「虐待の連鎖」9日間の旅行で3歳児放置し死なせた罪 母に懲役8年の実刑判決
3歳の長女を9日間にわたって自宅に放置し、衰弱死させた罪に問われた母親に懲役8年の判決が言い渡されました。裁判長は判決で母親自身が幼い頃に受けたという虐待の影響を指摘しました。
シングルマザーだった梯沙希被告（26）はおととし6月、交際相手に会うために旅行に出かけ、9日間にわたって東京・大田区の自宅アパートに長女の稀華ちゃん（3）を放置して衰弱死させた保護責任者遺棄致死などの罪に問われました。
梯被告は起訴内容を認めていますが、先月の法廷で弁護側は梯被告の母親の供述調書を読み上げ、梯被告自身も凄惨な虐待を受けていたと明らかにしました。
梯沙希被告に対する虐待について（母親の調書）
「沙希を正座をさせて後ろ手でガムテープでしばりました。ビニール袋に入れて数日間、お風呂場に放置しました。沙希は１人で歩けなくなりました」
一方、検察側はこうした虐待の影響について「酌むべき事情だが刑事責任を低下させるものではない」と懲役11年を求刑していました。
そして、きょうの判決。東京地裁は懲役8年を言い渡したうえで・・・
東京地裁 裁判長
「被告人が過去に壮絶な虐待を受けたうえ、必ずしも適切とはいえないケアを受けて育ってきた。成育歴によって形成された性格傾向が本件犯行に複雑に影響を及ぼしていると認められる」
梯被告の鑑定を行い、法廷でも証言した専門家は「虐待の連鎖」が事件に与えた影響を次のように説明します。
山梨県立大学 臨床心理学 西澤 哲 教授
「親から大事にされなかったというのは相当深い穴を開けてしまうんですね、 心の中に。稀華ちゃんと一緒にいることを彼女自身もある程度楽しめていたと思うんで、だけれどもどっかで足りないものを感じるんだと思うんですよ。それがやっぱり男性関係になるし友達と飲みに行くっていうことになってしまう」
専門家は「懲役刑だけでは虐待の連鎖は断てない」「治療が受けられる環境が必要だ」と指摘しています。
（09日16:54）
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