【報ステ】「空港再開まで荷物ない」日本人も足止め…ペルー全土で“非常事態宣言”(2022年12月15日)
南米ペルーでデモが拡大しています。地元メディアによりますと、1週間にわたる抗議デモで8人が死亡しています。
空港の滑走路には物が散乱し、使える状態ではありません。デモ隊は、幹線道路を封鎖。物流を担うトラックが足止めされています。こうなると日常生活はままなりません。そこで政府は、ペルー全土に非常事態を宣言しました。
世界遺産マチュピチュをはじめ、南米有数の観光資源を持つペルー。コロナがやや落ち着き、再び世界から人が集まり始めたところで、この事態となりました。
マチュピチュと、玄関口のクスコを結ぶ唯一のルートが列車ですが、デモの影響で列車は運行停止。外国人観光客800人近くが足止めされています。
イスラエルからの観光客:「デモの影響でクスコに戻れず出国できません。子どもを連れているので大変です」
日本からの観光客約20人もマチュピチュやクスコ周辺で、足止めされているといいます。1週間の予定で旅行中の会社員。本来なら15日に日本に帰国しているはずでした。ロストバゲージになっていたスーツケースを受け取りに空港へ行ったところ、封鎖して入れなかったといいます。
クスコ滞在中の日本人旅行者(27):「ゲートで荷物を取りたいと話したら『きょうは封鎖なので、あした来て」と。翌朝行っても『きょうは無理だ』と。あきらめて、空港再開まで荷物なしで過ごすかという状況」
現地の旅行会社によりますと、市内の公共交通機関は、完全に止まっているといいます。
クスコ在住・UKHUTRAVELの丸石成吾さん:「民間の流しのタクシーなどは、きょう数台は走っていたのですが、デモ隊がそれを見かけると、投石にあったり、襲撃される」
クスコからボリビアのチチカカ湖畔の街へバスで移動中に足止めされた人たちもいます。世界各地から来た約150人の観光客が、バスの車内で3日間寝泊りしているそうです。
ペルーを旅行中・石田直也さん:「ボリビアに行くためにバスに乗ってるので、ペルーのお金を持っていない人が多い。ATMもない小さな村なので。小さいパンを、2日間、食べてる人もいる」
デモの発端は、先週、大統領を務めていたカスティジョ氏が、反逆の疑いで警察に逮捕されたことでした。これに支持者たちが抗議の声を上げたのです。
議会では、先週、汚職疑惑でカスティジョ氏に対する弾劾決議案を採決する予定でした。しかし、カスティジョ氏は、直前に議会の閉鎖を宣言。これが憲法に反する行為とみなされました。
去年7月、フジモリ元大統領の娘・ケイコ氏を破り、大統領に就任したカスティジョ氏。かつては小学校の教師を務め、労働組合の幹部として、全国一斉のストライキを率いたことがある急進左派です。
そんな人物が、大統領に上り詰める一つの要因となったのが、新型コロナでした。パンデミックによって、どん底に落ちた経済。都市と地方の格差がさらに広がるなか、平等を訴えるカスティジョ氏に支持が集まりました。
ペルーといえば、思い出されるのが1997年の日本大使公邸占拠事件です。左翼ゲリラが4カ月にわたり、最大600人以上を人質にとったこの事件も背景に貧困や格差の問題がありました。
ペルーの政情不安は、25年経った今も変わらず、汚職や議会との対立をめぐり、大統領の辞任や罷免が相次いでいます。
2016年以降、大統領に就任したのは、カスティジョ氏の罷免により昇格したボルアルテ氏で6人目です。デモの激化に直面した大統領は、元々、4年後の予定だった大統領選を来年12月に前倒しし、事態の沈静化を図ろうとしています。
ペルー・ボルアルテ大統領:「国民の皆さん、落ち着いてください。国民の声を聞き、ともに解決を目指します」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2022
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く