マッカーシー氏への不信感 共和党議員造反の理由…米下院議長選 11回目でも決まらず(2023年1月6日)
アメリカ連邦議会の下院議長選挙が異例の事態だ。共和党議員による造反に次ぐ造反で、再投票は日本時間の6日午前9時ごろに11回目が行われたが、そこでも決まらなかった。
■米国“事実上のナンバー3”決まらず
日本時間の6日午前9時ごろ、アメリカ連邦議会の下院議長を決める11回目の投票が行われた。
ジョンソン下院書記官:「過半数の票を誰も獲得できなかったため、議長は選出されませんでした」
候補者が誰1人として、過半数を獲得できなかったため、決まらなかった。
アメリカのトップはバイデン大統領。次いでハリス副大統領で、その次の“事実上のナンバー3”が連邦議会の下院議長となっている。
その下院議長を決める投票が今、異例の事態となっている。
■きょうは5回投票 それでも…合計11回に
そもそも投票は、今月3日に1回目が行われたが、決まらなかった。実は、1回の投票で決まらないのは、なんと100年ぶりのことなのだ。
共和党が主導権を握る下院では、マッカーシー院内総務の就任が有力とされていた。しかし、党内の保守強硬派の議員ら19人が造反したことにより、過半数を獲得できなかった。
そして、その後も、4日までに6回繰り返した投票でも決まらない。
そして、6日は5回行われたが、それでも下院議長決まらず、投票は合計11回となった。
■トランプ氏 造反議員に“呼び掛け”も…
なぜ、マッカーシー院内総務ではダメなのか?
造反議員の多くは、去年11月の中間選挙に向けた党の候補者選びの段階で、マッカーシー院内総務が保守強硬派を冷遇したなどと主張している。
共和党が迷走する事態に、トランプ前大統領もSNSで「マッカーシー議員に投票すべきだ」と造反議員に呼び掛けたが…。
共和党 造反 ボーバート下院議員:「親愛なるトランプ前大統領から『諦めろ』と言われました。でも、本来なら、マッカーシー議員にそう伝えるべきでしょう」
トランプ前大統領も説得に乗り出したが効果はなく、造反議員は1カ月でも投票を続ける構えを示している。
■バイデン大統領も呆れ顔「世界が見ている」
マッカーシー院内総務は、次のように話した。
共和党下院 マッカーシー院内総務:「(Q.議長選から撤退しない?)もちろんしませんよ。私は、議会でも最も長い演説をした記録を持っているんですよ。議長選で、史上最多の投票回数になっても構いません」
ライバル政党の迷走ぶりに、バイデン大統領は呆れ顔だ。
バイデン大統領:「こんなに時間がかかっているのは、少々情けないと思う。世界の国々が見ている」
■造反する理由…マッカーシー氏への不信感
なぜ共和党でここまで造反が出ているのか見ていく。
マッカーシー院内総務は現在8期目を務めていて、共和党の下院のトップだ。
アメリカメディアによると、おととし1月にトランプ氏の支持者らが連邦議会を襲撃した事件では、トランプ氏に責任があり、辞任すべきだと述べていたが、同じ月にはトランプ氏の別荘で下院奪還に向け、トランプ氏と話し合い、一緒に記念撮影までしている。
一方、造反組が支持しているのが、現在2期目のドナルズ下院議員。極右的な見解が保守強硬派に好感を持たれている。
ニューヨーク・タイムズによると、今回の造反組のほとんどは、自由や自主を重視し、政府の関与に極めて批判的な下院議員連盟「フリーダム・コーカス」に所属していて、トランプ氏との関係が深い議員が多いという。
トランプ氏はマッカーシー氏への投票を呼び掛けいるが、なぜトランプ氏と関係が深いフリーダム・コーカスの議員は従わないのだろうか。
アメリカ連邦議会元上院補佐官で、早稲田大学の中林美恵子教授は、マッカーシー氏への不信感があるからだという。
マッカーシー氏はトランプ前大統領にすり寄ったり、良い風が吹く方に向く“風見鶏”タイプで、造反議員は古い政治体質に染まり、一般庶民とかけ離れているマッカーシー氏ではなく、変えないといけないと主張している。
そして、来年の大統領選への影響について、中林教授は、今の下院には共和党をまとめるリーダーが出ていないのが現状なので、バイデン政権や民主党がまとまっているように見える。国民感情的には民主党に有利ではないかとみている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年1月6日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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