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『インスリン大量投与し父殺害』『練炭自殺に見せかけ弟殺害』48歳女に無期懲役の判決(2022年11月29日)
自殺を装うなどして父と弟を殺害した女に無期懲役の判決が言い渡されました。
(大阪地裁 坂口裕俊裁判長 11月29日)
「主文、被告人を無期懲役に処する」
約1時間半、女は微動だにせず裁判長を見つめ続けていました。判決によりますと、堺市の足立朱美被告(48)は2018年、糖尿病や肺がんを患っていた父・富夫さん(当時67)に大量のインスリンを投与し低血糖状態に陥らせて死亡させたほか、弟・聖光さん(当時40)に睡眠薬などを飲ませ練炭自殺に見せかけて殺害するなどしました。
裁判の争点は主に2つでした。1つは『父・富夫さんの死とインスリン大量投与の因果関係』です。検察側は「足立被告が富夫さんにインスリンを大量に投与した結果、意識障害を引き起こし、がんと相まって死亡した」と主張。一方、足立被告は逮捕前の取材に対して次のように述べていました。
(足立朱美被告 2018年)
「父は(低血糖になる)前日まで入院していて、『もうちょっと入院しとき』と言ったんですけど、『退院する』と言い張って。それで次の日に低血糖で、低血糖性昏睡で入院、搬送されたんです」
弁護側は「あくまでがんが死亡の原因」だと主張しました。
もう1つの争点は『弟・聖光さんは他殺か自殺か』です。検察側は「弟の聖光さんが父を殺したように見せかけるためウソの遺書を作り、聖光さんを父を殺害した犯人に仕立て上げる必要があった」と主張。これに対して弁護側は「練炭や遺書は第三者が準備した可能性がある」などと指摘しました。
弟の死について、足立被告は取材に対して次のようにも述べていました。
(足立朱美被告 2018年)
「今(2018年当時)となっては自殺やろうけど、追い込まれたのかなって。殺されたかと言われたら違うと思いますけど」
裁判で足立被告は黙秘を続け、検察は死刑を求刑し、弁護側は無罪を主張していました。
今年11月29日の判決で大阪地裁は、父・富夫さんの死亡について「富夫さんが自分でインスリンを過剰に投与したとは考えられず、足立被告が投与した」とし、「低血糖状態による意識障害を引き起こさせたインスリンの大量投与と死亡には因果関係がある」と指摘。弟・聖光さんの死亡については「自殺をうかがわせる事情はなく、足立被告は当初から聖光さんを殺すつもりだった」と認めました。
一方で、富夫さん殺害の動機は不明であることなどを踏まえ、「死刑を選択する方向に考慮する事情とはいえないが、生涯をかけて罪と向き合うべき」だとしました。
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