【ロヒンギャ難民問題】“世界最大の人道危機” 100万人生活の難民キャンプ、新たな問題に直面
世界最大の人道危機とされるロヒンギャ難民問題。100万人が生活するロヒンギャの難民キャンプでは、避難が長引く中、新たな問題に直面しています。
■スマホを売り買い、教育や収入を手にする機会も
南アジア・バングラデシュ。ミャンマーとの国境近くに広がるのは「ロヒンギャ」と呼ばれる人々が暮らす難民キャンプです。
女性「ミャンマーでは、私たちには人間としての権利がありませんでした」
彼らは、ミャンマーの少数派イスラム教徒・ロヒンギャ。2017年、ミャンマー軍などによる武力弾圧が行われ、これまでに、およそ100万人がバングラデシュに逃れてきました。
大規模な難民キャンプの誕生から6年。私たちが目撃したのは…。
店員「1日に3~4個売れます」
キャンプ内でスマートフォンが売り買いされている光景でした。
さらに…。
青年「このイヤホンは、お兄さんが僕のために買ってきてくれたんです。ここでは学校に通えるし、スポーツをすることもできます」
ミャンマーでは得ることのできなかった教育や収入を手にする機会が得られ、笑顔を見せる人々もいます。
■自由を求め脱出する人が急増、暴力を受けて脱出した子どもも
しかし、いまある問題が浮上。
記者「難民キャンプから車で1時間ほどの漁港です。キャンプを出た女性たちも働いています」
ここ数年、身体的・金銭的な自由を求めて、キャンプを脱出する人が急増しているのです。
ある女性は、1か月半前にキャンプを脱出。娘の結婚資金を得るため仕事を求めて脱出を決断したといいます。
女性「キャンプの中には娘も親戚もいます。でも、お金を稼がなければいけないので、ここに来ました」
水産物を加工する作業で得られるのは、月におよそ2万5000円。難民キャンプでの生活と比べれば破格の待遇といえます。
女性「難民キャンプは、たくさんの人が閉じ込められている牢屋(ろうや)みたいです。ここは自由で良い場所です」
さらに、やむをえない事情でキャンプから逃れてきた子どもも。
男の子「キャンプには戻りたくない。あそこは好きじゃないです。お兄さんから暴力を受けていたので、ここに逃げてきました」
7人兄弟から暴力を受けていたと打ち明けた男の子。4か月前、難民キャンプから、ひとりで脱出し、ストリートチルドレンの集団に合流したといいます。ゴミ山で一日中、プラスチックを集めても、1日に300円ほどにしかなりません。
■「忘れてしまっていても、問題はなくならない」
現地で支援を続ける日本人職員は。
UNHCRコックスバザール事務所・赤阪陽子所長「新しいエマージェンシー(緊急事態)、ウクライナやアフガニスタンなどに、ドナー(支援者)の関心がいってしまう。忘れてしまっていても、彼らが直面している問題はなくならない」
難民キャンプでは近年、治安の悪化も問題に。ふるさとに戻るメドが立たず、長引く避難生活が難民の心に影を落としています。
それでも懸命に生きる人々の姿も。
女性「ここに来て、もう怖くなくなりました。これまで知らなかったことが分かるようになりました。いまは私ひとりで、どこにでも行けます」
100万人のロヒンギャ難民をどう救うか。国際社会には息の長い支援が求められています。
(2023年4月8日放送「news zero」より)
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