最初の説明は「機体に故障」乗客明かす一部始終 爆破予告で緊急着陸(2023年1月7日)

最初の説明は「機体に故障」乗客明かす一部始終 爆破予告で緊急着陸(2023年1月7日)

最初の説明は「機体に故障」乗客明かす一部始終 爆破予告で緊急着陸(2023年1月7日)

7日、福岡に向け飛行中のジェットスター機が爆破予告を受け、中部空港に緊急着陸しました。搭乗していた客が、機内の状況を明かしました。

■最初のアナウンスは「機体に故障」

爆破予告の電話が成田空港のインフォメーションセンターに入ったのは、午前6時18分ごろ。ジェットスター機の便名を名指しして、英語で「爆弾を仕掛けた」という内容のものでした。捜査関係者によると電話の発信元はドイツからだったといいます。

その爆破予告の電話が入った直後の午前6時21分ごろ、乗客乗員142人を乗せた福岡行きのジェットスター501便が離陸に向けて動き始め、午前6時35分、成田空港から出発しました。「爆弾を仕掛けた」といわれた機体に乗っていた乗客に異変が知らされたのは出発してから1時間ほど経ったころだったといいます。

福岡に帰省予定だった乗客:「最初、機長さんから故障が生じて中部空港にいったん着陸します、というアナウンスが第一報でした」

朝早い便だったこともあり、寝ていた乗客が多かったといいます。

福岡に帰省予定だった乗客:「みんな、バッと起きて、どういうこと?みたいな。焦っているというわけではなかったですけど、なんかどういうこと?みたいな」

成田空港を出発して、およそ1時間が経過した午前7時41分、福岡行きのジェットスター機は中部国際空港に緊急着陸しました。

福岡に帰省予定だった乗客:「滑走路に着陸して、誘導路に入っていったん止まったんですね。そこでもう1回アナウンスが入って、爆弾がしかけられたということで緊急脱出を行いますみたいなアナウンスが急に入って…」

当初は「機体の故障」と伝えられていた緊急着陸の理由。それが突如、「爆弾が仕掛けられている…」と告げられたといいます。

福岡に帰省予定だった乗客:「ちょっと、えっ!?てなりました。爆弾って変わった瞬間にえっとなって…」
別の乗客:「周りの人は大丈夫だよって言い合っていたりとかっていう感じではありましたね。CAさんが避難してくださいと声をかけて、ドアが開いて、そこからスライダーが出てという感じ」

■続々と消防車が 空港に走る緊張

着陸後の機体を捉えた映像では、続々と乗客が滑走路わきの芝生の上を歩いていきます。その間も、脱出用シューターから、乗客が滑って降りてきているのが確認できます。

福岡に帰省予定だった乗客:「点呼が始まって並べさせられて、さらに消防の方とか空港の職員が来て、もうちょっと奥に移動した」

その後、消防車や救急車が列をなして、次々と当該機へと向かっていきます。

「緊急着陸したジェットスターの機体の後ろには消防車がたくさんいます」(報告・山本佳史カメラマン)

不測の事態に備え、緊急車両が配備される中、機体の中の捜索が行われます。

「警察官が捜索しています。引き出しなどをあけて警察官が捜索しています。乗客の荷物を機械を使って調べています。爆発物がないか機械を使って調べています」(報告・山本佳史カメラマン)

空港や滑走路から離れた海側の隅にある四方を壁に囲まれたスペースの中で乗客の荷物を1つずつ調べていきます。

「これですべての荷物の捜索が終わった模様です。不審物は見つかっていない様子です」(報告・山本佳史カメラマン)

結局、機体や乗客の荷物から爆発物は見つからなかったものの、脱出の際に乗客5人が軽いケガをしました。

■急旋回し中部空港へ 迫られた判断

1本の電話が引き起こした今回の緊急着陸。パイロットや管制はどのような判断を迫られたのでしょうか。

今回のジェットスター機が成田空港を離陸したのは爆破予告の電話から17分後の午前6時35分ごろです。事前に離陸を止めることはできなかったのか、元日本航空機長の塚原利夫さんに聞きました。

日本ヒューマンファクター研究所 塚原利夫氏(元日本航空機長):「やはり信憑性をめぐって多くの議論が発生するんだろうとは思いますが、国土交通省航空局に連絡が入れば、管制塔通じて、あるいは会社の無線を通じて離陸を差し止めることはできたかと思いますが、(予告電話が入ったのが)成田空港のインフォメーションセンターですと、いくつかのプロセスを通って、現場にその情報が伝わりますので、その間では対応できないだろうと考えられます」

塚原さんによると、成田空港のインフォメーションからは、航空会社、そして国土交通省へと連絡が入り、その後、航空会社からパイロットに、国交省から航空交通管制部へと連絡がいき、最終的にパイロットと管制の間で緊急着陸の相談が行われるといいます。

ジェットスタージャパンによると、成田空港から連絡が入ったのは、爆破予告の電話が入ってから35分経った午前6時53分だったといいます。

航空機の運航状況を記録するフライトレーダーを見ると、爆破予告の電話から1時間後の午前7時18分ごろ、ジェットスター501便は愛知県を過ぎたあたりで急旋回をしています。また航空機の高度を示すレーダーには、旋回した同じ時間から急降下していることがわかります。

塚原氏:「最寄りの空港に着陸するという決断をするのは当然ありますが、たとえば県営名古屋空港ですと周りには民家や工場があります。また大阪の伊丹空港に行ってしまえば街の中に空港があります。最悪の事態を想定した場合になるべく二次災害を与えない、被害を与えないような空港を選ぶとなれば、セントレア中部空港はうってつけだったのではないか。海の中の埋め立て地にある空港ですから」

■3連休初日 空港は大混乱に

今回の爆破予告によって影響を受けたのは、ジェットスター機だけではありませんでした。中部国際空港は、滑走路が一時封鎖され、3連休初日の空港内は混乱していました。

「正午過ぎの中部空港です。再開を待つ人たちが列を作って並んでいます」(報告・大橋葵)

函館行きの便の利用者:「空港に着いた時にSMSショートメッセージがきて、『なんの話だろう』と思ってきたら欠航ってなってて…」
沖縄行きの便の利用客:「朝8時に出発する予定で搭乗手続きして、飛行機に乗ったんですけど、運航できないってなっちゃったので…」

中部国際空港を発着する計60便以上が欠航となるなどの影響が出ましたが、安全が確認された午後0時15分に運航が再開されました。

■新幹線代は立て替え 成人式で帰省する乗客も

「いま多くの人が到着ロビーからでてきています」(報告・菅野富美)

緊急着陸した飛行機の乗客:「持ち込み荷物が置きっぱなしの人が、さっき受け取って。(待った時間は)9時間くらいですね」

緊急着陸してから9時間以上が経過した午後5時ごろ、ジェットスター機の乗客の男性は、ようやく機内に置いてあった手荷物が返却されたといいます。

緊急着陸した飛行機の乗客:「この後は名古屋駅に行って、新幹線で博多駅まで帰ろうかな。(新幹線代などは)自分でお金を先に払って、あとからコールセンターに申請と言われました」

こちらの20歳の男性も新幹線で名古屋から福岡に向かうといいます。

帰省予定だった乗客:「成人式にでるために福岡にいこうと。(今回の爆破予告は)ちょっと迷惑かなっていうのはありますね」

警察は威力業務妨害の疑いも視野に入れて捜査しています。

サタデーステーション 1月7日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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