1997年 南極観測「昭和基地」探訪記 観測隊員が案内する居室、医務室、バー。そして屋台【映像記録 news archive】

1997年 南極観測「昭和基地」探訪記 観測隊員が案内する居室、医務室、バー。そして屋台【映像記録 news archive】

1997年 南極観測「昭和基地」探訪記 観測隊員が案内する居室、医務室、バー。そして屋台【映像記録 news archive】

1997年12月、南極昭和基地の暮らしを紹介する映像です。
案内役は第38次越冬隊の金尾正紀隊員です。

金尾隊員:いま私が立っているのが19広場と言いまして、一九(いちきゅう)ですね、19次隊で建てられたというか作った広場です。ここに昭和基地の記念する看板があるということです。
     もじって「一休み広場」「一休広場」と我われ観測隊は呼んでいます。
取材D: 広場っていうのはそんなに広いわけじゃないですね。
金尾隊員:そうですね。車が3台ぐらい止められて、いろんな、越冬交代式だとかいろんな催しを行うための広場です。
     昭和基地はご存じのとおり狭い島の斜面に位置しているので、なかなか平らなところはありません。
     これまではここの19広場が、いま右横にある赤い建物が昔の食堂に近いというので、ここがみんなが集まる場所として使われてきました。

◆倉庫(旧食堂・娯楽棟)

金尾隊員:先ほどの広場を降りたところで、古い食堂の入口です。旧食堂の入口ですね。
     すべての建物の入口には、こういうようにドラム缶を切って水を溜めているものがありまして、そこで長靴の泥をとると。そうすると建物の中が汚れなくなります。
取材D: 冬もこういう習慣があるんですか。
金尾隊員:冬はですね、今、雪が融けて土とか石が出ていますのでこういうふうにやりますけど。
     3月末、4月ぐらいからはほとんど雪に覆われますので、しかもこの水は全部凍ってしまいますからできなくなります。
     冬場は雪ばっかりですので、あまり建物の中は汚れないと。
     夏場、今がいちばん汚れる時期ですね。

金尾隊員:こういうスキーであるとか靴、登山靴であるとかスケート靴であるとか、ソフトボールのグラブやボールとか、いろんな物があります。
     スキーはできます。スケートもできます。
取材D: だらしなく営業中、ここは何ですか?
金尾隊員:ここはですね、旧娯楽室と言いますか、いわゆる古いバーがあったところです。

外から見るとこんな感じ。

金尾隊員:新しいバーが管理棟のほうにできたので、酒庫、酒の保存庫として使われています。

◆居住棟

波状鉄板を筒の形に組み立てた簡易通路です。

取材D: 鉄の輪っかっていうか。
金尾隊員:下水道の中を行くような感じですが。

第9居住棟、二つある居住棟のうち古いほうで、撮影当時で築30年ほど、個室の広さは3畳ぐらいです。
こちらの2階建ては建ててまだ1年、第1居住棟という真新しいこちらの個室は4畳半ほどなのですが。

取材D: ここは金尾さんのお部屋?
金尾隊員:ちょっと汚くしてて
取材D: いやいやいや。

◆管理棟

管理棟。診察室もあります。
昭和基地には医師が2人、観測船「しらせ」は医師と歯科医がいて、隊員の健康管理や治療にあたります。

金尾隊員:バー、オレンジキッズです。21時より開店、毎週火・木・土、3日営業。

「営業中」の看板がかかっています。実は昼間もかかっていたのですが、それはそれ。
営業が始まって大盛り上がりです。
バーテンは、隊員が2人ずつ交代で務めるそうです。

ラーメン屋台です。風呂場のある発電棟から帰る通路、いわば“夜道”にあって、まさに屋台です。
愛好者2人が、たまに、出しているそうです。
一杯380円!時代というか、場所がらというか。

週に一度はソフトクリームも食べられます。

取材D: うまそう。
隊員:  うまいっすよ。

寒いのでカロリーが必要なんだそうです。

金尾隊員:ここが今使っている食堂で、非常に広い。テーブルが8人かける4で、さらに向こうにもう一つ同じ大きさのテーブルがあるので40人用です。
金尾隊員:厨房です。いま写ってるのが調理の北田さんで、京都の料亭から来られました。
取材D: 京都の料亭の。うわー!贅沢っすね。
北田隊員:煮込み、サバの生寿司と、たたき。

◆倉庫棟

金尾隊員:これが倉庫棟にある主要な冷凍庫です。温度がマイナス16℃ぐらいです。今現在。
取材D: この中に入ってるので、1年分のここの冷凍食料?
金尾隊員:あと発電棟の冷凍庫とあともう一つ小さい冷凍庫があって、ここが一番メインなところですね。全部ではないですね。半分ぐらいですかね。

◆発電棟

発電機です。3基あります。
電気は、マイナス25℃でも凍らない寒冷地向けの軽油を使って発電します。
暖房用には航空機用のジェット燃料が使われます。
その恩恵をうける風呂場。発電機と同じ建物にあります。
塩崎修隊員が語る、湯加減は?

塩崎隊員:熱効率がいい発電機なので、燃費もいいしそれからいわゆる排熱も少ないんですけども。
     同じく2号機3号機あるんですけど、あっちのほうが非常に熱がかなり出ますから、その時には、この風呂のお湯も熱くなるんですよね。
金尾隊員:お湯もきれい。循環式ですから。

建物のうしろのドリフト、雪の吹き溜まりが水源です。

◆無線室

取材D: これがほとんど唯一とも言うべき、ここと外との連絡。
金尾隊員:そうですね。

担当は田中結隊員です。

田中隊員:こちらの装置で隊員のみなさんが愛する家族と連絡をとります。ファックスも電話も両方できるようになっています。
     今のところ24時間、電波状態がよろしければ、いつでも連絡できる状態です。
取材D: いちばん込み合うのはいつあたりなんですか?
田中隊員:やはり割引時間の昭和時間の10時30分から明朝のマルハチサンマル(8時30分)、この間がやはり割引時間ということもあって、
     この時間に入るときそれから時間が切れるとき、その時がいちばん込みます。
     だいたい越冬しますと、頻繁に使う方とほとんど使わない方、別れます。
取材D: それはどういうことで別れるんだなあっていう風に思いましたか?
田中隊員:どうですかね、わかりませんね。愛情の深さでしょうか。
取材D: 愛情の深さで電話のかけ方が違うと?
田中隊員:そうですね。

昭和基地では2004年から、インターネットやテレビ会議が使えるようになりました。

そして2022年現在、昭和基地の建物は64棟までに増えています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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