「実効性が不十分」野党は修正要求 旧統一教会“被害者救済法案”審議入り(2022年12月6日)
国会で6日、旧統一教会の被害者救済に向けた法案が審議入りしました。
会期内での成立を目指す政府に対し、野党側からは修正を求める声が上がり、審議は大詰めを迎えています。
岸田総理:これまで救済できなかった被害を、より幅広く救済でき、将来向けて被害の防止にも役立つと考えている。
今回の法案の意義を強調する岸田総理。旧統一教会をめぐっては、これまで高額献金の被害などが問題となってきました。
元妻が信者・橋田達夫さん(65):人のお金に手を出したり、本当に人の心に入ってくる。
元2世信者・武田ショウコさん(仮名・20代):両親は高額献金をするために、朝から晩まで働き、働かない日は教会にばかりいて、家を空けることが多かった。
10月に始まった与野党の協議は難航したものの、野党の主張も一部取り入れる形で、政府が法案を提出しました。
法案では「寄付の勧誘をするに際し、個人を困惑させてはならない」とされ、「霊感などによって不安をあおる」「不安を抱いていることに乗じて、寄付が必要不可欠と告げる」ことがが、禁止されています。
ただ、野党側は、これではまだ不十分だと指摘します。
立憲民主党・柚木道義衆院議員:岸田総理のもう一歩の決断を期待し、修正提案をします。旧統一教会の手法は、被害者に友人として近付いたり、親身に相談に乗って弱みをつかみ、霊界を信じさせることで、進んで寄付をさせている。(政府案の)困惑して寄付という要件では、マインドコントロール下に置かれ、合理的な判断ができないことを立証して、救済するのは困難です。
岸田総理:マインドコントロールによる寄付は多くの場合、不安を抱いていることに乗じて勧誘されたものと言え、取消権の対象になると考えられる。
今回の法案では、マインドコントロールに対応するため、寄付を求める側の配慮義務も設けられました。
「個人の自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥らないようにすること」などを求めています。
ただ、野党側は、これを刑事罰に問われる『禁止規定』にするべきとしています。
立憲民主党・柚木道義衆院議員:配慮義務規定を禁止規定とすれば、旧統一教会が行ってきた正体隠しや、マインドコントロール的手法を用いた献金の抑止、救済の実現可能性が高まる。配慮義務規定を禁止規定にすべきではないか。
岸田総理:禁止行為とする場合よりも、より幅広い行為を捉えることができる。民法上の不法行為認定や、損害賠償請求を容易にする効果が高い。
岸田総理は『配慮義務』の方が、損害賠償などが認められ、結果として救済につながると説明します。
もう1つの論点は、本人以外の家族が寄付を取り消しできるかどうかです。
法案では、本人の資産がなくなった場合、家族などが扶養してもらう権利の範囲で返金を請求できるとしています。
共産党・宮本徹衆院議員:扶養義務の範囲では、取り戻せる範囲はあまりに狭く、無資力要件があるため、取り戻せるケースは極めて限定的。
岸田総理:本人が無資力であることが前提となるが、新法では、将来の債権の保全を可能とするなど、制度を活用しやすくすることで、家族らの被害救済につながると考える。
審議入りにあわせ、宗教2世の有志グループは、法案を所管する消費者庁などに申し入れを行いました。
元2世信者・山本サエコさん(仮名・30代):一番足りないと思っているのは、政府が想像している被害者像と、私たちが実際に声を上げている被害実態に乖離(かいり)がある。未成年者にはまったく救済の実効性が担保されていない。私たちのように苦しむ未成年者が増えないように、未来の被害者を増やさないためにも、修正をお願いした。
消費者庁からは、実態に合わせた法案作りのため、これからも声を聞かせてほしいと言われたといいます。
山本さんは、今後も対立構造ではなく、連携していきたいと話します。
与野党の協議も経て調整されてきた法案。自民党は野党側の理解を呼び掛けます。
自民党・高木毅国対委員長:野党の皆様方の思いも最大限取り入れたと思っている。現在の法体系の中で考え得る全てが入っていると思っているので、一日も早く成立を。
野党側も、引き続き修正を求めていく方針ですが、法案自体は成立させたい考えです。
立憲民主党・安住淳国対委員長:我々から見れば不十分な点もあるが、率直に申し上げて、この法案が成立するなら、抑止効果として非常に大きい。最終盤になって(会期を)延長するかしないかも含めて、まだ申し上げられないのは大変申し訳ない。色んな意味で急激に日程が変わったりすることがあり得るので、ご了承いただきたい。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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