「ネコを殺した」期末テストの教室に侵入…中学校で教員切りつけ高校生(17)逮捕(2023年3月1日)

「ネコを殺した」期末テストの教室に侵入…中学校で教員切りつけ高校生(17)逮捕(2023年3月1日)

「ネコを殺した」期末テストの教室に侵入…中学校で教員切りつけ高校生(17)逮捕(2023年3月1日)

埼玉県戸田市の美笹中学校で1日正午過ぎ、教室に侵入した男が、刃物で教員を切り付けました。

3階にいた生徒:「生徒の『助けて!』という悲鳴が聞こえた。廊下に出たら、先生が黒い服の小太りの男に覆いかぶさるようにして取り押さえていた」

目撃証言と警察情報を合わせると、事件が起きたのは、中学1年生の教室がある3階です。

当時、教室では期末テストが行われていましたが、そこに刃物を持った男が侵入してきます。

教室の後ろの方で試験の立ち合いをしていた教員が、生徒たちを前方の扉から避難させるとともに、廊下で侵入してきた男を取り押さえにかかりました。

騒ぎを聞きつけた、他の男性教員3人が現場に駆け付け、男を取り押さえることに成功します。

ただ、最初に対応した60代の教員は、命に別状はないものの、上半身を複数切り付けられ、負傷しています。

3階にいた生徒:「先生は、お腹をおさえていました」

男が校内にどのように侵入してきたのかは分かりません。

ただ、一歩間違えると、中学生に被害が出ていたことになります。

在校生:「(Q.生徒は何人?)300人くらい。(Q.校舎に入る入口はどこに?)ここに3つ。あと職員玄関。(Q.普段、正門や裏門は開いている?)はい。でも授業が始まると全部閉まっています。(Q.警備は立っている?)立っていません。(Q.わりと誰でも入れる?)はい。自分も刺されるんじゃないかと不安があって怖いです」

殺人未遂の疑いで逮捕されたのは、県内に住む男子高校生(17)でした。

3階にいた生徒:「全身上下真っ黒の服。パーカーっぽいものを着ていた。ちょっと小太り。叫んだり暴れたりせず、普通に警察の人に連行されていきました」

逮捕された高校生は「誰でもいいから人を殺したいと思った」と供述しています。

さらに「ネコを殺した」とも話しています。

先月13日、さいたま市の公園のベンチで、切断されたネコの死骸が発見されました。

今回、襲撃事件のあった中学校があるのは埼玉県戸田市。その隣のさいたま市では先月、損壊された猫の死骸が公園や小学校、河川敷など、人の目につく場所に置かれるという事件が頻発していました。

近隣住民:「何人か鑑識が来ていた。『不審者はいませんでしたか』『防犯カメラありますか』と聞かれた。夜シャッターを閉めているので、大きい声や音はなかったです。動物がああいう状態で死んで、人間にも(と聞いたので)怖いなって、ずっと思っていました」

これらのネコの事件と、逮捕された高校生の供述との関連性は明らかになっていません。

ただ、ネコを殺害し、その後、人を襲った少年事件は、過去にも何度かありました。

神戸連続児童殺傷事件は、ネコ殺しからエスカレートし、子どもを手にかけるに至ったと言われています。

2011年に千葉県と埼玉県で起きた、連続少女刺傷事件も、後に2匹のネコを殺していた容疑で追送検されています。

今回逮捕された高校生の住所は、さいたま市浦和区にあります。事件のあった中学校のある戸田市、そして、ネコの死骸が見つかっているさいたま市南区と桜区とも近い距離にあります。

今のところ、美笹中学校の卒業生だったという情報はありません。

また、中学校とトラブルがあったという話も、現段階ではありません。

しかし、在校生によると…。

中学の在校生:「学校に殺害の予告が来ていて、危害を加える予告がしょっちゅう来ていた。月一くらい。おとといも“襲う”って来ていた」

付近の学校でも似たような犯行予告が来ていました。

美笹中学校では午後7時半から、臨時の保護者会が行われました。

保護者:「先生方が『生徒たちのために、こうしました、ああしました』と。『保護者の方も、子どもたちのことを気にしてあげてください』と。(Q.2日以降、学校どうするかは?)テストは延期になって、2日は子どもたちの心のケアを。休校はないです。(Q.60歳の先生が体を張ってくれた)本当に感謝です。先生がいなければ、誰か子どもが傷付いていた可能性もありますし、刃物持った人が来て、みんな怖かったと思う。その先生も怖かったとは思うんですが、体を張ってくれて感謝しかないですね」

【“ネコの不審死”との関連は】

犯罪心理学が専門の東洋大学・桐生正幸教授は、ネコなど小動物を傷付ける人物の特徴を3つ挙げました。

(1)幼少期から大人になる段階での『動物に対する興味』
(2)「ふざけ半分でのいたずら」
(3)幼少期などに暴力を受けていることなど「家庭内の問題を抱えている」

(1)(2)はその後、重犯罪につながる可能性は低いということですが、(3)に関しては、家庭内のトラブルがストレスやトラウマを生み、それが動物虐待に向かい、そして人を傷付けるなど、重犯罪につながる可能性が稀にあるとしています。

◆元埼玉県警捜査一課の刑事で、現在は様々な事件を取材している、佐々木成三さんに聞きます。

(Q.教室内まで入り込んでいる状況をどう見ますか?)

佐々木さん:「今回、公立学校ということで、警備員が常駐できていません。こういった事件において、容疑者にためらう様子があれば、不審者として見つけることができたかもしれません。もし、ためらう様子がなく、3階に直線に行った場合、先生が常に内外を見ているわけではないので、発見するのは難しかったと思います。今回、60代教員が勇敢に立ち向かって、確保してくれた。確保できていなかったら、大惨事になりかねない事案だったと感じます」

(Q.動物の死骸が見つかるといった事案があった場合、警察は事件をどう捉えて捜査を展開していきますか?)

佐々木さん:「一連の爆破予告から、ネコの死骸に関する事件について、警察では“前兆事案”と認めて捜査を展開していたと思います。こうした前兆事案が発生した場合、容疑者を特定して、大きな事案になる前に防ぐというのが、警察のスタイルです。過去には、人を殺害する練習でネコを殺害したという事件もありました。この少年が、いつから犯罪を計画していたのかについては、前兆事案を捜査することが重要になります。例えば、前からトラブルがあり、問題行動をしている少年として、警察が認知していたら、捜査は違ったと思いますが、こういった事案は潜在している場合が多いです。大人しくて、成績も良くて、特にトラブルもない。そういった少年を容疑者として割り出すのはかなり難しいと思います。どういった教育を受けていたのかも、事件の調査には必要だと思います」

(Q.警察はこうした事件で、事前に「少年かもしれない」と想定しますか?)

佐々木さん:「容疑者の割り出しにおいては、先入観が邪魔をするので、少年の可能性もあると感じていたと思います。ただ今回、土地的にかなり狭いエリアでの事件のため、車が使えないといったプロファイリングも兼ねて捜査をしていると思います」

(Q.難しいところもあると思いますが、学校側はどうしていけば良いと思いますか?)

佐々木さん:「こういった猟奇的で稀な事件をベースに、セキュリティーを設計することは難しいと感じています。犯行を最後までやり遂げる意志の強さがある者を、どうやって防ぐのか。物理的に塀を高くするとか、誰でも入れないようにする、警備員を常備するといったことをすれば、防げたかもしれません。しかし、予算の問題や物理的にできないこともあります。セキュリティーを強めるということは、生活の利便性が失われます。そのバランスを考えながら、セキュリティーを考えないといけないと感じています。いかに早く、異常行動を認知するかといったことも、防犯対策には大切なことだと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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