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コロナ禍で変化する「お葬式」 “日本初”移動葬儀車…家族葬も新たな形「自力葬」【Jの追跡】(2023年2月19日)
コロナ禍で一般葬よりも小規模な「家族葬」が主流になってきました。「自宅葬」「自力葬」…コロナ禍で変化する、家族葬の今を追跡しました。
■日本初「移動葬儀車」 トラックに祭壇
追跡取材班が向かったのは、岡山県笠岡市。目的は、このトラックです。
荷台の後ろの部分が開けられました。中を見ると、扉のようなものがあります。さらに、荷台が横にスライド。実はこのトラック、中には祭壇がありました。
吉相グループ・藤原清隆会長:「(Q.最大何人(入れる)?)20人。あとは、お寺さんが2人来られるケースがあるので22人。司会が入ると23人」
コロナ禍もあり、変わるお葬式の形。実は、このトラックは、2年前にスタートした日本初という「移動葬儀車」なのです。
藤原会長:「コロナ禍の関係もありますけど、お年寄りが葬儀場まで足を運んできて参列するのは困難。高齢化社会になっているということで、『来ないのなら出ていこう』と」
遺族の元まで出向いて葬儀を行うことができるため依頼が増えているといいます。
■一般葬が“半減” 家族葬は2~3割安い
全国的に増えているという「家族葬」。都内にある葬儀場でも…。
溜屋 近藤商店・近藤俊彦会長:「当社で考えると、ほとんどが家族葬。8~9割になっているのが現状」
この葬儀会社によると、一般的な葬儀の場合、参列者は100人以上でしたが、「家族葬」の場合は20人程度。少ない時は、5~6人の場合もあるといいます。
近藤会長:「メリットは料金的なものだと思う。通常であれば、2~3割(一般葬より安い)」
ある調査によると、コロナ禍前と比べ、一般葬の割合は半減。一方、家族葬は急増し全体の55%に。コロナ禍での数字ですが、返礼品や食事代などを除いた一般葬の費用はおよそ84万円なのに対し、家族葬はおよそ67万円だといいます。
■「自宅葬」を…“母の願い”かなえたい
この日、横浜市へ。訪ねたのは、「家族葬」を行うというお宅です。
清美さん:「ママ、キレイだ。本当にキレイだ、ママ」
亡くなったのは97歳の母親。喪主は、一人娘の清美さんです。葬儀は、母親が暮らしていた家で行われます。
葬儀業者:「これがブーケ」
清美さん:「ありがとうございます」
清美さんは、「お通夜を省く代わりに、自分が育った家で、母と長い時間一緒に過ごしたい」と、自宅葬に特化した葬儀会社の馬場偲さんに依頼しました。
母親が亡くなった日から2日後、リビングで、納棺が行われました。
納棺師:「最初、お顔そりを致しますので、良かったら楽な姿勢で、普段通りお話して頂きながら、お立ち会いください」
納棺の前に、生前、母親が望んでいたという化粧を施します。
清美さん:「きっと喜んでいると思う。『ありがとう』って」
清美さんの母親は、4年前から介護施設に。自宅に戻れないまま、この2日前に、老衰で亡くなりました。
清美さん:「母に『何が今したい?』って聞くと、『おうちに帰りたい』『皆で一緒にご飯が食べたい』と」
「その願いをかなえてあげたい」というのも、「自宅葬」を選んだ理由の一つでした。孫たちも化粧を施します。
清美さん:「かわいいママ、ステキ」
家族だけで過ごす最後の時。そして、家族の手で母を棺(ひつぎ)へ。
清美さん:「本当にきれいだな、良かった。いつもと同じように寝てる」
棺には、趣味だった習字道具など、数々の思い出の品が納められました。
清美さん:「習字書いて、謡(うたい)をうたって楽しく過ごしてください」
清美さんの娘:「最後、会いに行った時」
清美さん:「謡をうたった、急に」
清美さんの娘:「すごく大きくうたうから、しぃ~」
そして、お別れの日、リビングに置かれた棺。参列者は7人。祭壇はなく、その代わりに棺のふたの裏側には、思い出の写真がびっしりと。そして、母が好きだったというビールでお別れをします。
弔問客への対応に追われることなく、ゆっくりと最後の時間を過ごします。
清美さん:「私にとって自慢のママでした。最後まで自慢だったよ、ホームでも人気者で。見守ってね、皆のこと。いつもそばにいてね」
そして、出棺の時。
清美さん:「いってらっしゃい」「もちろんすごく寂しいけど、色んなことを思い出せて良かったし、楽しかった。ママと一緒にいられたし。でも母が一番喜んでる」
今回、葬儀会社に支払ったのは、棺や骨壺などの基本料金38万円に、霊柩(れいきゅう)車・メイクなどのオプション料金を加えておよそ60万円、その他、火葬費用に9万円がかかりました。
■新たな形「自力葬」 かけがえのないお別れに
7年前、家族葬中心の葬儀会社を立ち上げた馬場さんによると、コロナ禍で問い合わせが5倍も増えたといいます。
鎌倉自宅葬儀社・馬場さん:「こういう状況だから、『家族だけでやりたい』『家族だけでしっかりと送り出してあげたい』という人の後押しというか、きっかけにはなったかなと」
さらに今、家族葬にも新たなかたちがあります。「従来とは違う家族葬を行った」という湯前大作さん(70)です。
湯前さん:「私が行ったのは『自力葬』という葬式」
「自力葬」とは、通常、葬儀会社が行う準備や手続きを家族が自ら行う葬儀のことです。
去年12月に亡くなった母の久枝さん。97歳でした。
湯前さん:「父親がちょっと体が弱くて、入院しがちで。母親が田植え・稲刈りで家族の生活を支えていたので、母親との思い出は『随分、苦労してたな』という思い出しかない」
去年の3月からは病院に入院。
湯前さん:「(コロナ禍で)入院していた1年間で、面会できたのは4回でした」
「せめて立派なお葬式を」と考えていた湯前さん。しかし、葬儀会社に電話した時…。
湯前さん:「もうパックになっていますので、その値段によって『こういう流れになります。祭壇はこうです。すべてお任せください』と言われたんです。でも、『細かいところは、やっぱり自分でやりたい』と」
そこで、湯前さんが選んだのが「自力葬」でした。
湯前さん:「きょうは本当に年の瀬、今年もあと何日という忙しい時期に、遠方からお越し頂きまして、ありがとうございました」
湯前さんの場合、葬儀場や火葬場の手配など、一部の準備は葬儀会社に依頼しましたが、死亡届や遺骨の埋葬許可などの手続き、参列者への返礼品や火葬場での食事の手配など、できることはすべて自分で行ったといいます。
参列者13人で行われた「自力葬」。葬儀会社に支払ったのは55万円。その他、葬儀場や火葬場の費用などは合わせておよそ35万円でした。
生前からの準備はおよそ4カ月かかったといいますが、一つひとつの準備が、かけがえのない、母親とのお別れになったといいます。
湯前さん:「費用が安く済んだということより、時間をかけて、家族と連絡を取り合って、最後のお別れの場を設けられたので良かった」
コロナ禍もあり様々な広がりを見せる「家族葬」。生活様式の変化、その故人・家族の事情により葬儀の形も変わりつつあります。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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