早い桜の開花の裏で… 気候変動の時限爆弾は針を進めている 【風をよむ】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

早い桜の開花の裏で… 気候変動の時限爆弾は針を進めている 【風をよむ】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

早い桜の開花の裏で… 気候変動の時限爆弾は針を進めている 【風をよむ】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

各地で今年も見頃を迎えている桜。例年になく早い開花が伝えられています。その背景にあるものとは…

■観測史上最も早い開花

福島県三春町・坂本浩之町長(3月27日)
「ただいまをもって三春滝桜の開花を宣言させていただきます」

3月27日、福島県三春町にある国の天然記念物、「滝桜」の開花が発表されました。

平年であれば4月上旬頃に開花しますが、今年は観測開始以来、最も早い3月下旬の開花。さらに…

長野県小諸市・小泉俊博市長(3月29日)
「ここに開花を宣言します」

長野県小諸市の懐古園でも3月29日に、また新潟市でも3月27日にと、いずれも観測史上最も早く開花。

東京でも3月14日に観測史上1位タイで開花し、すでに22日には満開を迎えたのです。

各地で相次ぐ、観測史上最も早い桜の開花。こうした列島の異常は、2023年に入って植物だけでなく動物たちにも見られます。

■海でも異変が・・・

1月には東京湾で珍しいクジラやトドの姿が。詳しい原因は不明ですが、高い海水温との関係も指摘されています。

一方で北海道では、サケ漁の際に温帯性のブリが網にかかるケースが出ており、2007年と比べ、ブリの漁獲量が6倍に急増。

片やサバは例年に比べ記録的な不漁。サンマも極端な不漁が続いており、水揚げ量は4年連続で過去最低を更新しています。

■異変の原因に・・・「海洋熱波」

こうした原因の一つとして指摘されるのが、数日から数年に渡り、海水温が急激に上昇する「マリン・ヒートウェイブ=海洋熱波」という現象です。

江守正多教授・東京大学未来ビジョン研究センター
「海洋熱波というのは、ある海域で海水温が極端に上昇する、それがある期間続くことですけれども、地球温暖化によって平均的な上昇分が加わり、より記録的な高温が発生してしまって、海の生態系に顕著な影響を及ぼす」

例えばこの鮮魚店では、2022年まではあった「アラスカ産」のズワイガニが、店頭から消えたといいます。

斉藤水産斉藤又雄統括責任者
「これがロシア産のズワイガニ。アラスカ産はほとんど出ていない。去年あたりからずっとです…」

■アラスカでの異変とは・・・

漁業生産量で、全米トップ3に位置するアラスカ州・コディアック島。

記者「アラスカの沖合から漁を終えた船が今、港に戻ってきました」

現在、ズワイガニは漁獲可能な基準値を下回ったとしてベーリング海で禁漁に。漁師は、普段獲らないタナークラブという別の種類のカニを獲って生計を立てていました。

ズワイガニ漁師・プラウトさん
「残念ながら今年はほんのわずかしかお金にならない。(収入は)85%ダウンです」

原因は、ここでも「海洋熱波」だと現地の専門家はいいます。

アメリカ海洋大気局エリン・フィドゥワ研究員
「2018年から2019年にかけての調査で100億匹のズワイガニがいなくなったことがわかりました。その前の2018年と2019年に起きた『海洋熱波』が影響しているとはっきり示しています」

■「気候変動の時限爆弾」

さらに、海水温だけでなく世界的な気候変動は益々深刻化しています。その影響について、3月20日、国連のグテーレス事務総長は、改めて地球温暖化に警鐘を鳴らしました。

グテーレス国連事務総長(3月20日)
「過去200年間の地球温暖化の原因は、ほぼすべて人類にある。二酸化炭素の濃度は、少なくとも過去200万年で最も高くなっている。気候の“時限爆弾”は針を進めている」

■生息地が失われ…

世界各地で、刻々と深刻さを増す気候変動…。

例えば、オーストラリア北部を3月、大雨が襲い町全体が冠水。2022年も、東部を「1000年に一度」と言われる豪雨が襲い、河川の氾濫で、多くの建物が水没しました。

こうした洪水や干ばつ、大規模な森林火災で生息地を失った野生のコアラの数は2018年からの3年間でおよそ30%減少したといいます。

■今世紀末には3.4度上昇?

3月20日、国連の「IPCC=気候変動に関する政府間パネル」は最新の報告書を公表。その中で、今後対策を強化しなければ、今世紀末には産業革命前に比べ、最大3.4度の気温上昇になると警告したのです。

江守正多教授・東京大学未来ビジョン研究センター
「3度上昇するというのは、極端な暑さとか、極端な大雨、極端に強い台風というのが段々その確率が上がって行く。南極の氷床が不安定化して、崩れていって海面上昇が加速するとか、アマゾンの熱帯雨林が勝手に枯れ始めていって。そういうことが始まるポイントを超えてしまうんじゃないかと。その結果、やはり水とか食料が世界的に不足して、水・食糧資源の奪い合いになる…」

相次ぐ、観測史上最も早い桜の開花。その裏で気候変動は確実に進行しています…

(サンデーモーニング2023年4月2日放送より)

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