【報ステ】「米中どちらで売るか」激化するEV開発“覇権争い”しのぎを削る各国の事情(2023年1月5日)
ソニーは4日、ホンダと共同開発したEV(=電気自動車)『AFEELA』を発表しました。
車の中と外、合わせて45個のカメラやセンサーを搭載。特定の条件のもとで運転が不要になる「レベル3」の自動運転を目指すといいます。
ソニーグループ、吉田憲一郎CEO:「モビリティの未来は、単なる移動の手段にとどまりません」
車内はいくつものスクリーンで彩られ、映画やゲームを楽しむことができるということです。
2025年から受注を始め、日本では2026年後半に納車される予定です。
ソニー・ホンダモビリティ、水野泰秀CEO:「ソニーが持っている、エンターテインメント性の高い映画などを投入して、車内空間をエンターテインメント空間にしたい。(Q.車内でゲームするには端末を使うが、使わずにできるようになる?)絶賛検討中です。プレイステーションのコントローラーを付けたら…などあるが、お客さまにとって“何が一番やりやすいのか”」
一方、中国では、政府の後押しもあって爆発的に普及が進んでいて、新車販売の4台に1台がEVを中心とした新エネルギー車です。
中国のEV最大手・BYDが製造する『ATTO3』は、世界戦略EVと位置付けられ、今月末に日本へ上陸します。
価格は440万円。今の補助金が今後も続けば、実質355万円で購入可能です。
BYDディーラーの店員:「(Q.1回の充電でどれくらい走れるか?)最長で510キロ走れます」
EVといえば、アメリカのテスラが有名ですが、国ごとにみると、世界販売台数のトップを走るのは中国メーカー。実に4割以上を占めています。
中国メーカーの台頭に、アメリカは国内産業を守ろうと必死です。
アメリカ、バイデン大統領:「EVの未来はすべて「Made in America」になります。アメリカの労働者が、アメリカ製の部品で、アメリカで製造する。狙いは単純明快「Buy American」です」
去年成立したインフレ抑制法。気候変動対策として、最大100万円ほどの補助金でEV購入を後押しするものです。
ただ、国外メーカーには高いハードルが課せられます。
補助金の対象となるのは、北米で最終的な組み立てが行われた車のみ。バッテリーに使うリチウムなどの素材も、国内かアメリカが自由貿易協定を結ぶ国から調達しなければなりません。
2030年までに新車の半分をEVにするという目標を掲げているアメリカ。巨大なマーケットを前に、各国のメーカーがシェア獲得を図りたいところですが、アメリカが設けたハードルによって締め出されるのは、中国だけではありません。
日本自動車工業会(去年11月):「日本自動車工業会は、北米での最終組み立て要件が、日本製のクリーンエネルギー車を排除することに強い懸念を抱いている。日本国内で製造された車両は、北米で製造された車両と同等の扱いを受けるべきである」
ヨーロッパでも不満が噴出しています。
フランス、マクロン大統領:「インフレ抑制法や半導体法は、欧米関係に亀裂を生み、多くの企業で働く人々は『もうアメリカには投資しない』と思ってしまうだろう」
初めてセダンのEVを発表したドイツのフォルクスワーゲン。アメリカの補助金の対象には入りましたが、幹部はこう見ています。
フォルクスワーゲン乗用車部門、シェーファーCEO:「解決策はあるはずです。アメリカの強硬姿勢はさておき、自動車産業が世界規模である以上、境界線や規制をつくるのではなく、協力し合うことが大切です」
【米中に揺れる各企業の対応は?】
アメリカのラスベガスで開かれる世界最大級の家電とテクノロジーの見本市『CES』を取材する力石大輔記者に聞きます。
(Q.色んな面で時代の流れを映し出す見本市だなと感じましたが、いかがですか?)
CESはもともと“身近な家電の見本市”として知られていたと思いますが、最近は“人類の大きな問題にどう最新技術が立ち向かっていくのか”といったコンセプトに変わってきています。
こうしたなかで、EVに対する熱の高さを、取材をしていて非常に感じました。
メイン会場から1本道を挟んで、一番目立つところにある展示会場は、フランスの大手部品メーカー・フォルヴィアです。隣にあるのはドイツのフォルクスワーゲン。いずれも電気自動車に力を入れている企業です。
他の企業の方にも話を聞くと、インフレ抑制法に対する困惑の声が聞かれました。
これまで、サプライチェーンをどうしても中国に頼ってきたが、このままでは立ち行かなくなるのではないか。そんな苦悩の声も聞かれるほどです。
究極的には、EVをアメリカで売るのか、中国で売るのか。本当は両方で売りたいが、二者択一を求められかねない状況になっています。
こうした状況に、フランス政府・韓国政府は正式に、アメリカに抗議をしています。
(Q.ソニーとホンダが共同開発した電気自動車の反応はどうでしたか?)
非常に注目度は高かったです。開始3時間前からメディアが行列を作り、500ほどあった席は、すぐ満席になって、立ち見の記者もいたほどです。
EVに力を入れているアメリカはもちろん、ヨーロッパやアジアの記者も目立ちました。こうした国々に対して、日本メーカーが存在感を示した形です。
ただ、他のスタートアップ企業に「日本のマーケットに対して、いつごろ電気自動車を投入するか」を聞くと、多くの企業は「未定です」という回答でした。
その理由について、「日本は充電ステーションの整備が遅れている部分がある」と。そのため、「消費者の購買意欲が高まっていない」「まだ投下できる環境が育っていないんじゃないか」という声が印象的でした。
その意味において、日本は他の国に比べて、EVの分野で少し立ち遅れていると言えそうです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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