【SDGs 2030年の世界へ】環境・文化・思い守る“庭木マッチング”

【SDGs 2030年の世界へ】環境・文化・思い守る“庭木マッチング”

【SDGs 2030年の世界へ】環境・文化・思い守る“庭木マッチング”

 シリーズSDGsです。樹齢50年を超えるような立派な庭木がいま、多くの家で困った存在になっています。切り倒してしまうにはもったいない木を救おうと、静岡県内の造園業者が庭木のマッチングサイトを始めました。

山根早苗さん
 「こちらになります。こちらの松なんですけど、うちの母親がずっと1人で手入れしていました。剪定とか」

 住宅の庭で存在感を放つ樹齢55年の松の木。長年、癒しの存在でしたが、今はストレスのもとになってしまっています。

山根早苗さん
 「去年は熱が出ました。剪定する時は大変で、体、壊します」

 松の剪定は、業者に任せると1回あたり数万円かかります。

山根早苗さん
 「困っているという言い方は悪いが、切っちゃうと母親に悪いなって・・・」

 母の思い入れは大事にしたい。でも、手入れにはお金と手間がかかる。こんな板挟みを解消するため、新たな取り組みがスタートしました。

「良知樹園」良知正浩代表
 「本来、捨てられてしまうゴミになってしまうものに、ちょっと価値をつけようと」

 焼津市の造園業「良知樹園」が立ち上げたのは、国内で初めてとなる庭木のマッチングサイト「trees(ツリーズ)」です。このサイトは、いらなくなった庭木を売ったり譲ったりしたい人が木の情報を登録します。一方で、立派でお手頃な庭木をほしい人は登録された情報を検索。価格や引き渡し方法などの条件が合えば、庭木の譲渡が可能になります。マッチングが成立すれば、切り倒され燃やされるだけだった庭木を残すことで陸の豊かさが守られます。

しずおか焼津信用金庫 岩崎浩季理事
 「自然を守りながら、互いに皆さんが持っている思いを達成していこうと]

 実は、良知さんの会社ではいらなくなった庭木をこれまでも受け入れていました。

「良知樹園」良知正浩代表
「ここにある木が里親として預かっている木です。(Q.いらないと言われた木?)そうです。立派ですよね。長くおうちにあったはず」

 本来、松の木はまっすぐ伸びるものですが、独特の美しい曲線を描く松の木は、職人らが何十年もかけて形作ったものです。枝を落とす「剪定」という作業も日本独特の文化です。良知さんは、このマッチングサイトで環境だけでなく文化を守っていきたいと考えています。

「良知樹園」良知正浩代表
 「日本の文化を残したいというか、今までの人たちの思いを残していくのが一番やりたいこと」

 日本の伝統を現代の技術によって持続可能にするためのマッチングサイト。庭木に込められた思いも、将来につないでいくための取り組みです。(23日08:33)

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