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【報ステ全文】ラスト大谷、ダルビッシュ秘話、源田の負傷…栗山監督に聞くWBCの裏側(2023年3月23日)
第5回WBCで14年ぶりの世界一に輝いた侍ジャパン。感動的な優勝の舞台裏を、凱旋したばかりの栗山英樹監督に聞きます。
【栗山監督に聞く「世界一の瞬間」】
(Q.帰国されて、どれだけ多くの日本人が見守っていたかを感じましたか)
栗山監督:「もう本当すごかったですね空港から。本当にありがたかったですし、力もらいましたし、うれしかったです」
(Q.侍ジャパンのメンバーたちはそれぞれのチームに帰りました。寂しくないですか)
栗山監督:「あれだけうれしい思いは二度とできないかもしれないので、すごい悲しいですけど、もっともっと彼らはがんばってくれるので、また野球を応援していきます」
(Q.金メダルはいかがですか)
栗山監督:「メダル初めてですけど、重いです。責任の重さもありましたし、それを感じるのかもしれないですけど、すごく重いので」
(Q.監督がメダルを授与されるのは、野球ではあまり見ないですね)
栗山監督:「そうですね。ですから、うれしかったです」
(Q.最後のマウンドにはやはり大谷翔平選手がいました。優勝決定の瞬間、大谷選手は喜びをはじけさせていましたが、ご覧になっていましたか)
栗山監督:「僕は今、初めて見ました。僕はバッターの方をずっと見ていて『トラウト空振りしてくれ』って。そっちばっかり見ていて、三振した瞬間、僕はコーチとハイタッチしていたので、彼の姿を見てなかったです。本当にうれしかったです」
(Q.大谷選手がよろこびを爆発させてるシーンを見ていかがですか)
栗山監督:「久しぶりに長い間、翔平と一緒にいて、やっぱりこれがやりたかったんだなっていう。なかなかエンゼルスでチームが勝ちきれない。これ負けたら終わりっていう中で、全力を出し尽くす。勝つために命をかける。そんな感じの約1カ月だったので、今見て、これがやりたかったんだろうなって。本当に全力尽くして勝ち負けを競う競技なんだっていうことですね」
(Q.最後のバッターがチームメイトのトラウト選手で、日米両雄の戦いになりました。ドラマを超えたドラマだなと思いましたが、どうご覧になりましたか)
栗山監督:「普通、僕そういうのを色々考えながら、試合展開を見ていくんですけど、いきなり翔平が出てきて、フォアボールでランナーを出しているので、普通あのリードでなかなかいかない。いつかどっかでやられる可能性を考えてるので。ゲッツーで2アウトになって、トラウト選手が入った瞬間に『勝てるかもしれない、この物語』って思いました。物語ですよね完全に。最後に大谷対トラウトで試合が決まるっていうのは、全世界の夢なはずなので『野球の神様がこう作ってくれたのかな』って思った時に初めて『勝てるかもしれない』って思いました」
(Q.野球の神様は、ここまで心にくい演出をするのかって驚かれたんじゃないですか)
栗山監督:「あの試合の最後の展開っていうのは、良いピッチャーをつないでいくって思っていましたけど、まさか、こういう物語の終わり方をするんだっていう。もしかすると、一人ひとりのジャパンだったり、大谷翔平の持っている大きさだったりとか、野球の神様に祝福されてる選手なのかなっていうのは感じます」
【栗山監督に聞く「采配の裏側」】
栗山監督は、報道ステーションのスポーツキャスターとして出演されていました。昔の仲間たちの報道ステーション・スポーツ班が「ここツッコミたい」というところを3つ挙げました。
(1)1番 ラーズ・ヌートバー
(Q.ヌートバー選手は、スポーツ班の中でもほとんど知られていませんでした。結果は大成功でしたが、なぜ、ヌートバー選手を呼ぼうと思ったのでしょうか)
栗山監督:「色んな要因があって。まずはポジション的に。日本では今、センターラインの超一流選手たちが、だいぶ年齢を重ねていく時代にあって。センターというのが、1つのテーマだったことがまず1つあるんですね。そこで僕は、ヌートバー選手とクアン選手の2人が何とかいけないのかなと思って。本当は1人って言いながら、実は2人入れちゃいたいなって。クワン選手はインディアンスの打率が良いバッターで、ヌートバー選手と2人で外野に入ったら、すごい強いだろうなって思っていたんです。ただ、日本にルーツがあるとはいえ、日本の皆さん、野球ファンの意識で、いきなりアメリカでやってる選手を2人入れることが良いのか悪いのか。そういう色んなことを考えていくなかで、たまたまクワン選手が規定上入れなかったんですよ。おじいちゃん・おばあちゃんが日本国籍で、お父さん・お母さんじゃないとダメなので。そういう流れのなかで1人になったんですけど、ヌートバー選手と話をした瞬間に、めっちゃいいやつだし、絶対大好きになると思えたので、僕は行けると思いました。ただ、活躍するかどうかはやってみたいと分からないので」
(Q.1番・切り込み隊長に迷いはなかったですか)
栗山監督:「使って結果が出なければ変えることは考えますけれども、この思い切りの良さと全力プレーというのは切り込み隊長にぴったりだったので。まずは1番からいきたい。センターで行きたい。普通センターって、両脇の外野選手に声をかけて指示をするので、真ん中のセンターっていうのは日本人の方が絶対に良いってよく言われるんですけど。僕はヌートバーならできると思ったので。案の定できましたね」
(Q.ヌートバー選手が入ったことで、ペッパーミルパフォーマンスも流行りました。野球を見たことない人たちまで巻き込んで盛り上がっていたと思いますが、その想像はしてましたか)
栗山監督:「そこまでは、ちょっとできなかったです。ただ、野球を知らない人も、彼の野球をやる姿っていうんですかね、僕も大会中ずっと感動してました。今回、絶対に泣くまいと決めていたので、感動して泣くのをやめようってずっと思ってました。だけど、彼の一生懸命さを見てると、涙が出てくるっていうか。そういう選手だったので。それは皆さん感じてくれたのかなと」
(2)準決勝の投手リレー 先発・佐々木朗希 → 2番手・山本由伸
(Q.どちらかが準決勝で、どちらかが決勝かなと予想されたなかで、準決勝で2人のリレーでした。これはどう考えていましたか)
栗山監督:「もともと、準々決勝で大谷選手とダルビッシュ選手の2人を使いました。それを『もったいない』という意見ももちろんあるんですけど、負けたら終わりなんで。日本の誇る4枚の先発ピッチャーを、2人.2人で行っちゃいたかった。どうしても勝ちたかったので。そういう流れのなかで、佐々木投手と山本由伸投手、ふつうは準決勝・決勝なのかもしれないですけど、この大会を見てると、2番手のピッチャーがすごく難しいです。第2先発と言われる人たちが。ただ、この2人だったら、勝ちきってくれるんじゃないかっていうのもあったので、僕はあえて、ここで勝負するべきだと思いました」
(Q.その結果、決勝の先発に今永選手を温存できた形になりましたね)
栗山監督:「そうですね。今永投手の状態がすごく良かったのもありますけれども、あまり決勝のことは実は考えていないというか。今日を一生懸命じゃなかったら、明日はないので。今日負けたら明日がないので。何かをとっておいて負けるほどバカなことはないので、全部使い切る全部使いきると、準々決勝から実は思ってたんですね。じゃあ何で佐々木が先で、山本が後なんだって意見もあるんですけど。やっぱり2人目が難しいんですよ。準備とか、いつ行くか分からないし。由伸はリリーフをやっていたので、その経験もありますし、試合数の経験もあるので。朗希に先行ってもらって、由伸と2人で、8回くらいまで行かないかなっていうのが僕の計算だったんですけど」
(3)決勝の継投 今永-戸郷-高橋宏-伊藤-大勢-ダルビッシュ-大谷
(Q.2番手に戸郷選手、3番手に高橋投手。決勝の大舞台で、非常に緊張するところに若手を投入しました。ここは大胆だなと思いましたが、いかがでしたか)
栗山監督:「今永投手はあれだけ実績があり、すごく状態も良かった。でも、話を聞いてみると、ものすごい緊張で、試合前に話していることがよく分かってなかったという。全員緊張するんですよ。若い人たちも経験ある人も。だったら、ボールが勢いがあって、プラスアルファが生まれるような人、若い人をいった方が可能性が高いという、僕の逆説的な発想というか。そういうものを含めて、ピッチングコーチと話をして。
誰がいけるかなっていう話をしてるなかで、こういう順番になってるんですけども。緊張は皆するので。めちゃくちゃするので。僕は今回、ピッチャー交代の時にマウンドに行って話すようにしていたんですけど、誰も僕の話を聞いていないんですよ。緊張していて、監督から何を言っても素通りしているが分かるんですよ。野手にちょっと話をして帰ってくるんですけど。であるならば、緊張して、思いっきり力が入った状態でどうなるんだろうって見た方が良いのかなと思いました」
(Q.戸郷・高橋ときて、次の伊藤選手がゲームを落ち着かせたように思いましたが、いかがでしたか)
栗山監督:「この中で、伊藤大海はリリーフで結構投げていたので、僕の中で一番安定感があったのが伊藤大海だったんですよ。大勢も基本的には抑えで考えたので、そこまでいけばスッと流れるかなっていうのはちょっとあったんですね。良かったです伊藤大海。素晴らしかったです」
(Q.僅差のリードを保って、8回にダルビッシュ投手、9回に大谷投手。ここはまさにドラマ以上の展開でした。このケースは頭の中にありましたか)
栗山監督:「これはずっと考えていました。去年11月ぐらいから。8月にダルビッシュ投手の所に行った時に、出る出ないは別で、どういうパターンなら投げられるかなと。先発しながらリリーフとか行けるのかなとか。そういう、こっちの感覚の話を実はしてたんですね。この2人がこの短い期間に、3登板できないかなと思ったんですよ。最後の試合は1~2イニングと分かっていたので、一番厳しいところの8~9回を勝ってたら行きたいっていうのはありましたけど。そうなるかどうか。実はダルビッシュ投手が、登板間隔が詰まってしまったりとかしてて、基本的には2回でやめようって話を本人としていました。ただ、本人が行けるってなったら『いつでも良いから言ってくれよ』って僕は言っていたんですよ。もう1回行けるんだったら決勝戦いってきてねと。決勝戦の日に球場に行って話していたら、ピッチングコーチが来て『ダル行けるって言ってます』って。“行ける”っていうのは『行きますよ!』という感じなので。なので、2人に託すという感じだったんですけど」
(Q.2人の『決勝行きます』という力強い言葉を期待して待っていたということですか)
栗山監督:「翔平なんかもそうですが、どっちかと言うと“あまのじゃく系”なので。決勝戦のことは一切何も言わないで、ずっと待っていました。翔平は、アメリカに入った時、決勝戦の3日前の練習日に雰囲気を出してきてて、最後『行ける感じっすよね』みたいな雰囲気になってきたんで。体の状況をみて『後は体の戻りさえ良ければ行けるかもしれないです』っていう。
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