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時代に沿った“書店”の形とは「また会う日まで」八重洲ブックセンター閉店へ(2023年3月30日)
巨大書店の先駆けと言われる『八重洲ブックセンター』が31日、44年の歴史に一度、幕を下ろします。
東京駅の目の前、地下1階、地上8階、すべてが本屋さん。100万冊をそろえる“日本初”のマンモス書店です。
50代:「他の書店にないものを、こちらで「あった!」っていって、喜んで手に取った」
70代:「東京に出てきた時に、必ず八重洲ブックセンターで、包装紙ね、女房に言われてカバーをもらって帰って。子どもたちの集まりで、珍しいから、これに包んだりしていた。(孫を)小さい時に連れてきて、思い出ないと言うから連れてきた」
娘が勤務(70代):「(娘が)27年間、お世話になりました」「会社が花巻にあるんですが、時々、東京に主張して、その帰りにここに寄って。2階(ビジネス書フロア)にお世話になって」
20代:「学生時代の思い出のお店がなくなっちゃうと思うと悲しい」
50代:「父が生前、丸の内で働いていた。会社の帰りとかに待ち合わせして、一緒に帰ったりしていた。やっぱり寂しい」
オープンしたのは1978年。鹿島建設の会長だった鹿島守之助さんが「作者の有名無名にかかわらず、全ての本を置く書店をつくりたい」と建設しました。参考にしたのは、パリやニューヨークの書店です。
小規模書店などから反発のあった時代。開店日には5万人が押し寄せる社会現象になりました。出版をイベントにするなど、新しい価値観を定着させ、作家たちの信頼も集めてきました。
八重洲ブックセンターに本が並ぶことは“ステイタス”。90年代から出入りする出版社の人はこう話します。
大手出版社の担当者:「営業に行く度に緊張した。各フロアの担当者が目利きのプロ集団で、鋭いツッコミが怖くて、予習が大変だった」
“プロ集団”が時代を築いてきた建物も今後、取り壊されます。
渡辺瑠海アナウンサー:「店内の柱には、作家さんたちから寄せられたメッセージがあります。『一冊ずつ大切にしてくださり、ありがとうございます。また会う日まで!』。こちらのメッセージは、小説家・湊かなえさんから寄せられたものです」
全国で2万軒を超えていた書店は、通販の増加や、書籍のデジタル化などで、現在1万軒ほどに減っています。それでも、5年後の2028年、同じ場所に完成する43階建てビルの一部として再開を予定しています。
八重洲ブックセンター営業部・内田俊明マネジャー:「『ない本はない』というコンセプトもそうですし、東京駅前という立地で全国からいらして頂ける。全国のお客様のニーズに応えられるよう“求められる書店像”であり続けていきたい」
時代と寄り添う、新たな書店の形があります。ただ1冊の本をコンセプトにした東京・銀座『森岡書店』。その時、取り扱う本を求めて、お客さんが訪れます。店頭に立つのは著者本人。必然的に、深い理解と、作者と読者の密な関係が生まれます。
“読書には静寂”そんな常識に挑戦する書店も。東京・池袋『天狼院書店』の店員は積極的に話しかけます。
店員:「(Q.うるさがられることは)たまにあります。一人でも多くのお客さまに知って頂きたいという思いで話しかけています」
コミュニケーションが本好きたちを抱え込み、安定した収入につながる。これからの書店の形だと実感しています。
『天狼院書店』三浦崇典店主:「リアルが一番データ量が多いので、最強だと思うんですよね。出会いの場としても。本の本質である“有益な情報”をパッケージとして売る。これ自体は、人類が存続する限りは消えないと思う、ニーズとして。それは続くのでしょうけど、どんどん変容はすると思いますね」
【時代に沿った“書店”の形とは】
全国的に書店の数は減っています。去年行われた調査では、全国の1741の市区町村のうち、5割弱(45.4%)の自治体に書店がない、または1店舗しかないことが分かりました。
時代に合わせた書店のあり方を実現しているところもあります。神奈川県を中心に展開する『有隣堂』は、『有隣堂しか知らない世界』というYouTubeのサイトを運営しています。
印刷された紙がどのように本になるかの様子を見せた動画など、一般の人はあまり目にしない業界の裏側を紹介しています。それ以外にも『時刻表の世界』『紙の地図の世界』などユニークな動画もあるということです。
総再生回数は30日時点で約3800万回。特徴的なのは、新刊や売れ筋など、本自体のことを紹介する動画ではないことです。
書店が動画配信する狙いについて、有隣堂の広報担当・渡邉郁さんは「“有隣堂ファン”を作りたかった。本は全国どこで買っても同じ価格。ネット販売との差別化も難しいため、まずは有隣堂を好きになってもらい、そこから“書店の魅力”を伝えたかった」と話しています。
首都圏の例を紹介しましたが、地方でも書店の在り方は変化しています。
2016年にオープンした青森の『八戸ブックセンター』は仕入れや販売、イベントの企画など、ほぼすべてを
八戸市の職員が手掛けています。つまり、市営の書店です。
市が書店を運営することについて、所長の音喜多信嗣さんは「実店舗が減少するなかで、市民と本が出会う機会を増やすために、市がその部分を担っている」ということです。
それなら、図書館でもいいのではないかと思われるかもしれませんが「図書館で借りるのではなく、手に取り、買って、自分の本棚に並べると“形”として記憶に残る。背表紙を見ただけで本の思い出がよみがえる」としています。
「電子書籍が一般的になってきた時代だからこそ、本に対する思い出を作ってほしい」と話します。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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