【報ステ解説】「ロシアと連携し手口が巧妙化」“北朝鮮シジミ”国産偽装で一斉捜索(2022年12月21日)
北朝鮮産のシジミを“青森県でとれた国産”として販売したとして、警察は21日、全国の関係先を一斉に捜索しました。
対象は、山口県下関市の水産卸売会社『アイコー』と、その関係先、数十カ所。異例の規模に上っています。
北朝鮮産のシジミは、どのように国内に流通していたのでしょうか。
そもそも日本政府は、独自の制裁措置によって、北朝鮮からの水産物の輸出入を全面的に禁止しています。
下関市の水産卸売会社は、韓国や中国を経由し、ロシア産などと産地を偽って不正に輸入していたとみられ、協力会社を通じて国内に流通していたといいます。
捜索を受けた会社のホームページでは、シジミの産地は“ロシア”となっていました。
国内のシジミ三大産地の1つである、茨城県の涸沼。『涸沼ブランド』を守ってきた地元の漁業関係者は怒っています。
シジミ卸売り『楽市』大澤信行社長:漁師だって、汗水たらして夏場、冬はかじかんだ手を我慢してとっている。そういった偽装という形で販売する。もう考えられないですよね。お歳暮の時期であったり、スーパーの発注であったり、かなりの影響は受けるのかなと感じます。
ただ、あるシジミ産地の漁師によりますと、こうした手口は30年以上前からあったといいます。
シジミ漁師:河川の環境汚染で国産がとれなくなった時に、海外産のシジミを入れ始めた。北朝鮮産はロシア経由で入ってきた。少しだけ国産を入れて、国産として売る業者もいた。
産地偽装の背景には、今シーズンの不漁もあるとみています。
シジミ漁師:シジミは汁物で、冬に入ると需要が高まる。今年のように不漁でとれない時は、穴埋めしなきゃいけないから、他から持ってくる業者がいるんだろう。北朝鮮産は見た目も変わらないし、素人では見分けがつかない。
警察は、国内のネットワークを通じて、北朝鮮に資金が流れている疑いもあるとみて、実態の解明を進めています。
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北朝鮮からの海産物の輸入は、核やミサイル開発の原資にもなり得ます。
国連安保理で北朝鮮制裁の専門家だった古川勝久さんによりますと、制裁が科される前から、北朝鮮にとってシジミ・タラ・カニは伝統的な輸出の主要品目で、新型コロナの流行後、感染対策として厳しく制限されていた、漁業や海産物の取引がすでに活発化しているということです。
海産物の密輸ルートは、各国の協力者で長年かけて、ネットワーク化され、輸送のための船舶の手配や、売り上げの送金など、役割分担もされているということです。
北朝鮮は日本について、多くの協力者を抱える“最重要マーケットの一つ”と位置付けているとしています。
制裁逃れの環境も近年、変わってきているということです。
古川さんによりますと、北朝鮮はかつて、中国の地方都市を密輸の拠点としてきましたが、国際的な監視が強まったため、複数の国を迂回させるなど、手口がさらに巧妙化しています。
その中で、古川さんが注目しているのが、ロシアの存在です。
ウクライナ侵攻をきっかけに、北朝鮮はロシアと蜜月関係になっていて、ロシア政府高官さえ、制裁違反に加担する意志を示しています。
今後、ロシアと連携した制裁逃れが、さらに顕著になる可能性もあると指摘しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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