【大地に“命の水”を…】凶弾に倒れた中村哲さん 死後3年もアフガンで遺志を継ぐ人々
アフガニスタンで長年、人道支援に取り組んできた医師の中村哲さんが凶弾に倒れてから4日で3年です。現地では、新たな用水路建設も始まるなど、大地に“命の水”をもたらした中村さんの遺志を継ぐ取り組みが続いています。
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アフガニスタン東部にある小さな診療所、「ダラエ・ヌール診療所」。連日、大勢の患者が詰めかけています。実はこの場所は、辺境地の医療支援に取り組んだ医師の中村哲さんがアフガンで最初に開設した、その“原点”ともいえる場所です。
去年8月にイスラム主義勢力のタリバンが復権した後、アメリカなどの制裁の影響で経済の混乱が長期化するアフガニスタン。貧困が原因で栄養失調になる子どもなども多く、患者は以前より2割以上増え、一日数百人が訪れるといいます。
中村さんが武装勢力に銃撃され、命を奪われてから、3年。およそ30年前、中村さんと共に診療所を立ち上げたアベドさんは、“目の前の人を見捨てない”中村さんの思いを胸に、無料で貧しい人々に治療を続けます。
アベドさん
「このクリニックは毎日、人々のために治療を続けています。中村先生は全てのアフガニスタン人の心の中にいます」
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医師でありながら、中村さんが長年にわたって取り組んできたのが、用水路建設です。病気の背景には干ばつによる水不足があるとして、時には自ら重機を操り、大地に“命の水”をもたらそうと奔走しました。
先月、農場を訪ねると、レモン畑が広がっていました。用水路建設によって砂漠から緑に生まれ変わったのです。
中村さんから20年近く指導を受けた農場の責任者
「この場所では用水路のおかげで干ばつに見舞われずに農作業ができます」
“命の水”を守るため、中村さんは、かつて住民たちにこう呼びかけていました。
中村哲さん
「もし用水路が壊れたら地区全体が大変なことになります。皆さんのために用水路の補修と手入れに取り組んでください」
先月、中村さんが残した用水路では、スコップを手にたまった土砂を取り除く大勢の人々の姿がありました。さらに、かつて中村さんが率いた現地のNGOは、今年10月から新たな用水路建設をスタート。山の斜面に人の手で大きな石を積み上げていきます。
アフガンの人々が自立し、自給自足できる環境づくりを目指した中村さんの遺志は、現地に根付いています。
中村さんが率いた現地NGOスタッフ
「(いまも続く用水路の)プロジェクトは全てアフガニスタンの人々によって実施されています。 私たちは中村先生から学んだ奉仕の精神のもと、この国に尽くしていきます」
(2022年12月3日放送)
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