一家4人死傷「東名あおり事故」やり直し裁判へ 遺族「元に戻るような感じ」(2022年1月26日)
事故から5年、東名高速であおり運転を受け、一家4人が死傷した事件で、被告の男の裁判員裁判が、27日からやり直されます。一度は懲役18年の判決が下された裁判。遺族は複雑な想いを抱えています。
静岡市に住む萩山文子さん(81)。
萩山文子さん:「ここに座ると、なんか落ち着くんだよね。ここにいるからさ2人。この子なんて死ぬような子じゃないんだもん。石橋被告があそこに止まってたもんで変な所へ。こっち出る前にうちの子がね、うちも早く帰りたかったんだよ。私1人で家にいるじゃん。思い出すと『生きててくれたらなあ』と思うけど」
5年前、三男の嘉久さん一家が乗った車は、東名高速で石橋和歩被告(30)にあおり運転を受けて止められた後、後続のトラックに追突されました。
この事件で嘉久さんと妻の友香さんが死亡。娘2人もけがをしました。
一審の裁判員裁判で、横浜地裁は石橋被告に懲役18年の判決を言い渡しましたが、その後の控訴審で東京高裁は、裁判前に行われる「公判前整理手続」に問題があったとして、一審判決を取り消し、裁判をやり直す「差し戻し」が命じられました。
萩山文子さん:「すっきりしない。また元に戻るような感じ」
東京高裁が問題としたのは、横浜地裁が「公判前整理手続」のなかで、『危険運転致死傷罪にあたらない』と見解を示したにもかかわらず、裁判員裁判が始まった後、横浜地裁自らが見解を変更し、判決で危険運転を認めたことでした。
弁護士・大澤孝征氏:「元々裁判員裁判というのは、裁判官と裁判員とで合議をしながら裁判を進めるというのが建前なのに、この『危険運転致死傷罪』の成否について一方的に、しかも裁判が始まる前に裁判官が意見表明したのは違法。裁判員裁判そのものを否定しかねないような訴訟を行ったのが大いに問題であるから、やり直せと。(被告の)弁護士からしたら『だまし討ちだ』と言われかねない。『(危険運転致死傷罪に)なりません』と言っておいてふたを開けてみたら、『なります』と言うんですから」
事件からすでに5年。差し戻し審は27日の午前11時から始まります。
萩山文子さん:「(Q.裁判に行く予定は?)本当は行くつもりだったんだけど、元気なら。この体じゃあ・・・」
弁護士・大澤孝征氏:「(Q.判決が替わる可能性はあるのか?)あんまり(変化は)ないんじゃないかと。あんまり変わっちゃいけないと言ってもいいと思いますね。あくまでも手続き上、問題があったと」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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