“海なし県”埼玉で…温泉施設が“海の幸”サバ養殖のワケ「事業自体が似ていて挑戦」(2023年1月23日)

“海なし県”埼玉で…温泉施設が“海の幸”サバ養殖のワケ「事業自体が似ていて挑戦」(2023年1月23日)

“海なし県”埼玉で…温泉施設が“海の幸”サバ養殖のワケ「事業自体が似ていて挑戦」(2023年1月23日)

 海のない埼玉県で、私たちになじみ深い海の魚の養殖が行われ、先月、ついに出荷基準を満たすことに成功した。“海なし県”でどのようにして海の魚の養殖を可能にしたのか。実は、温泉の技術が活きているという。

■温泉施設で“海の幸” 注目の的に

 東京から車でおよそ2時間、埼玉県北西部に位置する小さな町。山に囲まれた、入浴施設の海の幸が今、注目されている。

 埼玉県神川町の日帰り温泉施設「おふろcafe白寿の湯」。地下750メートルから汲み上げた天然温泉が自慢で、関東有数の源泉濃度を誇るお湯が楽しめる。

 この入浴施設の “海の幸”とは一体?

 鎌田奈津実副支配人:「私たちはこちらの隣の養殖場で、サバの養殖を行っています」

■温泉水を利用して…“サバ養殖”

 施設の隣にあるという、サバの養殖場を見せてもらうことにした。

 今からおよそ1年3カ月前に始めたサバの養殖。当初は失敗の連続だったが、試行錯誤を繰り返した結果、先月、ようやく出荷基準とされる300グラムまで育ち、施設内で提供するめどが立ったという。

 だが、そもそもなぜ入浴施設がサバの養殖を始めたのか?

 鎌田副支配人:「人が入る浴槽の水を循環濾過(ろか)して、きれいにするのが仕事なんですが。陸上養殖も魚が入っている水槽の水を循環濾過し続けて、きれいな水を作るという点で、事業自体が似ておりましたので。私たちも陸上養殖に挑戦しました」「(Q.どうしてサバを選んだんですか?)私が元々、サバが好きなんですが、内陸の埼玉では新鮮なサバ、魚とか食べられなくて。この施設では、生食が非常に売りになります」

■今年6月提供開始 “温泉サバ”刺身もOK

 養殖では餌(えさ)や水温を管理することで、サバの成長を早めることができる。さらに、サバにアニサキスが寄生する原因という餌のオキアミを使わないことで、寄生虫のリスクを限りなく減らすことも大きなメリットだという。

 鎌田副支配人:「(Q.味に自信ありますか?)まだまだ工夫する途中ではあるんですが、脂ものり始めていますので、ぜひ食べて頂きたい」

 海水に似た成分が多く含まれる温泉水を利用したいという考えから「温泉サバ」と名付けられた。

 本格的に施設で提供が開始されるのは、今年6月だというが、特別に「温泉サバ」を試食させてもらった。

 しっかり歯応えもあって、甘みがくる。脂ものっていて、おいしい。

■温泉水で養殖 “海なし県”埼玉でウニ

 そして、サバだけではない。埼玉県では温泉水を使ってウニの養殖も始まろうとしている。

 先月、埼玉県久喜市で、天然温泉施設を経営する株式会社・山竹と、岩手県一関市にある一関工業高等専門学校が共同で、施設の温泉水を利用したウニの養殖に取り組むと発表した。

 一関工業高等専門学校の渡邊崇准教授は、目指したきっかけについて「温泉水はウニを育てる上でメリットが大きかった」と話す。

■“ウニ養殖”で温泉水のメリット 事業化へ

 実は、温泉水にはウニを育てるうえで、メリットがあるようだ。

 渡邊准教授によると、養殖には人工の海水が必要なのだそうだが、温泉水には海水に含まれているミネラルが溶け込んでいるため、普通の水から作るのと比べて、追加するミネラルの量が少なくて済み、コスト削減につながるという。

 また、養殖を行うウニは「キタムラサキウニ」という種類で、成育に適切な水温は18~20度程度。本来は、水の温度を上げるために電気代がかかるが、温泉水のため電気代のコスト削減につながると話す。

 さらにウニは高単価で取引され、他の魚と比べ多く育てなくても、採算が取りやすい面などのメリットがあるという。

 今年中にウニの養殖を事業化したい考えているそうだ。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年1月23日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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