【報ステ解説】日本が安全保障に積極的関与へ…岸田総理が欧米歴訪“中国包囲網”は(2023年1月13日)

【報ステ解説】日本が安全保障に積極的関与へ…岸田総理が欧米歴訪“中国包囲網”は(2023年1月13日)

【報ステ解説】日本が安全保障に積極的関与へ…岸田総理が欧米歴訪“中国包囲網”は(2023年1月13日)

これまでに4カ国を訪問した岸田総理は、13日に最後の訪問国アメリカに到着しました。

今回の外遊は、とにかく強行軍でした。9日に日本を発ち、まずはフランスに移動。10日にイタリアを訪問し、5時間滞在した後、イギリスにすぐ渡り、首脳会談に臨みます。その後、12日にカナダを訪れ、最後の地アメリカへ、という行程です。

岸田総理が各地を回り、視察もそこそこに強調してきたのは“中国”についてです。

岸田総理:「今や欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であり、東シナ海・南シナ海で力による一方的な現状変更の試みが強化され、安全保障環境の厳しさを増す」

ヨーロッパは数年前まで、中国とは蜜月ともいえる距離感でした。

イギリス、キャメロン首相(2015年当時):「この訪問は新たな時代の幕開けであり、英中関係の黄金期とも呼ばれています」

“一帯一路”が注目され出した時、イタリアはその経路を誘致し、終着点はロンドンでした。フランスやカナダも経済面で結びつきを強め、関係は悪くありませんでした。

しかし今は…。

中国・習近平国家主席:「誠意を示さなければ、どうなるか分かりませんよ」

平場で習主席が説教をするような間柄に。トルドー首相も…。

カナダ、トルドー首相:「今年、文雄さんがG7を主催するにあたり、議題の中心はインド太平洋地域になるでしょう。現代の新たな世界情勢において、ロシアと中国という好戦的な権威主義が台頭しています」

地理的に離れていても、中国はもはや共通の脅威という認識です。

カナダのインド太平洋戦略(去年11月発表:「中国はますます破壊的な大国になっている。インド太平洋地域に展開するフリゲート艦の数を増やし、パートナーと共同展開する」

フランスも同じ認識です。

フランス軍事省:「米中の対立は急激な緊張を招きかねず、コントロールが難しい。核の脅威も多極化していて、その中心はインド太平洋だ」

岸田総理は今回、防衛面での連携強化を取り付けてきました。

フランスとは、今年前半での2+2の開催を。イタリアでは、次期戦闘機の共同開発などを再確認。カナダとも共同訓練の連携や防衛交流の拡大を約束しました。

そして、イギリスでは、RAA(円滑化協定)により、自衛隊とイギリス軍は、武器弾薬の持ち込み手続きが簡素化され、共同演習や艦艇の寄港などが行いやすくなります。

中国にとっては歓迎すべきものではありせん。

中国外務省・汪文斌副報道局長:「(Q.日英円滑化協定について)アジア太平洋は平和と発展の地であり、争いの“競技場”ではない。仮想敵や集団対立という古い考えを、この地に持ち込むべきではない」

【岸田総理の外交成果は?】

◆岸田総理に同行取材する山本志門記者に聞きます。

(Q.今回の歴訪は、ヨーロッパと中国の間に溝ができつつあるタイミングとなりました。どうみますか?)

タイミングとしては、良かったと思います。ヨーロッパは、ロシアへの批判を高める一方で、中国に対しても警戒を強めています。フランスはニューカレドニアを領土に抱えていて、海の安全面で中国の脅威に向き合う必要があります。イギリスも、香港の急速な中国化が、中国に対する懸念を持つきっかけになりました。

こうした背景があるなかで、日本が東アジアの安全保障を強化していくんだと。これはヨーロッパの国々から歓迎を持って受け止められていました。日本にとっても、ヨーロッパの国々を地域の安全保障に巻き込むことができました。大きな国際情勢の流れが後押ししたのだと思います。

(Q.ヨーロッパ歴訪を踏まえ、日米首脳会談はどのような会談となりそうですか?)

ヨーロッパもそうですが、今回の外遊は、二国間の安全保障協力の強化に主眼が置かれるなか、日米首脳会談は、その総仕上げとも言えます。

最大のポイントは「これからの安全保障政策に、日本が積極的に関与していく」ことを、バイデン大統領に直接、伝えることです。

その柱となるのが『防衛力の強化』そして『反撃能力の保有』で、安全保障政策の“歴史的な大転換”をしたと伝えます。

そのうえで、これまでの“アメリカが矛、日本は盾”という役割分担をどう見直していくのか。日本がどこまで矛の一翼を担うことになるのか、ならないのか。こういった点が、大きな焦点になると思います。

(Q.外堀ばかり埋めて、国民が後回しになっている懸念が消えませんが、どうですか?)

私もそう思います。これだけの歴史的な大転換を、岸田総理は、あまりにもさらっと決めてはいなかったのか。ここは大きく疑問です。防衛増税もそうでしたが、国民を巻き込んだ議論にはなっていなかったと思います。

岸田総理、帰国後は国会が待ち受けています。今後の日本の安全保障政策をどうしていくのか。与野党の論戦に期待したいと思います。

(Q.岸田総理は、中国との関係をどう築いていくのでしょうか?)

岸田総理は一定程度、日中関係を改善したいと考えています。中国は経済が伸び悩むなか、日本との経済関係に期待している部分もあり、日本はその流れをうまく利用したいと考えています。

今回の外遊で安全保障面での外堀を埋めたので、岸田総理は今後、外交で中国との緊張をどう緩和していくのか。このあたりに手腕が問われてくると思います。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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