深刻なインフラ被害で「物資届かない」救出活動に影響も…トルコ大地震1万7000人死亡(2023年2月9日)

深刻なインフラ被害で「物資届かない」救出活動に影響も…トルコ大地震1万7000人死亡(2023年2月9日)

深刻なインフラ被害で「物資届かない」救出活動に影響も…トルコ大地震1万7000人死亡(2023年2月9日)

トルコとシリアを襲った大地震。死者は合わせて1万7000人を超えました。

2700棟以上の家屋が倒壊したトルコのハタイ県では、幹線道路が寸断されるなど、インフラに深刻な被害が出ていて、救出活動や支援物資の供給に影響を及ぼしています。

地震発生から72時間が経った後も、救出される命は少なくありません。ただ、これからはよりシビアになっていくことは避けられない事実です。

ユヌス・エムレさん(24)。2カ月後に結婚する予定だった、婚約者を亡くしました。

ユヌス・エムレさん:「彼女はもうすぐ17歳になろうとしていました。お互い一目ぼれでした。とても愛し合っていました。こんなに愛せる人は他にいませんでした。ウェディングドレスを着ようと思っていたのに、今はお葬式の服を…。何と言えばいいか…。想像してください。食べ物も水も空気もない。これが今の私です。歩く屍のようなものです。私は生きている死者なのです。自分の感情を失いました」

今後、死者はさらに増えるとみられます。なぜこれほどの被害になってしまったのでしょうか。

震源から南西170キロに位置するアンタキヤ。最も被害が深刻と言われる街の1つです。

目立つのは、1区画の建物が軒並み倒壊した光景。これだと重機は入れず、人力での救助活動は困難を極めます。

アンタキヤがあるハタイ県では、2700棟以上の建物が倒壊しました。これは、トルコ全体の被害の半数近くになります。

幹線道路は地割れで使えなくなり、小さな道路はがれきで埋め尽くされ、しばらく救急車が入ってこれなかったといいます。

2度目の大きな揺れの震源に近い、カフラマンマラシュ。この街でも、集中的に倒壊した建物のがれきが、救助の妨げになっています。

伊従啓記者:「日本の救助隊の活動が始まっています。ここには、4階建てのマンションがあって、13人が行方不明だということです。今、天井から部屋の中へと捜索をしているところです」

隊員たちが使っている、細い棒のようなもの。先には小型のCCDカメラがついていて、入り込めないがれきの内部を捜索しています。

この日、残念ながら生存者の発見には至りませんでしたが、別の現場では夫婦の遺体を発見し、家族に届けることができたといいます。

他の地域と少し事情が異なるのが、ハタイ県西部の港湾都市イスケンデルンです。

地震で石油輸送コンテナが横転して出火。周囲の貨物に燃え移ったとみられ、消火に3日を要しました。

これにより、被災地への物資を積んだ船が遠回りせざるを得なくなっているといいます。

インフラの損傷は、このレベルの災害においては、ある程度、致し方ないことなのかもしれません。ただ、被災者の不満は、次第に“怨嗟の声”となって政府に向き始めています。

被災者:「がれきの下では30人も死んでいるんだ。政府は援助もできないのか。そんなに無能なのか。言葉を失う。放置されているんだ」「命が埋まっているのです。待っていても、何も対応されません。お願い、助けてください。大統領に呼び掛けています。援助はどこですか。ここには誰もいません」

被災地を見て回ったエルドアン大統領。初動対応の不備を認めました。

エルドアン大統領:「不備があったのは確かだ。だが、このような大災害に完璧に備えることは不可能だ」

現地で取材を続けるCNNの記者は、こう指摘しています。

CNN、ウォルシュ上席特派員:「エルドアン大統領が気付いているか分からないが、人々は怒りを募らせ、政府の到着が遅いと非難していた。後に待っているのは、家を失った人々への対応だ。テントでの生活は一時的にすぎず、長引くことに不安を抱く人もいる」

【“72時間”経過…懸命の捜索続く】

◆震源から近いトルコ南部カフラマンマラシュにいる、伊従啓記者に聞きます。

(Q.そちらは日本の救助隊も活動する場所ですが、どんな状況ですか?)

ここでは13人が行方不明になっているという情報があり、日本のチームは24時間態勢で捜索を続けています。

ちょうど30分ほど前に、1人が救出され、搬送されました。ただ、残念ながら亡くなっていたということです。

“72時間”という節目を迎えましたが、被害の大きかった中心部を取材すると、まだまだ生存が確認され、救出活動が急ピッチで進んでいる現場がありました。

一方で「自分の妻ががれきの下にいて、当局に伝えているが、救助隊を派遣してくれない」と訴える男性にも出会いました。

救えるかもしれない命がそこにあるのに、全く救援の手が回っていない状況です。

(Q.支援物資を運び込むための港や鉄道にも被害が出ているということですが、交通インフラの被害も相当深刻ですか?)

市内のほとんどの場所で、電気やガスは来ていません。携帯電話の電波状況も非常に悪く、特に中心部は全く電話が通じない所が多いです。

交通渋滞も至る所で起きています。その一つの要因が、捜索活動です。

あちこちで捜索活動が行われていて、静かにするよう、周辺に呼び掛けがあります。

通行中の車もエンジンを止めて、捜索を待つ形になり、渋滞が起きることがありました。

【支援情報】

被災地ではインフラ被害が深刻で、物資を届けるのが困難な状況にあります。

駐日トルコ大使館では、現時点では物資の受付は行っていないということです。

駐日トルコ大使館は、義援金専用の口座を開設しています。

三菱UFJ銀行 渋谷明治通支店(470)
普通 3195717
口座名:TURKISH EMBASSY

義援金は、トルコの災害緊急事態対策庁に届けられ、現地の人道支援などに充てられます。

他にも国連難民高等弁務官事務所や、国境なき医師団など、多くの団体が、トルコやシリアの人のために、募金や寄付への協力を呼び掛けています。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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