被害者家族「表明よかった」総理『念書など違法性の要素に』 新法案1日にも閣議決定(2022年11月29日)
旧統一教会の被害者救済新法をめぐり、岸田総理は「寄付に関する念書を書かせた場合、違法性を示す要素になり得る」と踏み込みました。
中野容子さん(仮名・66)。旧統一教会の信者だった母親が約1億8000万円を献金していました。返金を求めると、教団から母親のサインが入った“念書”を示されました。そこには「返還請求などを一切行わない」との記載がありました。さらに、意思を確認するビデオまで撮影されていました。中野さんは、損害賠償を求めて提訴しますが、“念書”の存在などにより敗訴。最高裁に上告しています。
野党側は、こうした“念書”は、全国で交わされていると指摘しました。
立憲民主党・山井和則議員:「自主的に献金した旨の念書に署名した場合は、政府案の救済対象、取り消しや禁止の対象になるのか」
岸田総理:「“困惑した状態”で取消権を行使しない意思表示をしても、そのような意思表示の効力は生じないと考えられる。念書を作成させ、あるいはビデオ撮影をしていること自体が、法人等の勧誘の違法性を基礎づける要素の一つとなり、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求が認められやすくなる可能性がある」
岸田総理は、被害者救済の新法案をめぐり、“念書”を書かされても無効であり、むしろ宗教法人などの違法性を示す要素になり得ると、一歩、踏み込みました。
母親が元信者・中野容子さん(仮名):「そういうもの(念書)の無効と、はっきりと総理が表明された。それはよかったと言えると思います」
被害者の救済に取り組む弁護士も、一定の評価をしています。
阿部克臣弁護士:「書面というのは、旧統一教会が、組織的に対策としてやっている。書面は無効とすべきものであって、かなり悪質なケース。きょうの総理の答弁からはっきり告げられた。非常に大きい」
一方で、家族による返金請求がどこまで認められるかなど、論点はまだ山積みです。
立憲民主党・山井和則議員:「“2世”で困って声を上げている人は、扶養家族の人はほとんどいない。扶養家族以外の人は、どうやって返金請求ができるんでしょうか」
岸田総理:「元扶養家族についても、扶養家族だった期間の扶養債権に基づき、(債権者)代位権の行使が可能。こうした専門家の意見もある」
岸田総理は、成人などで扶養を外れた家族も、さかのぼって返金請求できる可能性にも触れました。ただ、阿部弁護士は、時効によって救われない人が出てくると指摘します。
阿部弁護士:「岸田総理は、家族の取消権に関して、過去の扶養料も請求できるとしたが、恐らく古いものには時効がある」
こうしたなか、物価高対策などの裏付けとなる今年度の第2次補正予算案が衆議院を通過。会期末の10日まで、あと1週間あまり。政府は“救済新法”について、12月1日にも閣議決定して、国会に提出したい考えです。
立憲民主党・泉健太代表:「国会の答弁で語られていることが、どれだけの確証を持ち、確実なものとして運用されるのか、まだ不透明。そこははっきりしなければ、だからこそ法文で書き込んでいく必要がある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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