社による新電力の顧客情報の不正閲覧。

 (西村康稔経済産業大臣 4月4日)
 「私としても極めて遺憾であると認識しております。厳正に対処していきたい」

 経済産業省は来週にも、関西電力や九州電力などに行政処分としてはトップ級の業務改善命令を出す予定です。国が怒り心頭なのは、電力の公正な小売競争を根底から揺るがす不正だからです。

 送配電会社は電気を送り届ける上で、大手電力会社のライバルである小売事業者、いわゆる新電力の顧客情報(名義や電力使用量など)も持ちます。しかし、この情報は親会社である大手電力会社と共有してはいけません。大手電力がこの情報を営業活動に利用して新電力が不利にならないようにするためです。

 ところが去年12月、関西電力の子会社である関西電力送配電のシステムで情報遮断に漏れがあることが判明。送配電側が持つ新電力の顧客情報を、関西電力の社員らも見ることができるようになっていたのです。

 関西電力送配電の調査によりますと、2019年11月~2022年12月、少なくとも関西電力と委託先の社員の計1606人が15万3095契約分の情報を閲覧。不正閲覧はまさに常態化していたのです。電力使用量が多い住宅を抽出してオール電化の契約を勧めていたケースも確認され、国が危惧していた“営業活動への悪用”が現実となってしまいました。

 被害者とも言える新電力。社長の1人は、“顧客情報が関西電力に漏れているのではないか”と感じる場面が以前からあったといいます。

 (新電力「TERA Energy」 竹本了悟社長)
 「たとえば、弊社に電気を切り替えて1か月とか少したったタイミングで、関西電力と名乗る営業の電話がかかってきて、『今の契約よりも、よりメリットのある契約に切り替えることができますよ』という営業電話がかかる事例はいくつか聞いておりますね。新電力側というのは、“巨人にアリがぶつかっていく”というぐらい不利な状況でビジネスを展開することになっていますので。一番力を持っているところが、ルール無視で不正閲覧をやるような業界なんだなということに対しては、非常に残念に思います」

 さらに、“いまのシステムでは再発防止は難しい”と指摘する声もあります。関西電力は4月末まで能動的な営業活動を自粛していますが、2か月ほどの自粛では足りないと、より厳しい処分を求める意見書を国に提出したのが、電気料金の比較サイトを運営する「ENECHANGE」です。

 (ENECHANGE 千島亨太執行役員)
 「小売自由化などの電力システム改革、この10年間の信用を損なったという意味では、それを徹底的に解明して改めて再スタートするには、1か月2か月じゃとてもじゃないけど足りないものだと思っています。原因究明もまだできておりません。その中で改善できる期間というのは、6か月ぐらいの能動的な営業活動停止を取るべきだと思って、今回の提言を出しております」

 ENECHANGEの担当者は、送配電会社の独立を徹底するために、大手電力会社との資本関係を絶つ「所有権分離」を視野に入れるべきだと主張します。

 (ENECHANGE 千島亨太執行役員)
 「所有権分離、それによる完全な分離独立を図り、徹底的に監視管理対象にする。不正がまかり通ってしまう状況が放置されたことを看過せずに、一回ものすごく厳しくチェックをして、何が最適なのかというのを議論するタイミングだと思っているんですよね」

 業務改善命令が出れば、関西電力は抜本的な再発防止策を練って経産省に進捗を報告することのほか、関係者に対する厳しい処分が命じられます。関西電力は3年前にも金品受領問題に関連して業務改善命令を受けています。信頼を取り戻すためには、もはや一刻の猶予もありません。

▼MBS NEWS HP
https://ift.tt/jVvgKc5

▼最新ニュースや特集を毎日配信 チャンネル登録お願いします!
https://www.youtube.com/c/MBSnewsCH?sub_confirmation=1

#MBSニュース #毎日放送 #関西電力 #新電力 #顧客情報 #不正閲覧

MBSnewsCHカテゴリの最新記事