【記者報告】「脱炭素」と「電力需給の厳しさ」…原発“最大限活用”へ政策大転換 課題は?

【記者報告】「脱炭素」と「電力需給の厳しさ」…原発“最大限活用”へ政策大転換 課題は?

【記者報告】「脱炭素」と「電力需給の厳しさ」…原発“最大限活用”へ政策大転換 課題は?

2022年、政府は、新たな原発の建設方針を示すなど、福島第一原発事故以降の原子力政策を大転換しました。その背景と課題について、経済部・岩田記者の報告です。

政府が打ち出したのは、安全性を高めたとされる「次世代原発」の開発・建設を進めることや、最長60年とされている原発の運転期間について、安全審査などで停止していた期間を除外することで、実質60年を超えた運転を可能とするものです。

岸田首相
「政府としては、基本方針の具体化に向け、GX実現のための法案を次期通常国会に提出すべく、幅広く意見を聞くプロセスを進めていきます」

2011年に起きた東京電力・福島第一原発の事故の反省から、政府は可能な限り原発に依存しないとする原子力政策を維持してきましたが、それを大転換し、「原発を最大限活用する」方針へと舵を切った形です。

その背景には、世界的な脱炭素への流れと、ひっ迫する可能性をはらんだ電力需給の厳しさがあります。

この2つの難題に原発の活用というカードで対応するのは「現実的な解答」だと評価する声がある一方で、専門家からは今回の方針転換は議論不足が否めないとの指摘もあります。

元原子力委員会 委員長代理 鈴木達治郎 長崎大教授
「一言で言えば拙速だと思います。福島事故を踏まえた段階で負の遺産というか、解決しなければならない課題がいくつもある。核のゴミ問題、これは推進であろうが、反対であろうが、解決しなければならない課題。(その他にも)福島の廃炉の問題、賠償問題、山とあります。反省を踏まえて整理した上で、次の施策に移るのが通常の考え方」

政府は方針転換に基づいて速やかに法案化することにしていますが、国民の命や安全にも直結する問題だけに、丁寧な説明と深い議論が不可欠です。
(2022年12月31日放送)

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