車いすテニス・国枝慎吾 松岡修造から「割と返答に困る質問」…“引退理由”も明かす(2023年2月8日)

車いすテニス・国枝慎吾 松岡修造から「割と返答に困る質問」…“引退理由”も明かす(2023年2月8日)

車いすテニス・国枝慎吾 松岡修造から「割と返答に困る質問」…“引退理由”も明かす(2023年2月8日)

「オレは最強だ!」という言葉通り、世界ランキング1位のまま引退した、車いすテニス・国枝慎吾さん(38)。

4大大会優勝は、歴代最多の50回(シングルス28回 ダブルス22回)。パラリンピックでは、4つの金メダルを獲得し、4大大会と合わせてすべてを制覇する「生涯ゴールデンスラム」を達成しました。

さらに、年間世界王者10回。シングルスでは107連勝を記録するなど、歴代で最も長く世界ランキング1位を維持し続けました。

そんな数々の偉業を成し遂げた国枝さんが、スタジオに生出演しました。

■一番の引退理由は「ウィンブルドンとった瞬間…」

小木逸平アナウンサー:「きょう(7日)、引退会見を終えた国枝慎吾さんに来ていただきました。お疲れ様でした」

国枝さん:「ありがとうございます。終わりました」

小木アナ:「そして、松岡修造さんにも、ここから入っていただきます。よろしくお願い致します。まず国枝さん、引退会見まで終えて、率直な気持ち、どうですか?やり切ったっていう」

国枝さん:「本当に、その言葉に尽きるんですよね。一番最初に、僕自身も引退というものを考え始めたのは、東京パラリンピックの金メダルの後。その時も、終わってから次の年明けに全豪オープンがあるんですけど、それまで、どうもモチベーションが上がってこない。この先、何を目標にしたらいいのかというところがあって。妻にも何度も相談してましたし、周りの人にも相談してました。でも、妻が言ったのは、その時は『とりあえずオーストラリアに行ってみよう』ということで。じゃあ、行ってみるかというふうに行って。昨年の全豪オープンで、決勝戦の直前までは鏡に向かって、これがラストマッチだ。最後の試合だというふうな気持ちで決勝戦に臨んで。そしたら、その決勝で本当にキャリアベストな試合ができたんですよね。その試合から、自分自身もまだまだ、より技術を追求して、最後にとっていないウィンブルドンを目指すんだという気持ちで昨年は戦っていたんですけど。今度、ウィンブルドンとったがために、本当にとった瞬間、芝生のコートの上でチームと抱き合って、最初に言った言葉が『これで引退だ』っていうのが、そこに尽きるのかなと。それで本当にやり切ったなという気持ちにさせられたというところが、一番の引退理由ですね」

松岡さん:「小木さんの最初の質問で、これだけものすごい思いを語ってくれると思わなかったんですよ。最初は、とにかく『オレは最強だ!』って、あるわけじゃないですか。ずっと伝えてた自分で。でも、俺が最強、いわゆる最強で居続ける人っていないんですよね。その理由は何なんですかということを僕は、いつも2人で話してますから。相当、難しい言葉で質問してきます。きょうは追い込みなしです。皆で話をしていきますので、お願いします」

渡辺瑠海アナウンサー:「スタジオにはパネルがありますけども、改めて、これだけのタイトルを獲得なさっているということで、改めてご覧になってどうでしょう」

国枝さん:「よく勝ち続けてきたなという思いと、自分自身もどれがどれだっけっていうのもありますけど…」

松岡さん:「50回ですよ?普通は、1回勝ったらというのが、50回ですよ」

国枝さん:「でも、その勝った瞬間は、毎回初優勝のように嬉しかったのは、1回目も50回目も変わらなかったと思いますね」

■魅力は?「割と返答に困る質問」 真意は…

松岡さん:「ただ、アテネで金メダルをとられた。実は『報道ステーション』、僕も始めたのはアテネからなんです。あんな昔からやってるんですよ。そのころは、正直言って、まだ車いすというのは、なかなか注目されてませんでした。『障害スポーツを超えたスポーツにしたい』と言っていた。なりましたよ。でも一番、車いすテニスの魅力を知っているのは、国枝さんなんだろうと思ってて。今思うと、車いすテニスの魅力って、一番は何ですか?」

国枝さん:「これは、結構聞かれるじゃないですか。車いすテニスの魅力何ですかと。毎回、割と返答に困る質問で。なぜならば、テニスをやっているだけだからということなんです」

松岡さん:「そっか、特別じゃないと」

国枝さん:「結局、僕もテニスをやるには、競技用の車いすが必要で。だからやってるっていうだけなので。『車いすテニスの魅力、何ですか?』って言われたら、テニスと車いすのフットワークの融合を楽しんで下さいと。見て伝わらなかったら、それはスポーツじゃないと、僕はずっと思っていたので。まず、見てもらって魅力が伝わってなかったら、そこまでの話かなと思いながら、ずっとやってきたと。だから、見て下さいと言うしかなかったです」

松岡さん:「でも、そういう意味では見て、ちゃんと伝わってたという気がしますね」

安藤萌々アナウンサー:「本当に、スポーツとして社会に認めさせたいという思いがずっとあるということもおっしゃっていましたよね」

国枝さん:「僕が最初に、車いすテニスを始めたテニスクラブでは、僕がテニスを始めた28年前から、それ以上前から、すでに一般のテニススクールと同じように車いすテニスのスクールがあったんです。そういう意味では、皆さんがテニスを始めるのと同じきっかけで、僕もテニスをやりたいということで入ったんです。それで、そのままトップ選手まで上がっていくわけですけど。トップ選手になった時に、アテネのパラリンピックの時は、まだやっぱりスポーツとしての報道はされていないなと正直思ってましたし。でも、僕は普通にテニスを楽しんできたのに、何でこれはスポーツのカテゴリーじゃないのかなっていうのは、ずっと葛藤はありましたね。その葛藤と戦い続けてきたところは、2021年の東京パラリンピックまで、実は心のどこかに、ずっとその思いはあった気がします。だから、スポーツとして見られたいし、スポーツとして皆さんに楽しんでもらいたいと。それが実現したのが、東京パラリンピックの瞬間だったと思うので。昨年は、ようやくグランドスラム3勝しまして、自分自身、調子良かったですが、なぜ調子が良かったのかなと思うと、実はスポーツとしてっていう見られることを考えていなかった。本当に真の意味で相手と向き合って、ようやく純粋にテニスの対決を昨年になってできたのかなっていうふうには思います」

■小田選手からメッセージ「国枝さんはヒーロー」

松岡さん:「一番純粋にできたという時にぐっと出てきたのが小田選手。小田凱人選手は16歳で、あり得ないくらい…。国枝さん自身も、ある意味、怖さも感じたんじゃないかなって」

国枝さん:「当然、彼がツアーを転戦し始めて、最初にプレーした時から相当ポテンシャルが高くて。世界の誰もが、彼はトップにいくと言っているぐらい、すごい才能がここにきて出てきたと」

安藤アナ:「小田凱人選手。今、改めて説明しますと、小田凱人選手は先日の全豪オープン準優勝した、まだ16歳。彼も国枝選手の活躍を見て、車いすテニスという競技を始めた選手です。本当に国枝選手が新しい夢や憧れの職業を作ったんだなという感じがしますけど、その小田選手からメッセージをいただいています」

小田選手:「(Q.自分にとって“国枝選手”とは?)ヒーロー。こんなに心動かされた人は、今までにいなかった。国枝選手のいない大会は、イチゴのないショートケーキ。僕たちに与えてくれた影響は、必ず僕たちが引き継いで、また次の世代に。今度、一緒にテニスをしたい」

松岡さん:「彼の出現によって、ある意味、引退という気持ちも、少し進んだのかなって、僕は勝手に思いました」

国枝さん:「直接引退の決断ということには、関係ないかもしれないですけど。この車いすテニスをこれから引っ張ってくれる存在に間違いなくなると思いますし、日本も女子では上地(結衣)選手がずっと頑張ってますし、まだ凱人もこれからどんどん頑張ってくれると思うので。車いすテニスがこの間、東京パラリンピックでようやくスポーツのフィールドに乗ってきた。残りは、彼らがどれだけ人気競技にできるかというところに、僕自身も期待したいと思いますし」

松岡さん:「スポーツのフィールドに乗ったということは、国も認めたと」

小木アナ:「乗ったというより、乗せた国枝さんに国民栄誉賞という話が出てきてるってことだと思うんですけど。国枝さん自身は国民栄誉賞のお話、率直にどのように感じていらっしゃいますか?」

国枝さん:「本当に、最初はビックリしましたね。最も高い栄誉だと思いますので、自分自身がやってきたことが認められたということは、率直にうれしいという気持ちがすごく強いです」

■“オレは最強だ”言葉をかけ続けた理由は?

小木アナ:「最強なのに、最強って自分で書いていたわけですが、国枝さんは弱い部分はないんですか」

国枝さん:「めちゃくちゃ弱いと思います」

小木アナ:「それをどうしていたんですか?」

国枝さん:「試合前なんか、必ず負けると思ってましたし、心が弱いからこそ『オレは最強だ』という言葉を言い続けて、自分自身を最強のオーラに包んでいったのはあります」

小木アナ:「松岡さん、いかがですか?」

松岡さん:「ある意味、奥さまが最強じゃないですか。今、いらっしゃいますが、奥さまにひと言お願いします」

国枝さん:「ありがとう。お疲れさま」

松岡さん:「これからがまさにスタート。本当に最強!ありがとうございました!」

(「報道ステーション」2023年2月7日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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