反転攻勢のチャンス?ロシア正規軍とワグネルに“確執”激戦地バフムトでロシア失速か(2023年3月27日)

反転攻勢のチャンス?ロシア正規軍とワグネルに“確執”激戦地バフムトでロシア失速か(2023年3月27日)

反転攻勢のチャンス?ロシア正規軍とワグネルに“確執”激戦地バフムトでロシア失速か(2023年3月27日)

ウクライナ軍とロシア軍、それぞれに少なくとも数千人の死者が出ていると言われているバフムト。攻防戦が激しさを増してから4カ月が経とうとしています。

軍事的にさほど重要ではない、とも言われている場所ですが、内外の注目度が増しているため、象徴的な意味合いで重要度が増してきました。

ゼレンスキー大統領は先週、2度目の訪問をし、一方のロシアも国営メディアが「ワグネルグループ。ゼレンスキーが訪れたバフムトの工場を完全掌握」と報じました。

この工場は、ゼレンスキー大統領が3カ月前、1度目の時に訪れていた場所です。あえてロシアが強調したのは「戦果のアピールとして申し分ない」と判断したからなのかもしれません。

ただ、バフムトでロシア軍の動きが失速していると分析されていて、その背景には、内部分裂があるとの見方も出ています。

民間軍事会社『ワグネル』創設者、プリゴジン氏:「我々は嫉妬の対象となっている。ロシア正規軍は、意図的に弾薬の供給を止め、我々が何も成し遂げられないようにした」

ISW戦争研究所:「正規軍は、アウディイフカ方面で新しい旅団を編成し続けている」

バフムトの侵攻はワグネルが中心に行っていますが、軍との間で手柄争いが発生し、正規軍の援助が限定的になっているようです。

その正規軍が今、攻勢を強めているのは、バフムトから南に60キロのアウディイフカです。

ウクライナ軍報道官:「“第2のバフムト”になる可能性がある」

ウクライナ防衛軍:「我々の軍が、ロシアの無人機を落とします。防空壕へ避難したほうが良さそうです。無人機は的を定めて攻撃してきて“ロシア軍はミサイルや武器不足だ”というのは噂に過ぎない。人を含め、様々な標的を攻撃しています」

RFE記者:「このゴーストタウンは、攻撃により被害が拡大しています。ウクライナ防衛隊によりますと、よくあるロシア軍の戦術で、都市の占領はできなくても、完全に破壊していくのです」

人が隠れられる建物と、動くもの全てが標的になる状況でした。ここには、まだ2000人の民間人が残っていますが、段階的な避難が始まりました。

住民:「母は98歳なので、移動の時に死ぬかもしれない。ここに居たいですが。子どもたちは避難して、生き延びてほしいと言っている」

地元の軍事行政官は、スパイ活動を警戒して、携帯電話を使えなくすると発表しました。

アウディイフカ、バラバシュ軍事行政官:「モバイル通信を遮断します。数日間は、携帯の充電が可能ですが、住民、特に子どものいる家族は、この地域を離れなくてはならない」

【“守り重視”でウクライナ反撃は】

防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きました。

(Q.対立した背景はなんですか)

兵頭さん:「東部のバフムトは、去年秋から『ワグネル』が主導権を握り攻勢を強めていた。ただ、必要以上に政治影響力が高まる創設者のプリゴジン氏を抑えるため、プーチン大統領が『正規軍に戦果を出せ』と指示。手柄を取りたい正規軍との間で、対立激化していた」

(Q.今後の戦況にどう影響しますか)

兵頭さん:「ロシア側はバフムトをはじめ、ドネツク州制圧に向け“多大な犠牲を払いながら攻める”戦い方から、今の“支配地域を死守”する戦い方に変える可能性がある」

(Q.ロシアが守りに入ると、ウクライナにとっては反転攻勢に転じるタイミングになりますか)

兵頭さん:「ウクライナ側はやりづらい点も出てきます。ロシアの兵力を消耗させてから、春から夏にかけて大規模な攻勢を狙っていたが、ロシア側が当面守り重視になると、東部・南部奪還の動きが鈍る可能性も出てくる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事