緊迫ウクライナ「国土防衛軍」に志願した市民たち【現場から、】
ウクライナではロシアとの有事に備えて、「国土防衛軍」と呼ばれる市民たちによる志願兵の組織が立ち上げられました。彼らはどのような思いで志願したのか、隊員の女性を取材しました。
週末、首都キエフ郊外で軍事訓練が行われていました。
記者
「実際の戦場でどう動くのか陣形を確認する訓練も行われています。火薬を使って、実戦さながらの臨場感の中でやっています」
彼らは「国土防衛軍」。「軍」といっても職業軍人ではなく、市民らによる志願兵です。毎週末、ウクライナ軍の教官のもとで訓練を行っています。この地区だけでも、500人以上が所属しているといいます。
国土防衛軍のメンバー(19)
「家族、国、ウクライナの文化を守るためにここに来ました」
これまでは自警団的な存在でしたが、今年から法律で正式に認められ、実際に有事になれば、前線にいるウクライナ軍を支援することもあるといいます。
教官役のウクライナ軍中尉
「一般市民だけでなく、予備役もいます。予備役は、有事の際は指揮系統に組み込まれます」
女性のメンバーも少なくありません。
国土防衛軍のメンバー アンナさん
「戦争はしたくありません。でもロシアの侵攻があれば、我々は立ち向かう覚悟があります」
およそ半年前に国土防衛軍に入ったアンナさん(32)。普段はIT企業に勤めているといいます。彼女は、なぜ志願したのでしょうか。同じく志願兵のパートナーと住む自宅を訪ねました。アンナさんは、親ロシア派武装勢力が支配する東部のドネツク出身。ウクライナ政府軍と親ロシア派との間で続く紛争では、知り合いも負傷したといいます。
国土防衛軍のメンバー アンナさん
「女性であっても自分の国を守るべきです。性別も年齢も関係ありません」
実は父親の故郷はロシア。親ロシアの両親は、いまもドネツクの近くに残り、国土防衛軍に入ったアンナさんとは関係が悪化したといいます。
国土防衛軍のメンバー アンナさん
「もし戦争が起きたら、彼らはロシアを支持します。国土防衛軍なんて、女性がやることじゃないと言われました」
それでも、ロシアによる侵攻への懸念からか、志願する市民が急増しているといいます。
パートナー ヴォロジーミルさん
「我々が待ち構えていると知らせることで、彼ら(ロシア)を止める要因になります。国土防衛軍は平和をもたらすものなのです」
ウクライナが平和になれば、いつか子どもをつくりたいと話すアンナさん。彼女が銃ではなく、わが子を抱きあげる日はいつになるのでしょうか。(02日10:52)
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