エルサルバドル“米大陸最大級”刑務所が完成 4万人収容…大統領の“強権化”批判も(2023年2月7日)

エルサルバドル“米大陸最大級”刑務所が完成 4万人収容…大統領の“強権化”批判も(2023年2月7日)

エルサルバドル“米大陸最大級”刑務所が完成 4万人収容…大統領の“強権化”批判も(2023年2月7日)

 中米・エルサルバドルに4万人収容可能なアメリカ大陸最大級の刑務所が完成した。視察したブケレ大統領は治安の改善をアピールしているが、“強権化”が進んでいるとの批判の声も上がってる。

■警備厳重…外部と通信“完全に遮断”

 中米・エルサルバドルの農村地帯に浮かび上がる建築物は、同国が“アメリカ大陸最大”とうたう「巨大刑務所」だ。

 東京ドーム35個分に相当する敷地内に、およそ4万人を収容することが可能だという。

 刑務所関係者:「こんばんは、大統領。ようこそ。ここが、ギャングたちをコントロールする重要な鍵となると思います」
 ブケレ大統領:「ありがとう」

 先月31日、エルサルバドルのブケレ大統領は、完成した施設内を視察。その様子を記録した、およそ30分に渡る動画が大統領のツイッターなどで公開された。

 それによると、施設は幾重もの強化コンクリートの壁と、1万5000ボルトの電圧が流れるフェンスで囲まれ、19の塔から受刑者を監視する。

 また、都市部から離れているため、外部との通信も完全に遮断されている。

■ギャングだらけ…深刻な過密状態に

 そして、施設の内外で警備をするのは、完全武装した250人の警察官と、600人の兵士たちだ。

 ブケレ大統領:「以前は、受刑者が売春婦を連れ込み、ゲーム機や麻薬、携帯電話、パソコンを持ち込んでいた。今は、全く違う場所だと分かる」

 この巨大刑務所をつくった理由は、それだけではなかった。

 エルサルバドルは近年、ギャングによる犯罪が横行し、“世界で最も治安の悪い国”の一つとされてきた。

 そうしなか、去年3月に、ブケレ大統領が「非常事態宣言」を発令。令状なしで逮捕することが可能となり、ギャング関係の刑事責任年齢も12歳まで引き下げられた。

 その結果、エルサルバドル国内の刑務所は、拘束されたギャングによって深刻な過密状態となっていたのだ。

 ブケレ大統領のツイッター:「エルサルバドルは、犯罪者を刑務所に入れることで安全な国になった。そのスペースも今はあるし、犯罪者が刑務所内から指示を出すことも不可能だ」

■30年ぶり“二大政党以外”大統領に選出

 治安の回復に努めるブケレ大統領だが、その強権的な姿勢には批判も上がっている。

 そもそも、ブケレ大統領が就任以前のエルサルバドルは、長年にわたり二大政党による政治が確立していた。しかし、汚職やギャングとの癒着が横行していたという。

 そんななか、2019年に第三党から立ち上がったのが、当時37歳のブケレ氏だった。

 そして、ブケレ氏は治安改善や腐敗撲滅を公約に掲げ、国民の二大政党への政治不信を背景に、30年ぶりに二大政党以外の大統領に選出された。

 しかし、就任後のブケレ大統領に変化が起きているという。

■“強権的手法”矛先は国民に対しても…

 現地の独立系メディアは、強硬な反ギャング政策を推し進める一方で、ブケレ大統領は自身の政党への支持と引き換えに、刑務所内での待遇を優遇するという取引をギャングと行っていたと報じた。

 これについて、ブケレ大統領は否定しているものの、この記事を報じた記者は国外追放になったという。

 また、おととし9月にはブケレ大統領が推進するビットコインの法定通貨化への反対デモが行われた。

 すると、政府は新型コロナの感染拡大防止を理由に、市民のデモを禁ずる法令を可決するなど、その強権的な手法は国民に対しても向けられるようになっている。

 また、エルサルバドルでは、大統領の任期は1期5年で、連続再選が禁止されていた。

 しかし、ブケレ大統領は最高裁判事を解任し、空席となったポストに自らの息がかかった判事を選任。これにより連続再選を可能とする判決が下り、去年9月、ブケレ大統領は来年行われる大統領選への出馬を表明した。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年2月7日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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