トンガ噴火で異例の津波【サンデーモーニング】

トンガ噴火で異例の津波【サンデーモーニング】

トンガ噴火で異例の津波【サンデーモーニング】

トンガで起きた海底火山の大規模噴火で、日本に過去に例のない津波が到達。気象庁も困惑の事態となりました。その背景に、一体何があったのでしょうか?

トンガ沖の海底火山の噴火によって、北米や南米、日本など太平洋岸の広範囲に津波が到達し、被害が出たところもありました。気象庁によりますと、「海外の火山噴火によって日本で津波が観測された例はない」と言います。

通常の地震による津波は、プレートの運動で海底が持ち上がり、それによって発生した海面変動が大きな波となって広がります。しかし今回の津波は、噴火に伴う空気の振動「空振」によって波が起きた可能性があると、津波に詳しい東北大学災害科学国際研究所の今村教授は指摘します。

空振によって海面が下に押され、元に戻ろうとして波が作られます。小さな波です。空振は、海面を押して波を作りながら長い距離を進み、津波が作られます。さらに、空振の後ろに続く波は、長い距離を進む間に重なり、大きくなります。そのため、トンガから遠く離れた日本では津波が大きくなり、また、空振の速度が早いため、想定よりおよそ3時間早く日本に到達するという、これまでにない現象が起きたのです。

今回のトンガ諸島の爆発的な噴火は、アメリカのNASAによりますと、噴煙の高さはおよそ30キロと成層圏の中ほどまで達し、直径はおよそ500キロまで広がりました。これがどれほどかと言いますと、「火山爆発指数」という噴出物の量で噴火の規模を示す指標があります。1増えると噴出物の量は10倍になるというものです。去年8月、小笠原諸島で大量の軽石を噴出した福徳岡ノ場の噴火は4。今回の噴火はそれをはるかに超え、5~6と見られていて、1991年のフィリピンのピナツボ山の噴火に迫ります。

ピナツボ山の噴火は、北半球の気温を0.5度押し下げ、記録的な冷夏の原因になりました。今回の噴火も同じくらいの火山灰を噴出したと見られています。ただし、ヨーロッパの衛星のデータによると、地球の気温を低下させる作用がある二酸化硫黄の放出はピナツボ山の40分の1以下にとどまり、気候に与える影響は限定的だと考えられています。日本列島もトンガと同じようにプレート境界の火山帯に位置していて、今回のトンガの規模に迫る噴火は1707年に、富士山でも起こっています。

2年前、政府のワーキンググループは、富士山で同じ規模の噴火が起きた時の被害想定を発表しました。富士山周辺だけでなく、首都圏にも火山灰が降り、微量の降灰で、鉄道やトラック輸送などがストップ、停電も発生してライフライン機能が停止する恐れがあると指摘します。日本でも巨大噴火リスクへの備えが求められます。

(「サンデーモーニング」2022年1月23日放送より)
(23日11:23)

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