【インタビュー】ルーヴル美術館初の女性館長が語る「愛」と「芸術の力」

【インタビュー】ルーヴル美術館初の女性館長が語る「愛」と「芸術の力」

【インタビュー】ルーヴル美術館初の女性館長が語る「愛」と「芸術の力」

「モナ・リザ」や「ミロのヴィーナス」などの名作が所蔵されている、フランスが世界に誇るルーヴル美術館。200年以上の歴史がある同館で初めて女性館長となったローランス・デ・カールさんに、日本のテレビとして『zero』が初めて取材しました。

■「オーケストラの指揮者に近い」
東京・国立新美術館。岩本乃蒼アナウンサーが訪ねると、名画の前で、ルーヴル美術館総裁で館長のローランス・デ・カールさんが「ボンジュール」と出迎えてくれました。

2021年、ルーヴル史上初の女性館長として就任して以来、2300人ものスタッフを率いています。フランスが世界に誇る美術館のトップです。

デ・カールさん
「館長の役割はオーケストラの指揮者に近いと思います。つまり、世界一のオーケストラを率いている感じですね」

■「愛」をテーマに傑作73点を厳選
国立新美術館で6月12日まで開催されている「ルーヴル美術館展 愛を描く」。神々の愛や人間の愛、さまざまな愛をテーマに、ルーヴルが誇る膨大なコレクションの中から選りすぐりの傑作73点を見ることができます。

今回のデ・カールさん一押しの作品は、17世紀のオランダの画家、サミュエル・ファン・ホーホストラーテンが描いた傑作「部屋履き」です。

岩本アナウンサーが「お部屋の絵画?」と尋ねたように、作品には人の姿はなく、ただ部屋が描かれているのみです。しかしよく見てみると、多くのことが読み取れます。

デ・カールさん
「女主人の部屋履きが見えます。彼女はそれを脱ぎ捨て、誰かを出迎えに行った場面です。まるで恋人の訪れを思わせます」

「きれいに整った部屋ですが、脱ぎ捨てられた部屋履き、開きっぱなしのドア。描かれている物に、愛を語る証拠があるのです。絵の外を想像させる、映画の1シーンのようですね」

■デ・カールさん「人々を結びつける愛」
今回の展覧会のテーマは愛。デ・カールさんは、今だからこそ伝えたいテーマだといいます。

「今は非常に厳しい時代です。(新型)コロナ(ウイルス)の流行、ヨーロッパの戦争、気候変動。多くの危機や不安定な状況が世界中で起こっています。人々を結びつける愛について考えるのは、とても大切なことだと思っています」

岩本アナウンサー
「こうした時代だからこそ、芸術の力をどのように考えていらっしゃいますか?」

デ・カールさん
「想像力と創造力は人間だけにある才能です。それが人間らしさです。世界を変えられるか分かりませんが、私たちが自分らしくあるために必要だと思います」
(2023年3月3日「news zero」より)

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