“電気&水”自給自足 「究極のエコホテル」開業…“避難所・難民キャンプ”で活用も(2022年12月9日)

“電気&水”自給自足 「究極のエコホテル」開業…“避難所・難民キャンプ”で活用も(2022年12月9日)

“電気&水”自給自足 「究極のエコホテル」開業…“避難所・難民キャンプ”で活用も(2022年12月9日)

 静岡県伊豆半島に、電気と水を完全に自給自足する究極のエコシステムを導入したホテルが10日、オープンする。そして、CO2の排出量はゼロ。その仕組みを取材した。

■雨水を“濾過滅菌” 飲料水に利用

 東京から車でおよそ2時間半。伊豆半島の西側に「究極のエコホテル」が10日にオープンする。

 “インフラ不要のホテル”というが、一体どういうことなのだろうか?

 早速、案内をしてもらうと、駿河湾を見下ろす傾斜地にある、この建物には、驚きの仕組みがあった。

 部屋は76平方メートルの広さ。一見して、普通に見えるが…。

 ARTH新規事業推進部・三浦崇聡さん(30):「既存の電気、ガス、水道などのインフラから独立しておりまして。こちらの施設で自然の力を使って、エネルギー、水を自給致しております」

 キッチンの蛇口から出てくる水、実は…。

 三浦さん:「こちらの施設の屋根から集水した雨水を、濾過(ろか)滅菌したものを使用しております」

 国の定める基準をクリアしていて、もちろん飲料水として利用可能だ。

 生活用水は、およそ3000リットルのタンクに貯水され、およそ20日分を賄える。

 トイレの汚水に関しては、土壌濾過装置により汚水の排水が全くなく、周辺の環境を傷めることもないという。

■すべて“太陽光発電” 備蓄も可能

 さらに、電気は太陽光発電によって空調や照明など、すべて賄われている。

 他にも、IH調理器具や冷蔵庫などを完備。CO2の排出もゼロだという。

 また、太陽光発電の余剰電力については…。

 三浦さん:「蓄電池が、こちらの方に設置されております。スタイリッシュで、かっこいいデザインなんですけれど」

 これ1台に、通常過ごす一日分の電力の備蓄が可能となっている。

 三浦さん:「(Q.台風が1週間続いたら?)(この地域の)20年分の気象データをもとに、実はどれくらい電力が必要なのか、どれくらい水が必要なのか、実証実験を重ねたうえで設置致しましたので。基本的に水不足や電力不足は起こり得ないと、自信を持って言えるかと思います」

 宿泊料金は一日1組限定、2食付きで13万円から。夕食は近くのレストランでイタリアンのコース料理が味わえる。

 現在、高知や沖縄でも、同じ方式の建設計画が進んでいるという。

■特徴生かし…「避難所に活用」相談も

 今回の取り組みだが、未来の街づくりに大きな影響を与える可能性を秘めているという。

 10日にオープンするホテルの建物は、輸送のことを考え、ユニット1個を幅およそ2メートル、長さがおよそ6メートルのコンテナと同じサイズにしている。

 工場で生産されたユニット6個を組み合わせる方式で造られ、設置は最短2日で可能だという。

 そして、このユニットの特徴として、無人島や砂漠などインフラがない土地にも設置することができる強みがあるという。

 また、ユニットを組み合わせて造るため、大きさを自由自在に変えたり、日照時間の短い地域では、太陽光パネルの数を増やしたりするなどして運用できるように、カスタマイズできるということだ。

 このホテルを手掛けるベンチャー企業「ARTH」の高野由之代表によると、行政からは『『避難所』として活用できないか」と声が掛かっているそうだ。

 「災害などの非常時には、避難所の体育館の床で寝るなどして高齢の方が体調を崩してしまう問題などにも対応できる。また、建物の太陽光発電で蓄電した電力を電気自動車に送ることや、逆に電気自動車の電力を建物側に送ることも想定している」という。

■“インフラ不十分”問題 技術協力も

 また、「難民キャンプにも置きたい」などのニーズもあるという。

 アフリカのウガンダでは、政府開発援助の「途上国の開発支援プログラム」で技術協力などを計画しているという。

 実際、ウガンダの街のホテルでは蛇口から茶色がかった水が出てきたり、突然、停電したりするなどの社会的なインフラが不十分なのが現状だという。

 高野代表によると、インフラやエネルギー技術を伝え、経済発展や快適な生活を実現できるような支援を行いたいとしている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年12月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事