総理「現時点では検討していない」緊急事態宣言どうなる?記者解説(2022年1月31日)

総理「現時点では検討していない」緊急事態宣言どうなる?記者解説(2022年1月31日)

総理「現時点では検討していない」緊急事態宣言どうなる?記者解説(2022年1月31日)

新型コロナの感染拡大が止まらないなか、緊急事態宣言は出されるのでしょうか。

現在、34都道府県に出されているまん延防止等重点措置と、緊急事態宣言は何が違うのか整理します。

対象地域は、まん延防止等重点措置の場合は、都道府県の特定地域。緊急事態宣言の場合は、都道府県ごとになります。

対策は、まん延防止等重点措置の場合は、時短要請など。緊急事態宣言の場合は、事業者の休業要請も可能になります。

発出の目安は、まん延防止等重点措置の場合は、レベル3かレベル2相当で総合的に判断。緊急事態宣言の場合はレベル3相当で総合的に判断となっています。レベル3になればすぐに発出されるわけではなく、国として明確な基準はありません。

このため、各都道府県の知事の対応も分かれています。

東京都・小池知事:「病床使用率50%で要請を検討」
大阪府・吉村知事:「重症病床使用率が40%で要請すべき」
愛知県・大村知事:「今週半ば以降にも、緊急事態宣言の発動を視野に入れて対応すべき」

東京都庁担当の油田隼武記者に聞きます。

(Q.東京では31日、病床使用率が49.2%となりました。小池都知事は「総合的に検討する」としていますが、都庁内では、緊急事態宣言の要請は具体的に検討されていますか)

油田隼武記者:「小池知事は『社会は止めない、感染は止める』と繰り返し言っていました。少なくとも現時点においては、病床使用率が50%を超えたからといって、すぐに緊急事態宣言を要請する考えはないという状況です。

これまでの経緯を考えると、東京都としては1月初旬から、国に対して、オミクロン株の知見が集まってきているため、どういう状況で緊急事態宣言なのか、その基準を明確にしてほしい。基本的対処方針や警戒レベルをオミクロン株の特性に合わせたものにしてほしいと繰り返し訴えてきました。ただ、国が動いてくれていないということで、ボールは東京都から国に投げられている状態だと考えます。

こうしたなか、新たに取材で分かってきたことがあります。東京都としては、国を待っていてもどうしようもないという状況で、近いうちにオミクロン株の特性に合わせて、緊急事態宣言を要請する基準となるような新しい考え方を具体的に示したいとしています。中身としては、病床の使用率だけではなく、重症者や中等症患者の数も考慮に入れて、宣言を要請すべきかどうか判断するためのものとなります」

政治部官邸キャップの山本志門記者に聞きます。

(Q.岸田総理は『現時点で緊急事態宣言は考えていないと、この真意はなんですか)

山本志門記者:「岸田総理はじめ、今の官邸全体の雰囲気で言えば、状況が大きく悪化しない限り宣言の発出は全く考えていないということが言えると思います。背景には、社会や経済を完全に止めるべきではないという雰囲気が、今の世の中に広がっていることも判断に大きな影響を与えています。

一方で、仮に宣言が長く続くことになれば、それが政権批判につながりかねないことへの官邸の警戒感も透けてみえます。

現状のまん延防止等重点措置では、飲食店のみに制限をかけているので、感染者数の一定の増加は織り込んだうえではありますが、ここで食い止めたいと。まん延防止等重点措置を延ばしてでも、なんとか宣言にいたらないようにするというのが、官邸の基本的な考え方です。

そのうえで、東京都に対しては、宣言を国に要請する前に、例えばお酒の提供の禁止など、今のまん延防止等重点措置でできることがもっとあると、突き放してもいるのが現状です」

(Q.東京都は国に対して、オミクロン仕様の基準を示してほしいと言っていて、ボールは国にあるという考え方です。岸田総理・政府はそこをどう考えていますか)

山本志門記者:「政府は『総合的な判断だ』として、あくまでも明確な基準は示さない方針です。どういった場合に緊急事態宣言を判断するかというと、病床使用率も基準の一つではありますが、それ以外に、重症者の病床使用率を判断の大きな柱に据えています。

岸田総理は最近、周囲に対して『新規感染者数に加え、一般と重症者の病床使用率、そして亡くなる方の数。これらを全体的にみて判断していく」と漏らしています。それぞれの傾向を踏またうえで、判断していく方針です。

そういう意味では、今後、緊急事態宣言については自治体に判断を委ねるのではなく、国が主導し方針だといえます」

(Q.ボールがどちらにあるということではなく、必要が生じれば岸田総理が政治判断を行うということですか)

山本志門記者:「自治体から要請があれば、頭ごなしに否定するものではないようですが、その際には、使われていないベッドは本当にないのかなど、官邸が点検したうえで、最後は岸田総理が判断する構えです。

ただ、自治体の要請が相次いだ場合に、最後まで押し通せることが本当にできるのか。ここは注目したいと思います」

(Q.オミクロン株という新しい事態に対して、政府がどういう判断基準を持っているのかが見えないところに軸があると思うのですが、取材をしていていかがですか)

山本志門記者:「未知のウイルスからは、だいぶ分かってきたこともあると思います。ただ、去年11月に全体像を示しましたが、ここを変えてほしいという要望が野党からも上がっています。

政府としては、新たな変異株が出るごとに変えていくのではなく、その特性に合わせて、必要に応じて入退院などの変更をしていくという考えのようです」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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