争点は“血痕の色”…57年前に起きた一家4人殺害事件「袴田事件」の経緯まとめ 東京高裁が再審認める|TBS NEWS DIG
1966年、静岡県の旧清水市(現在・静岡市)のみそ製造会社で一家4人が殺害された「袴田事件」。東京高裁が再審を認める決定を出しました。最大の争点は“血痕の色”?弁護側と検察側の主張をまとめました。
■袴田事件の経緯 57年前の一家4人殺害事件
渡部俊キャスター:
3月13日、東京高裁が袴田事件の再審を認める決定を出しました。袴田巌さん、現在87歳。半世紀以上にわたり争われてきた事件の経緯をまとめました。
<袴田事件の経緯>
▼1966年 静岡・旧清水市(現在の静岡市)
『みそ製造会社で一家4人が殺害される』
この事件で逮捕されたのが、そのみそ製造会社で働く袴田巌さん(当時30)。
逮捕直後、犯行を否認していましたが、1日平均12時間以上に及ぶ取り調べによって一時的に自白する形となります。
▼1980年 最高裁で死刑が確定
▼2014年 静岡地裁で再審開始が決定→48年ぶりに釈放(当時78歳)
▼2018年 東京高裁が再審開始の決定を取り消す
▼2020年 最高裁が「審理が不十分」として東京高裁に審理差し戻し
▼2023年3月13日 東京高裁が再審を認める決定
■最大の争点 “衣類についた血痕の色” 弁護側・検察側の主張は
最大の争点となったのが、犯人のものとされる衣類についた血痕の色です。この衣類は事件から約1年2か月後にみそタンクの中から見つかっており、当時の捜査資料には「濃い赤色」であると記されていました。
<弁護側の意見>
1年以上、衣類がみそに漬かると血痕の赤みは残らない。これは“ねつ造された証拠だ”と主張。
<検察側の意見>
長時間みそに漬けても、血痕の赤みが残る可能性は十分に認められる。
このように弁護側と検察側は意見が真っ向から対立していました。
そして13日、東京高裁は「1年以上みそ漬けされた衣類の血痕の赤みが消失することは合理的に推測できる」と弁護側の主張を認めた形です。さらに、「第三者が事件後に衣類をタンクに隠した可能性を否定できない。第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる」と言っています。
これに対し、若狭勝弁護士は「東京高裁は証拠品の衣服について、本当に袴田さんの持ち物だったのか疑わしいと判断したのではないか。検察は特別抗告し最高裁まで争うのではなく、再審裁判によってこの事件の区切りをつけるべき」と話しています。
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