【独自】犯罪組織で“使い捨て”される実行犯「ほとんどが普通の人」人材派遣の実態は(2023年2月5日)
東京・狛江市の強盗殺人事件で実行犯に「地下に金がある」などの指示があったことが新たにわかりました。
組織だった犯行が次々と明らかになる中、番組は犯罪組織の内情を知る人物を取材。
実行犯が道具のように使い捨てにされる実態が明らかになってきました
▽「老人殴れるか」実行犯へメッセージ
「地下に金がある」「老人など関係なく殴ることはできるか」
先月、東京・狛江市の住宅の地下1階で、大塩衣與さんが殺害された事件。事件前に、「キム」と名乗る人物が「地下に金がある」などと実行犯に指示を送っていたことがわかりました。
これまでも、「明日、案件がある」「狛江2時」などのやりとりが確認されています。そのほか携帯には、「強盗や格闘技の経験はありますか」などのやり取りもあったということです。警視庁は、「キム」とやりとりしていた人物が大塩さん殺害に関わった可能性があるとみて捜査をすすめています。狛江の強盗殺人事件では、まだ誰も逮捕されていません。
▽「古くなったら捨てればいい」“使い捨て”にされる実行犯
今回、番組は暗躍する特殊詐欺グループを取材。以前、投資詐欺グループなどを組織したことのある人物に接触しました。犯罪組織はどの様な指示で動き、何が行われていたのか?その実態を取材しました。
Q. そもそもはどの様な経緯で特殊詐欺グループを組織しようと思った?
(詐欺組織の内情に詳しい人物)「十数年前から行われて来た特殊詐欺がどんどん陳腐化していって、陳腐化を防ぐために3人を主軸にして新しいグループ作りをしていった。Aという反社の人間、Bという反社の人間、AとBは反社の名前が違ってきます。もう一人が(詐欺の)経験者の人間、この3人が基軸になっている。」
Q. 反社組織が別の所から集められているとの事だがそういうことはありえる?
「ありえますね。今は反社組織も資金集めに四苦八苦してますから、お互いにそこで反目してしまうと共倒れになってしまう、そこは呉越同舟でうまい具合に進んでいる。」
この特殊詐欺グループは部長クラスの3人が元となって組織が作られ、その下の係長クラスに兄弟分や自らの人脈など信頼のおける人間を配置していくといいます。さらにその下に主任クラスを置き、犯行の指示やいくつかのチームに分かれた際、現場のリーダーも担い主に犯罪歴のある人間などが多かったといいます。
最も下に位置するのが闇バイトなどで集められ “使い捨て”とされる実行犯です。組織の中で最も重要なのが主任クラスだといいます。
「主任クラスですから上を見ると当然幹部からの指示を守って、下の方の実行部隊にはルールを守らせるという重要な役割があります。」
主任クラスが逮捕された場合、組織上層部までの情報が洩れる可能性が高く、場合によっては末端の実行部隊よりも規律や締め付けを厳しくするといいます。
「免許証なり住民票をとる場合もあります。仮に連絡がとれなくなったり、集金した金が上層部に上がってこない場合には当然組織としては家族をお預かりするという形をとる時もあります。家族の方から当人にメールなり電話なりをさせたりとかいろんな手はある…(組織を)抜け出せなくさせる、究極ですけど、薬物なり大麻なりを提供してそれにハマらせる。薬漬けという言葉は使いたくないんですけど」
さらに、組織内で進む人材不足について犯罪組織周辺でもある変化が起きているといいます。
「今までは無かった新しい“道具屋”というのが出てきた。元々道具屋さんは一つはベースが…名簿、口座、飛ばしの携帯電話、これが“三種の神器”だったが、さらに最近ここ2年ぐらいで現れてきたのが、“人”を集める道具屋さん」
Q. 人が足りない分、“道具”として人を送り込む?
「そうです、実行部隊と言われる下の人たちは1つの道具なんですよ。道具だから古くなったら捨てればいいんですよ」
▽犯罪組織に人を派遣している実態とは…その現状を知る人物が取材に応じました。
(組織への人材派遣について知る人物)「以前ぼくが特殊詐欺グループにいた時に表向きは普通の人材派遣の会社を経営している人間がいて、その人がそこの従業員を派遣じゃないけどこっちの方(犯罪組織)に人を流して被害金の数パーセントをその人間が取っていた。(派遣される人は)正直ほとんどの人が普通の人。普通に生きてきた普通の人」
Q. そういう人は抵抗は無かったのか?
「最初はあったと思うがそこの感覚が徐々に無くなっていく方が多かった。僕自身もそうでしたけど」
Q. お金の魔力?
「今考えてみるとそうだと思います」
1000万円単位の報酬を得ていた人物もおり、派遣会社は多い時で5、6人を犯罪組織に送り込んでいたといいます。
Q. なんでそんなに人が必要?
「シンプルに使い捨ての駒みたいな人間がいればいるほど上は儲かるからじゃないですかね…」
▽家族を人質に…元実行犯語る“抜け出せない”事情
特殊詐欺グループとはどの様な集団なのか…以前番組が入手した映像にはその一端が撮影されていました。アジトと言われる拠点は我々の極身近な場所に存在しているといいます。
「汚ねえな相変わらず!片付けろや!」
都内マンションの一室、生活感のある部屋はクレジットカード偽造の拠点になっていたといいます。男の手には「生カード」と言われる偽造カードを持っているのが分かります。
A「昔から付き合いのあるやつにカード一枚渡したけど全く使えなかったらしい。一番最初に焼いたやつ」
B「そんなの使えない。今ごろ。」
A「バレて止められたんですかね?」
B「だから言ってるじゃねえか管理をしっかりしろって」
統制を保つためアジト内の撮影や盗聴も行い仲間を監視することもあり、組織を抜けることは難しいといいます。
(詐欺組織に関わり逮捕経験がある 仮釈三郎さん)「『これでお前も共犯な。もう逃げられないから。分かったか』という形で釘を刺された。『婚約者に稼いでもらおうか』とか、『お母さん、家族に兄弟に補填してもらうしかないな』というテンプレートのような脅し文句で脅されてしまって…」
こう語るのは7年前、先輩の誘いで意図せず特殊詐欺グループに関わり、強盗で逮捕された経験のある男性。現在、特殊詐欺犯罪撲滅の啓蒙活動を行う人物でもあります。当時は“出し子”の先輩を車で送迎する仕事で軽い気持ちで手伝っていたといいます。しかし約束の時間に遅れたことで事態は一変します。
(仮釈三郎さん)「先輩が激高していて『お前が1時間半遅れたせいで兄貴のシノギの金が全部飛んでしまった』と、『銀行口座が凍結してしまった、これをどう補填するんだ』と。提案されたのがぼくが逮捕された罪でもある 『強盗に行ってこい』という指示をされた」
反社組織に通じていた先輩に家族も全て知られた状態で断る事ができず、強盗事件を起こしてしまい現行犯逮捕。4年の実刑判決が下されます。
(仮釈三郎さん)「絶対にそういう犯罪行為を犯した後、それ以上のものが待っている。後悔という一言では表せない気持ち…」
徐々に暴力的な行動に移りつつある特殊詐欺グループ。そんな中、新たな動きがあるといいます。
(詐欺組織の内情に詳しい人物)「お金の取り合いっこ。Aというグループが2000万円のお金をとったら、その情報はB、Cのグループにもわかるわけですよ。そしたらBグループはAグループの金庫番を狙うんですね、今度は。そのお金の性格からするとAグループは被害届を出せませんよね。当たり前だけど。そういうのが最近ちらほらとみえます。末期症状。明らかにね。」
2月5日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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