サウジ 米国離れ? 中国と急接近の理由…習主席7年ぶり訪問 “親中路線”に変更か(2022年12月12日)
サウジアラビアは、中国の習近平国家主席に対し、盛大な歓迎式典を開くなど、両国が急接近している。一方、これまで親米だったサウジアラビアが、アメリカから離れ始めている理由とは…?。
■“リヤド宣言”採択…アラブ諸国「台湾独立に反対」
習主席:「中国とアラブは、シルクロードの頃からの友人で運命共同体だ」
サウジアラビアで9日、中国とおよそ20カ国のアラブ諸国が参加する「中国・アラブサミット」が初めて開催された。
このサミットで習主席は、1000億円の援助を含めた経済協力や安全保障など8項目での協力を呼び掛けた。
また「リヤド宣言」が採択され、アラブ諸国は「台湾独立に反対する」と盛り込まれた。
およそ7年ぶりに、サウジアラビアを訪問した習主席。空港では、王室メンバーや外相らに出迎えられ、軍用機が中国の国旗を象徴する赤と黄色のカラースモークで空を彩るなど、熱烈な歓迎を受けた。
■習主席が7年ぶり訪問…“皇太子対応”に注目
中国とアラブ諸国が接近するなか、警戒を強めているのが、中東地域での影響力が低下しているアメリカだ。
カービー戦略広報調整官(7日):「中国が影響力を世界中で拡大しようとする動きに留意している。中東は、その地域の一つだ」
およそ7年ぶりに、サウジアラビアを訪れた中国の習主席。王室警備隊に先導され、王宮に到着した習主席を出迎えたのは、事実上の指導者・ムハンマド皇太子だ。
握手をしながら言葉を交わす2人だが、このムハンマド皇太子の対応が注目されている。
7月、バイデン大統領が初めてサウジアラビアを訪れた際には、握手ではなく拳を突き合わせただけ…。その後も、質素な対応に終始した。
アメリカとサウジアラビアは長年、資源や武器などで依存し合う良好な関係だった。
しかし、サウジアラビア人記者の殺害事件を巡り、ムハンマド氏の関与が疑われた。これをアメリカ側が問題視したことで、亀裂が生じた。
さらに、原油増産要請するバイデン大統領に対し、ロシアも参加するOPECプラスでの原油減産の決定が両国の溝を深めることになった。
バイデン大統領:「失望した」
■ムハンマド皇太子「総書記再選を心からお祝い」
そうしたなかでの習主席のサウジアラビア訪問。ムハンマド皇太子やサルマン国王は、立て続けに習主席と会談を行うなど、中国との関係強化を図っている。
ムハンマド皇太子:「中国共産党大会が無事に成功し、総書記に再選されたことを心からお祝い申し上げます」
■サウジ “中国マネー”取り込みたい思惑か
サウジアラビアは、中国との経済連携を加速させている。
今回、サウジアラビアと中国が調印した協定には、中国の広域経済圏構想「一帯一路」とサウジアラビアの経済改革「ビジョン2030」との連携が盛り込まれている。
「ビジョン2030」は、石油依存からの脱却と産業の多角化などを目指す一大プロジェクトだ。
サウジアラビアは、中国マネーを取り込みたい思惑があるのかもしれない。
■米国離れ? 専門家「見捨てたと感じている」
また、「人権問題」でも連携しているようだ。
中国の人民日報によると、サミット終了後の声明では「民主主義を名目にした内政干渉」や「人権問題の政治化」に反対すると明記されたという。
これはアラブ側にサウジや中国と同様に人権問題でアメリカと対立する国が多いため、こうした文言が盛り込まれたとみられるということだ。
また、サウジと中国はアメリカと距離を置くことでも一致したようで、フェニックステレビのネット版では、サウジアラビアのクラウド技術やハイテク複合施設の建設に、中国通信大手のファーウェイが技術協力する覚書を交わしたと伝えている。
ファーウェイは、アメリカが安全保障上のリスクを懸念する企業で、アメリカ国内でのファーウェイの通信機器の販売に対しては禁止措置が打ち出されている。今回の覚書は、アメリカの動きとは反対のものだ。
サウジアラビアのアメリカ離れについて、中東情勢に詳しい放送大学・高橋和夫名誉教授は、「バイデン政権と距離を置くムハンマド皇太子が、国を仕切っていることが大きい」「また、去年の米軍のアフガニスタン撤退で、アメリカが中東を見捨てたと感じている。アメリカが離れるなら、それ以外の国々と連携していくことをアピールしたいのでは」とみている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年12月12日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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