マグロ、牛肉…世界で起きる食料の調達競争に買い負けるニッポン 【墜ちるニッポン再生の道は】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

マグロ、牛肉…世界で起きる食料の調達競争に買い負けるニッポン 【墜ちるニッポン再生の道は】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

マグロ、牛肉…世界で起きる食料の調達競争に買い負けるニッポン 【墜ちるニッポン再生の道は】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG

私たちにとって身近な存在『マグロ』が、 世界との獲得競争で買い負け、もしかすると、食卓から消えるかもしれないというのです

■今年の一番マグロ 去年の2倍以上の値

木曜日、豊洲市場。新春恒例のマグロの初競りが行われました。最も高い「一番マグロ」に付いた値は…3604万円!青森県・大間で水揚げされた本マグロで、去年の2倍以上の値となりました。

■マグロに異変

日本人にとって馴染みの深いマグロに、実は今、異変が起きているのです。それが伺える場所があります。静岡県・焼津(やいづ)漁港。水揚げ金額日本一を誇るこの町に、中国人バイヤーが頻繁に訪れているといいます。中国・黒竜(こくりゅう)江省(こうしょう)出身の金(きむ)龍喜(りゅうき)さん。焼津に年間50回も来ています。

金龍喜さん
「コンテナは1つですね。新しい本マグロが入る場合はすぐに連絡します。」

購入したマグロの写真を現地に送り、商談を進めます。冷蔵施設に入り込み金さんの狙いは、最高級の大トロ。金龍喜さん「ここは脂がいっぱい のっているところです。

金龍喜さん「これもうとろけますね、口に入れたら。」
記者「とろける?」
金龍喜さん「とろけますよ!フフフ」

金(きむ)さんの元には注文が絶えません。次々と積まれていくマグロ。向かう先は…中国です。その中国では、近年、マグロが大人気。解体ショーを行えば人が殺到。回転寿司も続々とオープンしています。

北京・日本料理店 店主
「中国人は大トロが好きです。脂のないものは好きじゃない。」

北京では、この量の刺し盛りが6000円ですが、人気だといいます。積み上がった大トロ。中国向けに、バイヤーの金(きむ)さんが買ったのは4,5トン分。支払ったのは2200万円でした。

記者「中国の人は高くても買ってくれる?」
金龍喜さん「お金持ちは食べるでしょう、ハハハ」

焼津で仲介業などにあたる福井さんは、中国の勢いに驚きを隠せません。

「海伸」福井裕馬 営業課長
「本当に勢いを感じますし、スピード感が違いますよね。購買力あります、すごいです。細かいこと言わない、『とにかくモノを集めてくれ』というやり方」

中国などでマグロの需要が高まる中…価格は10年で2割高騰。さらに燃料費も上昇し、日本からは手を出しにくい状況が生まれつつあります。

「海伸」福井裕馬 営業課長
「このままであれば日本の食卓からマグロがなくなっていくのも近い将来あるのかもしれないと思う。」

世界的な需要の高まりで煽りを受けているのは、マグロだけではありません。

■世界で起こる牛肉獲得競争

客「すごく柔らかくて、すごく美味しいです。」

それが牛肉です。中国では特に『牛しゃぶ』が人気で、1700ものテーブルがあるという大型店まで。中国の輸入量はこの15年でおよそ650倍に膨れ上がっているのです。世界で起こる牛肉獲得競争。かつて日本で、輸入牛肉といえば「安さ」の象徴でした。しかし、その牛肉は全体でこの20年、3倍近くに値上がりしているのです。こちらは、全国に展開するステーキ店。主にアメリカ産牛肉を使っていて、看板メニューは「150グラム1000円」という価格を維持してきましたが、一時1400円まで値上げせざるを得なくなりました。ステーキ店の社長は…

やっぱりグループ 義元大蔵社長
「今、中国 韓国、台湾とかが日本より高い価格で買い付けしてくるので、日本は今“買い負け”しちゃってるんですよ。」

常連客は…


「賃金が上がらないで物価が上がるとどうしても外食の機会が減っちゃいますよね。」
「これ以上(値段が)上がると財布からはお金が出ないかな。」 

追い打ちをかけたのが、去年の円安でした。その後、円高傾向にふれたものの、一時は32年ぶりに151円台を突破。店では何とか価格。さらに、こんな“秘策”にも乗り出しました。

社員「(香りが)牛とは違う」「でも嫌な匂いじゃない」
やっぱりグループ 義元大蔵社長「脂 次第だな」

ステーキ店として牛肉にこだわってきましたが、羊の肉も用いるか検討しています。買い負けの危機に瀕しているのは、牛肉やマグロだけではありません。去年、農水省の審議会で、専門家が「食料の調達競争で日本が買い負けている」と指摘。

「何でも買えるというところが既に現実ではなくなってきている、買い負けが起きている」
(農水省審議会の議事録)

小麦や大豆、トウモロコシなどの穀物でも、買い負けの懸念が指摘されています。食の安定供給をいかに確保するか、問われています。

(「サンデーモーニング」2023年1月8日放送より)

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