“地域医療の巨星を亡くした”埼玉立てこもり事件 死亡の人質医師との間に何が

“地域医療の巨星を亡くした”埼玉立てこもり事件 死亡の人質医師との間に何が

“地域医療の巨星を亡くした”埼玉立てこもり事件 死亡の人質医師との間に何が

埼玉県の住宅で散弾銃を持った男が立てこもり、人質となっていた男性医師が死亡した事件。地域の在宅医療に情熱を注いでいた男性医師の死に、悲しみの声が広がっています。

きのう午後9時ごろ、埼玉県ふじみ野市の住宅で、この家に住む渡辺宏容疑者(66)が、散弾銃を持って医師の鈴木純一さん(44)を人質にとって立てこもりました。渡辺容疑者は鈴木医師の胸を撃った殺人未遂の疑いで逮捕されましたが、鈴木医師は心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡しました。

警察などによりますと、きのう夜、鈴木医師、理学療法士の男性、医療関係者の男性ら7人が渡辺容疑者の家を訪れた際にトラブルになり、鈴木医師のほか理学療法士の男性も胸を撃たれ重傷、医療関係者の男性も顔に催涙スプレーをかけられ、けがをしているということです。

死亡した鈴木医師は長年にわたって、地域で在宅医療に力を注いでいました。
「もうすっごく良い先生で、本当に親身になって診てくださって。悩み聞いてくださったり、本当に明るい先生で大人気で」

車いすで生活を続けている女性の家を訪問した時には・・・

鈴木医師の訪問診療を受けた女性
「椅子や座布団なくてすみませんと言ったら、(鈴木先生が)『床のほうが落ち着くんだよね』と床に座って、ゆっくり目を見て『今日どう?』という感じで。お医者さんが来たというよりは近所の優しいおじさんが来てくれたみたいな、それくらいあたたかくて優しくて、距離の近い先生で」

地元の医師会によりますと、鈴木医師が受け持っていた患者は300人に上るといいます。

東入間医師会 関谷治久会長
「それはもう巨星ですよ。巨大な星だったんですよ。それがなくなっちゃったという。在宅医療の根幹が揺るがされるような、東入間医師会として大きな存在だと思います」

鈴木医師らと渡辺容疑者との間に何があったのでしょうか?近所の人によりますと、渡辺容疑者は寝たきりの母親と2人暮らしだったとみられます。

近隣住民
「自治会のことで行こうと思うと、『(家を)出られないから付き合いません』と」

一方で、事件前日のおととい、こんな証言も・・・

近隣住民
「前の日に揉め事はあったみたいです。けっこう、怒鳴り声みたいな感じで。通りかかっただけで何を言ってるかわからないが、揉めてるんだと」

警察によりますと、渡辺容疑者の母親がおととい死亡し、その死亡確認を鈴木医師が行っていて、きのうは鈴木医師らが渡辺容疑者に呼び出されていたということです。警察は、母親の死をめぐってトラブルになっていた可能性があるとみて調べています。(28日17:29)

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