「答弁は53秒」G20欠席して国会出席の林外務大臣 党内からも苦言(2023年3月2日)
西側の主要国だけが集まるG7とは違い、各国が集結しているG20外相会議が3月1日、2日に開かれました。今年の議長国は“グローバル・サウス”とも呼ばれる新興国や途上国の代表格、インドです。
インドのモディ首相は、参加国の立場の違いを念頭に置きながらも、“分断”によって、問題が解決できなくなるようなことがあってはならないと呼び掛けました。ただ、各国の隔たりは埋まらず、去年に続いて、共同声明はまとまりませんでした。
大臣が集まれば、あらゆる機会が生じます。ロシアと中国の外相は、二国間で会談を行い、連携を強化することを確認したといいます。
こうしたなか、日本から参加したのは、林外務大臣ではなく、山田外務副大臣です。林大臣は、国会に出席していました。
日本維新の会・音喜多駿政調会長:「本日は大変、僭越(せんえつ)で申し訳ないんですが、総理に1つ苦言を呈させていただければと思います。それは、きのうときょう、林外務大臣がこの場に座っておられることです。外務大臣が国内の日程を優先して(G20を)欠席されること。これが国際社会に、どのように受けとめられてしまうでしょうか」
岸田総理:「林外務大臣が出席する可能性を追求いたしましたが、総合的に勘案し、最終的に政府・外務省として、山田外務副大臣とすることが適切であると」
2日間、国会に出席した林大臣が答弁に臨んだのは。
日本維新の会・音喜多駿政調会長:「きのう、この場所に座って答弁、何回ありました。1回ですよね。時間にして53秒」
7時間続いた委員会で53秒。自民党議員の質問に1度、答えるのみでした。
日本維新の会・音喜多駿政調会長:「今後、同様に極めて重要な国際会議と国会日程が重複した場合、外務大臣として外交を優先する姿勢、はっきりと示していただきたい」
林外務大臣:「国会対応も海外出張を含めた外交活動も共に重要。国会の理解も得つつ、今後とも積極的な外交活動を展開していきたい」
ちなみに、2日の答弁は、合計1分54秒でした。
疑問の声は、自民党の重鎮からも上がりました。
自民党・麻生副総裁:「G20外務大臣会合に出られなくなったというのはどうかね。国内の理由で、国会論議でというのを理由に欠席というのが、どういう反響を考えるべきか。ちょっと考えねばいかん」
議長国・インドでも、波紋が広がっています。
インド『ヒンドゥスタン・タイムズ』紙:「日本の決定は、議長国としてのインドを“動揺”させるだろう」
インド『エコノミック・タイムズ』紙:「この動きは、日印の関係に何らかの影を落とすかもしれない」
林大臣はなぜ、出席を見送ったのでしょうか。背景には、国会で連綿と続いてきたルールがあります。
来年度の予算案を審議する予算委員会。その冒頭で行う質疑に、総理と全大臣が出席し、国民向けに説明するのは、国会の大原則です。野党からは、「調整不足」ではないかとの声も聞かれました。
立憲民主党・安住淳国対委員長:「1カ月も前から厳しい日程だってわかってたら、週末にずらすなり、外交的努力をしなかったということ。『そんなこともできないのが、日本の外交ができるのか』と」
事実、鈴木財務大臣は先月23日、予算案の審議の合間にG20への出席を実現しています。
官邸キャップ・千々岩森生記者:「自民党の一部に、“林大臣は国会を優先すべき”という強硬な反対論があったようです。野党側と交渉する段階にも至っていなかった『オウンゴール』のような形。国会のために、国益を毀損するという以前から指摘されてきた問題ですが、一方で、G20出席を後押しすべき官邸側も党内の反対論を押し切れるほど、政権基盤は強くない」
2日間の委員会を終えた、林大臣は2日夜、日米豪印、4カ国の枠組み=クアッドの外相会合に出席するため、一足遅れてインドに旅立ちました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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