【悲痛な訴え】沈没直前の乗客が…運輸安全委員会が報告書 “知床観光船沈没事故”
北海道・知床半島沖の観光船沈没事故で、運輸安全委員会は15日、事故原因や船内の状況についての報告書を発表しました。報告書には「船が沈む」、「冷たくて泳げない」、「今までありがとう」など、沈没直前の乗客の悲痛な訴えが記されていました。
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事故当日、沈没した観光船「KAZU 1」の乗客が撮影した画像には、船から見えた北海道・知床半島の滝や、クマのような動物が写っていました。復元できた画像の中で最後に撮影されたのは、しぶきが上がる冷たい海の写真でした。
知床遊覧船 桂田精一社長(今年4月)
「このたびはお騒がせしまして、申し訳ございませんでした」
乗客乗員20人が死亡、いまだ6人が行方不明となっている「KAZU 1」の事故からまもなく8か月となります。15日、国の運輸安全委員会が発表した70ページにも及ぶ報告書には、沈没直前の緊迫した船内の様子も書かれていました。
報告書によると、ウトロ漁港を出発してから約3時間後の午後1時7分ごろ、豊田徳幸船長は無線で同業他社の社員に「ちょっとスピードが出ないので、戻る時間、結構かかりそうです」と話したといいます。ただ、この時はまだ慌てた様子はなかったといいます。
しかし、その後、急速に事態が悪化していきます。豊田船長は「船が浸水してエンジンが止まっている。船の前の方が沈みかけている。救助してくれ」と伝え、話を聞いた人物は、海上保安庁に通報しました。
一方、午後1時18分ごろ、乗客の携帯からも「船首浸水沈んでいる。バッテリーだめ。エンジン使えない。救助頼む」と通報がありました。
別の乗客は午後1時20分ごろ、携帯電話で親族に「船が沈みよる。今までありがとう」と話したといいます。「浸水して足までつかっている。冷た過ぎて、泳ぐことはできない。飛び込むこともできない」と話した乗客もいたということです。
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「KAZU 1」の事故では、乗客乗員26人のうち1人の生存者も確認されていません。沈没の原因についても、今回の報告書で推定されています。
事故2日前に撮影された「KAZU 1」の写真には、甲板にある50センチ四方の「ハッチ」といわれるものが写っていました。報告書によると、このハッチのふたを閉める4つの留め具のうち、3つが機能せず、船の揺れによりハッチのふたが開いた可能性があるということです。
ハッチからは相当量の海水が入り込み、甲板の下にある壁に空いていた穴から、浸水が拡大したとみられるということです。
また、当時、波の高さは約2メートルありましたが、波の威力でハッチのふたが外れ、すぐ後ろにあった客室のガラス窓が割れて、さらに大量の海水が入って沈没したと推定しています。運輸安全委員会は「ハッチに異常がなければ、沈没していなかった」としています。
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事故の原因が、少しずつわかってきました。 運輸安全委員会の調査とは別に、海上保安庁が業務上過失致死の疑いで捜査を続けています。
(2022年12月15日放送「news every.」より)
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